司法書士と弁護士は一部似たような仕事をしている部分もあるためどこがどのように違うのか、明確に分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
弁護士ができて司法書士ができないところは何か、今一度確認しておきましょう。
今回は司法書士と弁護士の仕事範囲の違いについて説明していきます。
司法書士と弁護士の仕事範囲の違いは?
●弁護士には法律に関する仕事範囲に制限がない
弁護士は司法試験に合格し、最高裁の司法研修所を卒業して弁護士会に登録した方を指します。この方は「法律の専門家」となって、事件や紛争についての対策を提案することが仕事となっています。法律に関わる全ての仕事を扱うことができ、弁護士の仕事は弁護士法72条の内容から、原則弁護士以外の人間では行うことができないようになっています。
●司法書士が法律関連の仕事を行うためには制限がある
そもそも司法書士は司法書士試験に合格した方を指し、主な仕事は登記や供託にあたりますから厳密にいうと裁判などの弁護士仕事を代理で行うことができません。ただし司法書士の中には「認定司法書士」と呼ばれている方もおり、この方は例外として一部の訴訟仕事に携わることができます。
認定司法書士は法務省で研修や考査を修了させた方を指し、この方は借金の整理手続き(一部)と一部の民事訴訟に対する交渉や和解、訴訟代理の権利などが認められています。
前述の通り、弁護士には法律に関わる仕事に関して特に大きな制限はありません。そのため司法書士のような登記ができないわけではないのです。
しかし、登記の仕組みを深くまで理解している司法書士や税理士、弁理士などに仕事を任せる方が良いパターンもあるため、弁護士と司法書士の間に住み分けができたのです。
認定司法書士と弁護士の違いは「民事事件に関わるとき」にもあらわれる
基本的に認定司法書士が法律の観点で関わることができる訴訟は「地方裁判所ではなく簡易裁判所での代理人である場合」「民事事件に対する価格が140万円以下の場合」と限定されています。
特に後者は、当初価格が140万を超えないだろうと見積もっていても最終的に140万円を超えてしまった場合、その時点で相談を中止せざるを得なくなってしまいます。
このため民事事件に対する認定司法書士の仕事は訴訟に関わる予算が140万円を大きく下回るものに関しての依頼が多く、本格的な法律の仕事を行いたい方にとっては物足りなさを感じるかもしれません。
弁護士資格の取得と司法書士資格の取得どちらを目指すか考えている方は、ご自身が行いたい仕事が何なのかを考えてみることが大切です。
法律の仕事を広く取り扱いたい場合は弁護士資格、登記や裁判所などの機関に提出する書類作成などに興味がある方は、それらに特化した司法書士を目指します。
ご自身の目指したい分野を踏まえ、資格取得を検討していきましょう。
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