超高齢化社会となっている今、司法書士に「成年後見」を依頼する方が増加しています。ここでは成年後見とは何か、成年後見業務の流れとともにご紹介します。司法書士を目指している方はぜひチェックしておきましょう。
成年後見とは? 親族、法の専門家がつくケースの違い
成年後見とは、何らかの理由により判断能力が無い方の「財産保護」、及び支援者を選任する制度のことです。
「何らかの理由」とは、認知症、知的障害、精神障害などを指します。2004年に制定された成年後見制度ですが、超高齢化社会の日本においては、今後も需要が高まる制度だと考えられています。
成年後見人となった場合は本人の代理で財産管理を行うとともに、さまざまな契約・手続きを行うこともあります。
<成年後見制度で後見人となった人が代理できる行為>
・預貯金や不動産などの財産管理
・介護サービス・施設の入所契約
・遺産分割協議の代理
・(必要に応じて)所有不動産の売却
・不当契約の取り消し
・要介護認定の申請
成年後見制度の決定手段の種類&違い
成年後見制度の決め方としては、「法定後見制度」「任意後見制度」の2種類があります。
・法定後見制度
判断能力が低下していて、ご自身では財産の管理・処分が難しい方のための制度です。
家庭裁判所で後見人、保佐人、補助人を選任してもらい、決定後は家庭裁判者の監督を受けつつ支援を行います。
・任意後見制度
判断能力のある状態で、ご自身が後見人の候補者、及び支援内容を決める方式です。
決められた支援内容は公正証書へ記載し、後見人候補と契約を交わします。
司法書士の成年後見業務! 仕事の流れは?
成年後見人には親族が選任されると思われがちですが、実は司法書士等の法律家が選ばれるケースも増えています。
司法書士が成年後見人となった場合は、後見人となる手続き以外にも、以下のさまざまな業務を担当します。
・財産の調査や管理、収入状況の把握
・成年後見登記
・官公庁、金融機関への申請、手続き
・医療介護サービスの入所手続きや契約、及び本人への処遇監視
・生活に必要な契約手続きの代行、住居の確保
・必要経費の支払い
・死亡後の財産目録作成、および財産の引き渡し
・成年後見の終了登記
・家裁への報告
司法書士が成年後見人になった場合、依頼者だけではなく、そのご家族への対応も必要になる点に留意が必要です。
司法書士が成年後見人となった場合、各種手続き・調査を終えたあとは月1~2回程度面会を行います。また依頼者の体調不良時や亡くなられたときには司法書士も駆けつけることになります。
成年後見は法律以外にも、医療や福祉、年金といった幅広い知識が必要になる業務です。また、依頼者やご家族から多種多様な要求をされるケースも少なくありません。ただしその分、依頼者やご家族から頼られ、信頼される業務ともいえるでしょう。
今後も需要は高まる一方! 司法書士の成年後見に注目
少子化・超高齢化社会により、成年後見業務は今後も高い需要が見込まれます。司法書士の業務としても、成年後見業務の割合はさらに増えていくでしょう。
司法書士を目指す方、司法書士の資格を取得した方は、成年後見業務に注目してみてはいかがでしょうか。
コラムの運営会社
株式会社東京法経学院は10年以上にわたり、土地家屋調査士・測量士補・司法書士・行政書士など、法律系国家資格取得の受験指導を行ってきました。
通学・通信講座の提供だけではなく、受験対策用書籍の企画や販売、企業・団体の社員研修もサービス提供しています。