司法書士のメイン業務とも言える「商業登記業務」。商業登記業務は会社の経営に携わっていない方は、あまりピンとこない業務かもしれません。
今回は、司法書士の商業登記業務に注目して見ていきたいと思います。
そもそも商業登記とは何か、そして司法書士はどのような業務を行い、業務を全うするためにはどのようなスキルが求められるのか、について解説いたします。
司法書士の商業登記業務とは?
商業登記とは、株式会社などの法人の商号・名称、所在地、代表者の氏名といった一定の内容を登記簿に記載し、誰もがその法人の内容を見ることができるよう公開することで、企業の信用維持につなげることを目的とした制度です。
法人は、商業登記を行うことで存在を認められることになるので、銀行や仕入れ先・販売先などと取引を行うためには必ず商業登記を行う必要があります。
商業登記の申請は、本来は会社代表者が申請するものですが、商業登記に必要となる書類をミスなく確実に作成するためには専門的な知識が必要となることから、多くの場合において司法書士が会社代表者に代わって作成しています。
商業登記には、申請内容に応じて様々な書類が必要となるため、会社代表者と打ち合わせを行いながら登記申請の手続きを行います。
会社の設立時だけでなく、役員の変更があったときのほか増資などといった、会社の登記事項に変更が生じた場合の手続き、およびそれに関するアドバイスや議事録などの書類作成なども、司法書士が行います。
司法書士が行うおもな商業登記業務
司法書士が行うおもな商業登記の手続きは以下の3つです。
・会社設立登記
会社を新たに設立した時の登記業務です。
登記する項目については、法律で定められています。
・役員変更登記
会社には、取締役や監査役などといった役員がいますが、役員の変更があった場合には「役員変更登記」を行います。役員変更登記に必要な書類や手続きは、変更内容や会社形態、定款によっても異なります。
・目的変更登記
会社の事業目的に変更があった場合についても変更登記が必要です。たとえば、雑貨店が飲食店の経営も行う場合などは目的の追加を行います。
そのほか、本社の移転や社名変更が生じた場合も変更申請が必要となり、登記内容に変更が生じた際についても、原則2週間以内に変更登記を行う必要があります。
商業登記業務において司法書士に求められるスキル
司法書士は、単に書類を作成するだけでなく、事業目的の記載内へのアドバイスから役員の人員数といったことまで顧客の相談に乗ることがあり、適格なアドバイス能力や提案能力が求められます。
また、変更が生じたときに申請が忘れてしまうと、過料の支払いが生じることがあるため、顧客に向けた変更登記の案内を遅滞なく行うなどするなどいった顧客管理能力も求められるでしょう。
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