人間の記憶は短期記憶と長期記憶の2つに分けられ、強烈な体験だけが長期記憶用の保管庫に移されます。日々の出来事のほとんどは短期記憶となるので、すぐに忘れられていきます
人の脳が忘れっぽくできているのは、脳にも容量があるため。情報を整理し本当に必要なものだけを脳の中に残すことで、情報の混乱を防ぎ、快適に生活していくための工夫なのです。
しかし、勉強をする上ではこの「忘れっぽい」脳の特性は困りもの。繰り返して学び、情報の定着率を高めていきましょう。
そこで、学習において最適な復習のタイミングについてご紹介します。
1. エビングハウスの忘却曲線
19世紀の心理学者エビングハウスが、人の短期記憶について調査を行ったことがあります。意味のない3つのアルファベットを被験者に覚えさせ、どれくらいの間覚えていられるか実験しました。
これによると、人は覚えたことを20分後には42%、1時間後に56%、1日後に74%、1ケ月後には79%も忘れてしまうということが判明しました。
人は、頑張って暗記しても、その半分を直後に忘れてしまうのです。
一方で、頭に残っている記憶はなかなか薄れていかないこともわかりました。
このエビングハウスの忘却曲線を利用すると、効率的に記憶を定着させることができるのです。
2. 記憶を定着させるのに効果的なタイミング
エビングハウスの忘却曲線に、定期的に反復学習を加えると、忘却曲線が緩やかになることもわかっています。11回だけでなく何度も反復学習を行えば、記憶は1回目、2回目よりもしっかり定着するのです。
また、反復学習は1回目よりも容易に記憶を定着させられることもわかっていますが、学習から1か月以上たってしまうと記憶が薄れてしまい、ほとんどゼロからのやり直しに。
だから反復学習を行うなら、学習したその日のうちに反復学習を行うのがタイミングとしてはベストです。記憶が半分でも残っている状態で記憶し直すと、その記憶は1回目よりも長く脳内に留めていられます。
2回目の反復学習は2日目がおすすめです。
また反復学習をするなら、寝る前がベストタイミング。学習後、他の記憶が入ってこないので、他の記憶の干渉を受けずに済みます。
3. 2日目以降の効果的な復習スパン
人は3回も同じことをすれば記憶に長く留めていられます。
「1回目の学習」「学習当日の復習」「学習翌日の復習」と復習をすることで、脳は「大事なことだから繰り返しているんだ」と認識してくれます。しかし、復習のし過ぎは実は逆効果です。「また同じことの繰り返しか」と認識してしまい、逆に脳が受け付けなくなります。
4回目以降の学習は、記憶が曖昧になってきたころに行うのがベスト。このスパンは人によって異なります。
ただし、4回目以降の記憶のメンテナンスは要点をさらうだけでもOKです。また、テキストやノートを見て情報をインプットするだけでなく、実際に問題を解いて記憶を呼び出すトレーニングも同時に行うことが大切です。
記憶を定着させるためには、学習当日と翌日の2日間の反復学習がポイントです。初めて習うことに関しては最初の3回を徹底することで、4回目以降のメンテナンスが楽になりますよ。
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