地震大国である日本では、ほぼ毎日どこかで地震が発生しています。
気象庁では最大震度が震度6弱の地震を「大規模地震」としていますが、実はこのクラスの地震は1~2年に1度は発生しているのです。
地震は地形を変形させます。
もし、住んでいる土地や家が地震によって大きくズレてしまったら、境界はどうなるのでしょうか?
境界がズレるのは日常茶飯事
日本は地震大国です。
震度6弱以上の地震は、2000年以降だけでも21件、東日本大震災以降だけでも7件発生しています。
地震には海溝型と内陸型の2タイプあり、海の底、大陸プレートが沈み込む海溝で発生するのが海溝型。
スマトラ沖地震や東日本大震災がこのタイプです。
一方、内陸型は内陸部の比較的浅い場所で活断層がズレることによって発生するもので、直下型地震ともいわれます。
阪神大震災や熊本地震がこのタイプです。
このような大きな地震が発生すれば、土地が変形してしまうのは当然です。
それにより境界がズレてしまうのも当然であり、地震大国である日本では土地の境界のズレは地震のたびに発生するトラブルだといえるでしょう。
境界は地震が起きても移動しない
土地の境界のことを、法律用語で「筆界」と呼ばれます。
この筆界は何があっても動きません。
たとえ、地震や地滑りが発生して土地が移動しても、上の土砂だけが移動しただけであって、境界は移動しない、ということになっています。
しかし、大きな地震で広範囲の土地が大きく移動してしまった場合は、どうなるのでしょうか?
阪神大震災の際、地域が丸ごと移動してしまったので、復興の際に筆界をそのままにしておくと不都合が生じることがわかました。
そこで法務省は「地震による地殻の変動に伴い広範囲にわたって地表面が水平移動した場合には、土地の筆界も相対的に移動したものとして取り扱う。
局部的な地表面の土砂の移動(がけ崩れ等)の場合には、土地の筆界は移動しないものとして取り扱う」という通達を出しました。
しかし、この通達でも、土地が複雑に変形した東日本大震災や熊本地震では当てはまらないケースが多く発生しました。
家ごとズレたらどうする?
農地など、土地だけの移動なら、整地後に筆界を決め直せば済むケースもありますが、家屋が筆界を超えて移動するような場合は、複雑になります。
地震による土地の変形で筆界を変更する場合、実は決まったルールはありません。個別で対応することになるのです。
土地の持ち主同士で調整をすることになるのですが調整案として最も多いのが、隣の敷地にズレ込んだ部分だけ買い直し、筆界を引き直す、というもの。
現在は人工衛星で基準点を計測しているので、どれくらいズレたかは高精度でわかります。
土地の境界は金銭が絡むため、当事者同士ではなく、第三者であり測量と登記のプロである土地家屋調査士を挟んで行うのが一般的です。
土地家屋調査士の力を借りつつ、スムーズに話し合いをまとめるようにしましょう。
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