行政書士は一般の方に代わって公的機関への申請を行うのが主な仕事です。数ある行政書士の業務の中には、ペットに関する「ペット法務」という仕事もあるのをご存じでしょうか。
ここでは行政書士の「ペット法務」とはどのような仕事なのか、その業務内容をご紹介します。
目次
行政書士のペット法務とは?
行政書士のペット法務では、ペットに関する公的な許可申請や、ペットトラブルの対応(示談書の作成や調停手続き)が主な仕事となります。
1.動物取扱業に関する登録申請の提出
ペットショップやトリミングサロンなど、動物を扱う業種を営む際には、その事業所を管轄する都道府県知事へ登録申請を行うこととなります。行政書士はこの申請を代行することができます。
【動物取扱業の例】
・ペットショップ
・トリミングサロン
・ペットホテル
・ペット幼稚園
・動物園、動物テーマパーク
・動物セラピー
・ブリーダー
また、ペットの送迎を行う際にも届出および許可が必要になります。無許可でペットの送迎を行ったことが判明した場合、法律違反となり「懲役3年以下」または「300万円以下の罰金」が科せられるため要注意です。
2.特定動物の飼養許可の申請
人間に危害を加える可能性のある動物(危険動物)を飼育する場合は、動物種ごと・飼育施設ごとに許可を取る必要があります。行政書士がペット法務として申請を行う場合は、都道府県知事、もしくは政令市長へ申請を行います。
【特定動物の種類】
・サル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン
・クマやヒョウ、ゾウ、サイ、カバ、キリン
・ダチョウ、コンドル、タカ
・カミツキガメ、トカゲ、ヘビ、ワニ
3.ペットに関するトラブルの手続き、契約書作成サポート
ペットの飼育に関するトラブルは年々増加傾向にあります。
【ペットトラブル例】
・ペットの噛みつき、ひっかきで他人にケガをさせてしまった/ケガをさせられた
・ペットショップでお迎えしたペットが説明にない病気を抱えていた
・ペットの鳴き声、臭いなどのトラブル
・地域猫の飼育トラブル(無責任なエサやり、騒音や糞尿による被害)
・ペットの医療事故
行政書士のペット法務では、このようなペットに関するトラブルについて示談書の作成、調停手続きなどを担当します。
4.飼育規定や契約書作成のサポート
ペット法務を担当する行政書士のもとには、「マンションの飼育規定を作成してほしい」という依頼が来るケースも多いようです。また、ペットショップにおいて売買契約を結ぶ際の契約書作成などを担当する場合もあります。
行政書士の「ペット法務」のやりがいとは?
行政書士のペット法務は、ペットに関わる方々のサポートができる点が魅力です。
「ペット関連で相談したいことがあるけれど、どこへ相談すれば……」という方の助けになれるのは大きなやりがいにつながります。また、間接的に動物やペットの暮らしをサポートしたり、人々の役に立てたりするのもペット法務ならではのやりがいだといえます。
動物やペットに関する法律は、今後も状況に応じて整備されていくでしょう。それに伴い行政書士、及びペット法務の需要はますます高まっていくのではないでしょうか。
今後は法改正の可能性もあり! ペット法務で役に立とう
ペット関連の法律は年々変化を遂げています。また、飼育環境の変化(マンションでの飼育が増加しているなど)もあり、ペット関連のトラブルは今後も減らない可能性が高いでしょう。
ペット法務を扱う行政書士は、トリマーなどの動物取扱業関係者の心強い味方でもあります。
「動物が好きで、動物の生活や飼育、トラブルなどのサポートがしたい」という方は、行政書士を目指してみてはいかがでしょうか。
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