行政書士の業務のひとつに「入管業務」という仕事があります。入管業務は複雑な手続きをスムーズに済ませるために必要な仕事であり、外国の方が日本へ滞在・移住する上で重要な役割を果たすものです。
ここでは行政書士が行う「入管業務」の概要や、入管業務を取次まで行うために必要な条件をご紹介します。入管業務のやりがいについてもお伝えしますので、ぜひご覧ください。
行政書士の独占業務「入管業務」とはどのような仕事?
入管業務とは、外国人が日本に滞在する際に必要な「入国検査書類」の作成、および提出などを行う業務です。
入国検査に必要な書類には在留資格の種類が多数あるうえ、内容も複雑です。行政書士は、本人に代わってこの申請書類を作成し、場合によっては提出まで行います。
ほかには、外国人学生が就職するときの「在留資格の変更手続き」や、永住外国人の相続に関する手続き、事業承継など、幅広いサポートを行うこともあります。
行政書士の中でも特定の資格を持つ者は、書類の作成から提出までを取次できます。このような行政書士に依頼をすれば、日本語が得意ではない人、手続きに慣れていない人でもスムーズに入管手続きができるのです。また依頼者が手続きに行く必要がなくなり、仕事や学業に専念しやすくなるメリットもあります。
このように入管手続きは、“スムーズな日本暮らしを実現するお手伝いができる仕事”と言い換えることができるでしょう。
そのため入管に携わる場合は「語学力があると良い」とされていますが、実際には語学力がなくとも、通訳者を雇うなどして業務を遂行している行政書士も多いです。
入管業務ができる行政書士の条件は?
入管業務に携われるのは、「申請取次行政書士」の資格を取得した人のみです。申請取次行政書士の資格を得るには、所属の都道府県行政書士会にて研修を受けたあと、試験(効果測定)に合格する必要があります。その後登録を行い、3年ごとに更新試験を受けます。
研修実施団体:日本行政書士会連合会
研修費用:約3万円
効果測定(試験):30分間、全10問
研修会日程:日本行政書士会のホームページ、または会報誌から確認可
https://www.gyosei.or.jp/activity/central-training/class.html
入管業務に関わる「入管法」は年々変化するため、常に新たな知識を取り入れなければなりません。つまり更新の際に最新の法令知識を身につけているかをチェックすることで、入管業務が問題なく行えるかを確認していると考えてよいでしょう。
なお、申請取次行政書士ではない行政書士でも、入管に関わる申請書類の作成自体は可能です。
ただし、入管の「取次」はできませんので、作成してもらった書類を持って手続きに行かなければならなくなります。
入管業務のやりがいとは?
入管業務は外国に住む方々が日本で生活を始めるうえで重要な業務です。入管業務を通じて外国の方々をサポートでき、感謝されることで大きなやりがいを感じられます。
また、日本に住む在日外国人の人口は年々増加しています。在留資格は一定期間ごとに更新が必要なため、必然的に行政書士の出番も多くなるでしょう。
業務内容によっては海外出張に赴くケースもあり、業務を通じて国際交流ができる点も魅力だといえます。
そのほか、入管業務は継続性のある仕事のため、定期の収入源になる点も大きなメリットです。
外国語が得意な方はもちろん、外国語が苦手な方でも業務自体は実施可能なので、行政書士になったら入管業務に携わることを検討してみてはいかがでしょうか。
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