美への気づき 醜への気づき ニューエコロジー

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著者 井口博貴
商品番号 0507-7003332
コード ISBN4-8089-4004-3 C1030  \2286E
版型 四六判
ページ数 260頁
定価 2,400円
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ニューエコロジーが地球を救う

人類の持続可能な発展は可能か? 地球温暖化。酸性雨オゾン層の破壊
地下資源の枯渇等々 失われてゆく自然

環境との共存のために

リサイクル、こみ処理の実際、海外の実情 ISO14001とは、博物館の環境教育的使命
社会環境教育てエコリア思想とは

環境問題の全体像がわかる。

▼はじめに

 我々の住む赤道半径6,400qの小さな青い星、地球は46億年の時を刻みつつ、太陽を周回し続けている。小さなとは太陽の109分の1程であり、また、木星の10分の1程度しかないからである。地球は太陽系の他の惑星、衛星とともに直径10万光年の渦状星雲である銀河系宇宙の一員として、その外縁から約2万光年の位置に存在している。この銀河は他の銀河と共に銀河群を、さらにそれらが集って銀河団を、さらにそれらは宇宙に広がり、その半径は130億光年まで達していると言われている。もちろんその先はいまだ未知である。
 さて、この大宇宙には生物の住む無数の惑星が存在しているに違いない。しかし少なくとも地球の所属する太陽系内では地球上の生物と類似した生命体が存在する星はない。さらに太陽系外に存在していたとしても、その天文学的距離からして、到底地球上の全生命が、たとえ人間のみでも行き着くことは出来ない。もし行き着けたとしても地上と全く同一条件の自然環境がある可能性はほとんど零に近いだろう。地球はまさに我々地球生物に最適な環境なのであり、我々 生物にとってかけがえのない星なのである。ところが恐ろしいことに、その小さな青い星の生物達が今人類の自然を無視した勝手な行動によってまさに絶滅しようとしているのである。今、我々人類は互いの戦争などはやめて、一致団結して地球生態系との共存に立ち上らなければならない。ここに21世紀の新しい環境思想、環境教育方法論を提言するためにこの本は書かれたのである。
 まず第1に環境問題分類法を提言したい。それは環境問題をローカルとグローバルに分けて考えてみようとするものである。さらにそれらの中から失われていく自然について目を通してみる。これらについて環境改善を行なうための環境教育のツールとして、古き良き時代からその方法論を学ぶこと、すなわち自然に畏敬の念をもって接するいわゆる精霊崇拝や風水思想を見直すことについて述べる。さらに環境教育の歩んできた道を振り返りながら様々な環境思想を学習する。それらはディープエコロジー、シャローエコロジー、そして持続可能な発展などである。そしてここに新しい思想「ニューエコロジー」を提唱する。この用語は本来の環境生態学のエコロジーという用語を環境との共存として使っている現状を是正し、それを「ニューエコロジー」として分けたものであり、この書の表題でもある。


 ここで当書の副題ともなっている「美への気づき、醜への気づき」が登場する。すなわち現代の環境教育はとかく自然教育に偏りすぎてはいないかということである。この自然美への気づきを「美への気づき」と述べ、人間の行動によって破壊された自然に気づくことを「醜への気づき」としている。今求められている環境教育はこの2つのバランスが必要であるということを訴えたい。そしてこれらの思想の元でどのような環境教育を行なうべきかを哲学的アプローチによって考える。たとえば、もし比喩的に環境教育という青リンゴがあるなら、どの部分が一番新鮮で美味しいかを提案する。
また環境と共存するための4R、すなわちリフューズ(断つ)、リジュース(減らす)、リユース(再利用)、リサイクル(資源化)を見直し、広く東洋、西洋の現状を駆けめぐる。さらに環境教育は生涯教育であるべきであり、幼児から高齢者に至るまで社会の構成員すべてに行なわなければならないとする社会環境教育を推奨する。この中でスリーステップ環境教育法、すなわち環境への気づきから始まって環境との共存への準備、そして行動へと導くマナーの実践のスリーステップによる環境教育方法を提唱する。また社会環境教育のツールとして今その必然性に迫られているISO14000を説明し、さらに、博物館での環境教育の効果、およびその方法論について述べる。最後に新しい環境思想として「エコリア思想」を提唱する。すなわち自然を守ることに固執している今までの環境思想から脱脚して、それに人間の文化の継承を加え、そこから過去の良き姿、または失敗を学ぶ。すなわち地球を博物館の集合体とし、または大きな一つの環境博物館として、この小さな青い地球を次の世紀の人々のために人類による破壊から守りぬこうとするものである。これらの思想、理論をベースとしてさらに有効的かつ具体的な環境教育方法を構築して行くことを期待している。
 ここに当書の出版に当ってご指導を給わり、出版について心よく引き受けて下さいました(株)東京法経学院代表取締役川勝義秋氏に心から感謝の意を表します。

▼目次

はじめに

第一章 環境問題とは
 1,環境問題を分類してみよう
 2,なぜ環境問題は起こったのだろうか
 3,いつごろから環境問題は起こったのだろうか

第二章 失われてゆく自然
 1,地球温暖化
 2,酸性雨
 3,オゾン層の破壊
 4,地下資源の枯渇と周辺環境の破壊
 5,野生動植物の減少
 6,土壌の劣化とポストハーベスト農薬
 7,核問題
 8,人口問題

第三章 環境教育としての精霊崇拝と風水思想
 1,環境とは
 2,アニミズム(精霊崇拝)
 3,風水思想
 4,風水理論
 5,風水と環境教育

第四章 ニューエコロジーの世界
 1,環境科学とエコロジー
 2,環境教育の歩み
 3,持続可能な発展、ディープエコロジーそしてニューエコロジー

第五章 美への気づき、醜への気づき
 1,美への気づき、醜への気づき
 2,「美と醜」、それらに気づくとき
 3,「美と醜への気づき」、そのバランスを

第六章 環境教育という青リンゴ
 1,環境教育のスリーステップ
 2,環境教育の哲学的アプローチ
 3,環境教育という青リンゴのどの部分が美味しいか

第七章 環境との共存4Rとは
 1,4Rとは
 2,リサイクルを考える
 3,ごみ処理の実際
 4,4Rの海外事情
  中国/香港/シンガポール/ドイツ/英国

第八章 社会環境教育とエコリア思想
 1,環境教育の全体像
  3つの環境教育/成人環境教育の貧弱さ/環境教育か環境学習か/社会環境教育を受ける場
 2,スリーステップによる環境教育とは
 3,ISO14000とは何か
  ISO14000の全体像/なぜISO14000は必要か/EMSのPDCAサークルとは/環境監査/環境ラベルとライフ・サイクル.アセスメント/ISO14000は持続可能な発展を促進できるか
 4,博物館の環境教育的使命
  博物館とは/博物館イメージ/楽しい環境博物館づくり
 5,エコリア思想とは
  様々な環境思想/エコリア思想/未来への提言

おわりに
引用・参考文献

 
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