合格して初めてわかった行政書士試験の勉強法|合格体験記|行政書士試験|東京法経学院





行政書士 合格体験記

合格して初めてわかった行政書士試験の勉強法

体験記

青木聡さん

 


 体験記

◆はじめに

「行政書士になりたい。」これが私の受験の動機です。
私は,司法書士の事務所に補助者として勤めながら,司法書士試験の勉強をしていましたが,なかなか思うような結果,すなわち合格が得られませんでした。士業の世界は,有資格者と補助者とでは,言葉に言い表わせないほどの差があることを肌で感じていました。自分も有資格者となって,自分の名前で仕事をしてみたい。こんな思いで行政書士試験を志したのでした。
初めて受験したのは,平成18年,ちょうど試験制度が変わった初年度でした。憲法・民法・商法・会社法は,司法書士試験の勉強のストックで何とかなるかもしれない。初めて勉強する行政法と一般知識を攻略すれば,合格できるかも知れないと思いました。しかし,想像した以上に行政法と一般知識に手こずり,記述式問題の採点もしてもらえずに,1回目の試験は不合格となりました。行政書士試験は,簡単には合格できないな,と痛感しました。
諸々の事情で,翌年は受験を見送り,平成20年に再度受験しましたが,合格ラインまであと14点足りずに再び不合格でした。そして意を決して望んだ平成21年の試験で,幸運にも合格を手にすることができました。
そこで,この場を借りて,今回私がとった勉強法を検証してみたいと思います。

◆先ずは,出題形式・数の分析から

 ご存知のとおり,行政書士試験は,法令科目の択一式,記述式と一般知識の択一式という形式で問題が作られます。したがって,この出題形式と各試験科目の出題数を考慮したうえで,合格に必要な基準点をクリアするための勉強をする必要があります。私の場合は,法令科目については,一番出題数が多く,記述式も出題される行政法を最重要科目に位置づけ,また,一般知識については,情報通信・個人情報保護法と文章理解を重点的に学習しました。

◆具体的な勉強法

 勉強する上で私が常に心がけた5つのポイントがあります。このポイントについて以下,ご説明します。
(ポイントその1) とにかく声に出して読んでみる。
条文・テキストそして問題の肢をそのつど声に出して読みました。また,必要に応じてカセットテープに録音し,それを繰り返し聴きました。特に録音するに際しては,丁寧に他人に説明するような口調で収録するように努めました。
こうすると,適度な緊張感が出て,記憶の定着率がよかったように思いました。
(ポイントその2) 択一式問題の肢を毎日チェックする。
択一式問題の肢は,コンパクトにまとめられている場合が多く,正解肢については,条文を暗記するように毎日チェックしました。この訓練は,毎日短時間でも行うことができ,しかも,本試験においてもかなり効果的だったと感じています。
(ポイントその3) 記述式問題の解答は,原稿用紙に書く。
記述式問題は,1問あたりの配点が高く,しかも3問出題されます。記述式問題に対応できる力を普段から養わなければ,本試験において合格は難しいでしょう。私は,本試験の解答欄をイメージするために原稿用紙を使い,字数を意識しながらなるべく多くの問題を解きました。しかも,時間を計りながら,少しでも早く書けるように努めました。ペンを持ち続けるスタミナとペンを走らせるスピードを養成しました。
(ポイントその4) 学習進捗状況確認ノートをつける。
大学ノートの横軸に,勉強する項目(条文,テキスト読み,択一対策,記述式対策,文章理解など)をとり,縦軸にその月の日にちをとって,毎日,勉強した項目に○印を付けてゆきました。また,本試験まであと何日というカウントダウンを書いておきました。こうしておけば,特定の科目のみを学習してしまうという偏りを防止することができる上に,自分なりの達成感を得ることができました。
(ポイントその5) 備忘録ノートを作る。
勉強していると,覚えなければならない事や中々覚えられない事が出てきます。こうした事柄を出てきた順に大学ノートに書き込んでゆきました。書き込む際には,科目名の見出しを,たとえば「(民法),(情報通信)」のごとく付けておきました。このノートは,普段から持ち歩き,常に目を通すように心がけました。何しろ,自分だけの弱点補強ノートなのですから,その威力は抜群でした。私は,このノートに「私の代わりに覚えておいてねノート」とタイトルをつけ,当然のことながら本試験会場にも持って行きました。

◆苦手科目対策

 私には,3つの苦手科目がありました。まず,第1に行政法です。司法書士試験にはない科目のため,行政法を構成する法律の数の多さや専門用語に戸惑いました。しかし,この行政法を克服しない限り,合格はあり得ません。コンパクトにまとまった薄手の基本書を何度も読んで,行政法に慣れるように努めました。さらに,この基本書の末尾の索引を利用して,用語の定義部分を単語帳に書き移し,暗記するまで繰り返し覚えました。
2つ目の苦手は,政治・経済・社会です。これらの対策としては,行政書士用の一般知識の基本書,過去問集,予想問題集そして公務員試験の過去問集の4つを何回も繰り返してやりました。なかなか,すぐに効果が表れるものではありませんが,本試験では,全問正解を得ることが出来ました。
そして3つ目の苦手科目は,文章理解です。私は,高校時代,国語,特に現代文に関しては,かなり自信を持っていたのですが,行政書士試験の文章理解に関しては,安定した得点が得られない苦手科目になってしまいました。いくら解法パターンを覚えてそれを駆使しても,正解にたどり着けませんでした。そこで,あるとき,かつて大学受験の英語の長文読解の際に使った「主語と述語を赤ペンでくくる方法」を文章理解に応用してみました。この方法で文章を読むと,たとえ長い文章でも,何となく内容がすっきりと分かるのです。この方法で,過去問,予想問題,公務員試験の問題を数多く解いてみました。何回か練習するうちに,正答率がどんどん上昇してゆきました。文章理解についても,本試験では,全問正解を得ることが出来ました。

◆基本書,受験情報誌等

 基本書,問題集,法令集に関しては,東京法経学院の書籍を中心に勉強をしました。苦手科目の対策に他社の書籍を幾つか使いましたが,あくまでも中心は東京法経学院の書籍でした。
多くの書籍にまで手を広げなかったことが良かったのだと思います。また,受験情報誌「不動産法律セミナー」は,私にとって大切な情報源となりました。私の場合,ほぼ独学スタイルの勉強法でしたので,「不動産法律セミナー」の記事が唯一の頼りでした。

◆模擬試験について

 行政書士試験を受験するに際し,模擬試験はとても大切な練習試合だと思います。私は,模擬試験については,東京法経学院主催のものと他校主催のものを自宅受験及び会場受験で利用しました。毎回ではありませんが,金銭の都合が付く限り,特急列車で約3時間かけて東京まで受験しに行きました。ちなみに,本試験も東京の明治大学で受験しました。会場受験は,時間配分のシミュレーションが出来るため,答案の作成にとても役立ったと思っています。

◆本試験そして合格発表

 11月8日の本試験から翌年の1月25日の合格発表までの期間は,私にとって大変長く感じられました。各受験指導機関の模範解答で自己採点した結果,記述式問題の部分を除いてあと2点で合格ライン突破ということが分かりました。
記述式問題に関しては,行政法の答案の出来が悪く,民法の2問がかろうじて模範解答に近いものでしたので,最低でも2点はもらえるだろうと思っていました。
しかし,このあと,様々な不安が私を幾度となく襲ってきました。たとえば,マークシートの解答欄は解答用紙の左側から縦に10問で次の行に改行し,トータルで4行だったと思ったが,左から右へ横に第1問,第2問という並びだったのかもしれない,とか,記述式問題の解答を民法から解答していったので,本来,行政法の解答を書く欄に民法の解答を書いたかも知れない,等々不吉なことが脳裏をよぎりました。不安な日々を送りながら迎えた合格発表当日,自宅のパソコンで自分の受験番号を見つけたときは,今までのすべての苦労が報われたと思いました。嬉しいと言うよりは,「よかった」というのが本音でした。亡き両親に合格の報告をしました。涙が出ました。

◆最後に

 私は,幸運にも,今回合格することができました。行政書士試験を目指す人々の勉強方法は,様々でしょう。私は,先輩合格者の合格体験記や受験指導の講師の先生方のアドバイスを取捨選択して,試行錯誤の上,自分流の勉強法を会得することが出来ました。私のつたない体験が,これから受験する方々のご参考になれば幸いです。
現在,私は,行政書士の登録そして開業に向けて準備をしているところです。聞くところによると東京法経学院で,行政書士の独立開業講座か開かれるそうなので,私も受議してみようかと思っております。東京法経学院の先生方,スタッフの皆様いろいろと有難うございました。そして,これからもよろしくお願い申し上げます。