「効率のよい勉強が合格への近道」
H.Tさん(栃木県)
◆はじめに
社労士の平成17年度試験が終了し,選択式の解答速報を見たとき,前年の悪夢が蘇りました。前年の試験では,厚生年金法で足切り点を取り,惜しくも合格を逃したからです。
さて,社労士の受験は長丁場なので,最後まで集中を切らさずに努力し続けることがポイントなのですが,実際のところ,集中を切らさずに勉強して,合格にたどり着くのは,非常に困難なことです。幸いにも私は,不動産法律セミナーに執筆されている利波先生が大学で開く社労士講座を受講し,先生から効率のよい勉強法を教えていただきました。
合格には,自分自身の勉強スタイルを確立することが,必要不可欠となります。
◆受験動機
私は,大学に入学した当初から「何か人の役に立てる仕事がしたい」とは思っていたものの,具体的な方向性が定まらずにいました。
そのような時,たまたま大学の講義で知った社労士講座のガイダンスに行った際,利波先生がいった「就職と就社は違う」という言葉で,自分のなかの就職に対する考え方が変わり,同時に社労士という資格に興味を持ちました。
調べてみますと,「社労士は人事・労務管理の専門家で,企業の事務手続代理や労務管理に対するアドバイスなど,労務コンサルティングから年金に至るまでさまざまな分野で活躍し得る,これからの時代に最も必要とされる資格」であることがわかりました。
保険制度も頻繁に改正が行われており,複雑化かつ専門化しています。そうした変化のなかで,専門的な知識を持った社労士が必要になってくることがわかり,取得を決心しました。
◆1回目の受験
私の1年目は,膨大な量の基礎知識を覚えることが最も重要な課題であると思い,勉強に取り組んではみたものの,問題集を使わなかったことに加えて,直前までインプットに時間をかけすぎたため,アウトプットの練習ができず,結果,不合格となりました。
私の具体的な勉強法としては,予習はせず,講座でやったところを次の講座の日までに復習することで知識をつけていくというものでした。基礎の構築を怠れば,少し角度を変えて出題されるとまったく太刀打ちできなくなると思ったからです。
しかし,数多くの科目を学習していくなかで,年金法に取りかかる頃には,最初に学習した労基法等を忘れてしまい,結果として,必要以上の時間をかけて復習したことが,不合格の要因でした。
少ない時間でも,例えば年金法を勉強しているときに労基法等にも目を通しておけば,インプットの効率性を高めることができますし,問題集や模試を用いてアウトプットすることもできます。
この両立こそが,合格するための必要不可欠な条件だと実感しました。
◆2回目の受験
1年目の受験では,出題傾向がつかめず,最初から最後まですべてを網羅しようと躍起になっていました。
しかし,それは非効率で,無駄な勉強法だということがわかり,2年目からは,出題傾向が高いところを重点的に勉強し,平行して一問一答式の問題集を早期から解くように心がけました。一問一答式の問題集を使うことで,効率のよい勉強ができました。
そして,一番重要なのが模擬試験です。
前年は,通信模試を利用しましたが,試験の雰囲気をつかむために,平成17年は2つの模試を会場で受けました。模試は難易度が高く,得点が伸び悩むこともありましたが,試験日までに知識を自分のものにしておけばまったく問題ありません。私の場合は,習得した知識を基本書に書き込み,難しい問題に慣れておいたので,
本試験を必要以上に恐れることなく,臨むこと
ができました。
試験でのセオリーは,「得意科目を作り,そこで得点を取って苦手な科目をカバーする」ことだと思いますが,私は苦手な科目ほど得点を取るべきだと思います。
なぜなら,社労士試験には足切り点があるため,すべての科目が平均してできなければなりません。苦手な科目は正直,できるかできないか運任せな部分もあります。また,年によっては自分の得意な科目が最も難しく,自分の苦手な科目が最も簡単だったということもあり得るのです。そして,自分が苦手と思っている箇所は,意外と他の人も苦手意識を持っていることが多く,苦手な箇所ほど手を抜かずに勉強していくことが,合否を分けるポイントになると思うからです。
例えば平成17年度試験では,労働基準法が比較的難しく,ここで点を落とした人が大勢いたようです。私は,労働安全衛生法に苦手意識を持っていた程度だったのですが,これも手を抜かずにやっていたため,労働基準法での失敗をカバーすることができました。
先ほど「出題傾向の高いところを重点的に」と書いたため,矛盾していると思う人もいるでしょうが,そのあたりの兼ね合いを,各自勉強していくなかで見極めることが必要になってくると思います。
◆最後に
社労士試験は,簡単な試験ではないと思います。難易度も年によって変化しますし,今年受かった人が来年受かるとは言い切れません。つまり,合格するには実力とともに運も必要になってくると思います。
本試験は,ほとんど見たことのない選択肢で構成されており,前年のままの自分だったら慌てふためいて終わっていたと思います。しかし,1年を通じて自分に課してきた試練を1つ1つクリアしたことは大きな自信になりましたし,その結果が試験結果として表れたのだと思います。
皆さんもあきらめずに自分なりの勉強スタイルを確立し合格していただきたいと思います。
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