行政書士試験が実施されました!試験成果の検討に、また次年度の手がかりとしてご活用ください!
令和6年度 行政書士試験講評
レクチャー 東京法経学院講師 寺本 康之
東京法経学院講師 笠原 裕明
- [全体講評]
昨年度行政書士試験の合格率が10%を超えたため、本年度行政書士試験の難化が予想されていましたが、本年度行政書士試験は、昨年度行政書士試験よりやや易しくなったと感じました。
もっとも、民法や商法では、いつもどおり、難しい問題が出題されました
このように、難易がある程度はっきりした問題が出題された本年度行政書士試験では、@易しい問題を取りこぼさずに解き、かつ、A記述式問題に答えられた方 (完答はできなくとも、各問題から10点程度ずつ得点することができた方) が合格の栄冠を勝ち取られるのではないでしょうか。
- [基礎法学]
問題1は、法治国と法の支配に関する問題でしたが、法治国が大陸法の考え方、法の支配が英米法の考え方という基本的事項を知っていれば、正解にたどり着くことができました。
ある程度学習された方であれば、少なくとも1問は正解したいところです。
- [憲法]
問題3〜問題6は、最高裁判所の判例を問う問題でした。問題3および問題4の判例を熟読された方は少ないと思いますので、現場思考の問題といえます。もっとも、正解肢は、かなり極端な主張であるため、正解にたどり着くことができたのではないでしょうか。
ある程度学習された方であれば、4問程度正解したいところです。
- [行政法]
行政法は、例年通り、基本的事項を問う問題が多く出題されました。
もっとも、本試験においては、日ごろ見慣れた問題でも、確信を持って答えることができないことがあり、自信をもって本試験に臨む態勢づくりが重要だと思う問題もありました。例えば、問題20の肢エは、答練等では頻出の問題ですが、選択肢で「正」としているのは、肢1のみであり、これを選択するのに躊躇された方がいたのではないでしょうか。
ある程度学習された方であれば、15問は正解することができそうですので、それから2〜3問程度積み上げて欲しいところです。
- [民法]
民法は、問題30〜問題33を除き、基本的事項を問う問題が出題されました。
ある程度学習された方であれば、5問は正解することができそうですので、それから1問程度積み上げて欲しいところです。
- [商法・会社法]
商法・会社法の問題は、ある程度学習された方でも、時間的制約があるがゆえに、難しかったのではないでしょうか。
ある程度学習された方でも、1問〜2問程度しか正解に達することができないと思いました。
- [多肢選択式]
判例ベースの問題であり、ある程度学習された方であれば、各問題6点程度取れたのではないでしょうか。
- [記述式]
ある程度学習された方であれば、問題44では「国」、問題45では「(動産売買の)先取特権」、問題46では「BのCに対する(移転)登記請求権」というキーワードは、書けたのではないでしょうか。
- [一般知識等]
一般知識等では、40%ルールがあるので、最低6問正解しなければなりません。本年度行政書士試験では、文章理解の問題が極端に易しかったため、ある程度学習された方であれば、一般知識等において40%ルールの心配がいらないと思いました。 以上