行政書士の仕事で重要な考え方のひとつに、「予防法務」というものがあります。
予防法務は、徐々に知れ渡りつつあるものの、まだ聞きなれないという方も少なくないでしょう。
そこで今回は、行政書士なら知っておきたい「予防法務」について、どのような考え方なのか、そしてなぜ重要なのかについて解説していきたいと思います。
予防法務とは?
予防法務とは、将来的に当事者間で法的紛争が起こることがないよう、また紛争が起こったとしても最小限の損失に抑えることを目的として、事前に何らかの措置を取り法的リスクを管理することをいいます。
例えば、知人にお金を貸す必要があるとき、口約束のみでお金を貸し、お金を返してもらうにあたって法的紛争が起きてしまった場合、時間も費用も膨大に必要となるリスクがあります。このリスクを抑えるために、法律知識を活かして、お金を貸す際に法的措置を取ることが予防法務にあたります。
また、予防法務は遺産相続においても効果が大きいと考えられています。
遺産相続が始まってからでは、遺言の不備や相続人の間で紛争への対処は難しく、法廷での争いになり多大な労力が必要となることも珍しくありません。予防法務によってトラブルを防ぐために事前に対処をしておくことで、労力も費用も軽減化できるようになるでしょう。
予防法務の重要性
将来の紛争の可能性があるものに対して予防法務を行わず、実際に法的な紛争が発生してしまい訴訟となれば、裁判所に納める費用のほか弁護士費用も必要となり、多額の費用と労力が必要となります。
解決までに、長引く場合は数年の時間が必要となることもあります。
紛争を解決するのに、最終的に裁判という手段に至らないよう、できるだけ手間やコストをかけずに解決できるためにも、予防法務はとても重要なリスク管理の手段だといえます。
さまざまな書類を扱うプロである行政書士だからこそ、将来的に起こり得る法的紛争を予測し、それを防ぐための法的措置を事前に行う「予防法務」について、理解しておきたいものです。
企業や個人に代わって、権利義務や事実証明に関する書類を取り扱うことができる行政書士には、リスク管理という面における知識を活用したコンサルタントとしての役割も期待されています。
予防法務の重要性を理解し伝えていくこと、そして予防法務によって紛争を防ぐ手助けを行うことができるよう、業務や知識を広げてみてはいかがでしょうか。
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