司法書士試験の受験を決めたのは,大学在籍中のことでした。ちょっと時間に余裕ができ,なんとなく法律の勉強でもしようかなという,極めて軽い気持ちからでした。経済学部生だった私は,難易度も高く,勉強しがいがありそうだという理由で司法書士を選び,勉強を始めたのです。
私の受験回数は4回。初めての受験では,択一式で半分程度しか正解できずに,不合格となりました。続く2回目,3回目もダメでした。さすがに受験を諦めようかと思いましたが,合格者の人と話すうちに,もっと頑張れるはずだと思い,受験を継続することにしました。
それまではアルバイトをしながらの受験生活でしたが,4回目の受験を迎える年が明けてからはその量を減らし,4月以降は受験に専念しました。
私の勉強スタイルは,基本書の読み込みと問題集を解くことでした。
まず,1日の勉強のノルマを決め,そのページ数,問題数をこなすことを意識しました。書式は,択一式の勉強の延長線上と考え,択一式の知識を確実にすることを第一に考えました。ただし,書式特有の部分については,別に時間を割きました。
書式は,暗記と実体法の理解から得点できると考えていたため,過去問や答練の問題演習とは別物としました。具体的には,システムノート(東京法経学院)で,基本ひな形を毎日少しずつ覚える暗記に重点を置きました。
また,実体法上の判断については,普段の勉強中に書式を意識しながら,択一式の勉強をするようにして対応しました。しっかりひな形さえ覚えておけば,書式の問題に臆することなく,安心して実体法上の判断に重点を置いて,問題に取り組めると思います。
最も大きな課題は,弱点の克服でした。
不動産登記法は好きな科目であり,書式にもさほど苦手意識はありませんでした。それにもかかわらず,得点が伸びず,悩んでいました。しかし,結局は,毎日やるしかないと結論づけ,電車の待ち時間や車内では不動産登記法を勉強すると決め,毎日,基本書を読み続けました。それが功を奏したのか,それとも,たまたま伸びる頃合だったのかは判然としませんが,成績が伸びました。
過去問については,やらないよりはやった方がよい,と考えていました。多くの受験生が過去問を利用している以上,過去問で出題された知識は受験生みんなが持っているはずで,それを知らないことは不利になるからです。
受験回数が増えるにつれ,答えを覚えてしまっている問題も多くなり,過去問は使いづらくなりますが,苦手分野がすぐに確認でき便利なので,年内に1回,年明けに1回程度,見ておくとよいと思います。
ただし,最近は法改正が多く,改正分野からの出題もあります。その点については,過去問以外での対策が不可欠になります。
答練は,それ自体で勉強しようとは思わず理解不十分な分野の確認と,本番での時間配分
を覚えるために利用しました。
私は,午前択一式を80分,午後択一式を70分,書式を50分で解くように決めていましたので,その時間で解けるように体を慣れさせました。最初はこの時間配分では厳しいのですが,慣れてしまえば大丈夫です。本試験では緊張の度合いも高く,いつも以上に時間がかかるものなので,答練を受ける際は,厳しいと感じるくらいの時間配分で臨むのがよいと思います。 模試は会場受験を選び,受付時間より前に着き,会場近くの喫茶店で勉強してから受験しました。体調万全で受験するよりも,勉強後の,ちょっと疲れている状態で受験するようにしていました。
いくつかの受験指導校の模試も受験しましたが,不動産登記法の改正分野からの出題を避け
ている模試も少なくありませんでした。添付書類を一切問うていないものもありました。その点,東京法経学院の模試は改正分野からの出題が必ずあり,有意義でした。
私は,テキストや問題集には,あまり書き込みをしませんでした。書き込みが多いと情報が集約されて便利な反面,不要なことも書いてしまって見づらくなることも多く,また,試験会場に全科目のテキストを持ち込むことはとうてい不可能です。その代わり,情報集約は六法に一本化し,蛍光ペンを引き,書き込みまくりました。
スランプには,誰でも陥ると思います。私も,何度も陥りました。
しかし,スランプとはいえ,何にもできないことはありません。勉強を放棄せずに,できることを少しずつ,極端な例ではテキストを書き写すなどをしました。「頑張れるなら頑張ろう。きっと今はきつい時期なんだ」といい聞かせて取り組むうちに,気づいたらスランプを脱出できていました。
本試験会場には,六法と自分の作った『間違いメモ』を持ち込みました。会場では,あまり勉強時間はなく,緊張の度合いも大きくなります。このため,自分の字で書いたメモは精神的な助けとなりました。
また,会場は冷房が入っていますが,適温は人それぞれ異なりますし,席によっても差が大きいようです。私は,必要以上なほどに重ね着をしていきました。
試験では,予想していなかった事態に出合うことも少なくないと思いますが,絶対に合格すると思い続けることが一番大事だと思います。最後まで諦めず,合格すると強く信じて解き続けることが大事です。
私の受験動機は,軽い気持ちからだったので,予定を遥かに上回る苦労をし,不安にも襲われましたが,頑張り続けてよかったと思っています。