28年間勤務した某石油精製会社の早期退職制度を利用して退職しました。退職後は,今までしていた業務とは違う仕事をしてみたいと考えていました。そんな時,司法書士のことを知り,登記業務や訴訟業務を通じて街の法律家になることを目指して,司法書士の資格取得を目標にしたのです。法律に関しては全くの素人でしたので,3回程度の受験で合格できれば良いと考えていました。今から思うと非常に楽天的な考え方でした。
<平成10年>全くの素人が基礎コースで勉強開始
在職中に業務上必要であった労働安全衛生法,高圧ガス取締法,公害防止法等とは全く違う法律の民法,商法等を勉強する必要があったので,家の近くにある受験指導校で司法書士試験の基礎コースを受講しました。私は,工学部の卒業でしたので,民法のイロハからの出発でした。ビデオでの授業で約1年間司法書士試験の全科目を受講しました。新しい知識を得ることに喜びを感じ,楽しく勉強することができました。この間,過去問もひと通り学習しましたが,その後受講した答練の成績も,初めての本試験も約5割の出来で全く歯が立ちませんでした。初学者だから当然だと思い,後々気づく弱点のことなどは頭にありませんでした。
<平成11年>中上級コースでレベルアップ
受験2年目は,基礎コースを受講した受験指導校で司法書士試験の中上級コースを受講し,この間,過去問も攻略し答練も受講しました。
ところが,近年の傾向である学説問題の増加に対し,対応するのが遅く,何も手を打つことができないまま本試験を受験することになりました。その結果,択一1次26問,択一2次27問という結果でした(この年から問題の持ち帰りができるようになりました。)。
<平成12年>合格を目指して,そして挫折
前回対策を講じることができなかった学説問題に対処するために,有斐閣のSシリーズの民法と商法を基本にして,判例や通説の見解を覚えるのではなく,なぜそのような対立が生じるのかを考えながら勉強しました。過去問や答練も続けて受講しましたし,当初の目標である3年目ですので,合格できるものと確信して本試験を受験しました。しかし,本試験の結果は思うように伸びず,択一1次20問,択一2次21問
の結果でした。特に,難易度の高くなった民法のできの悪さに樗然としました。今まで受けた2年間とは全く質の異なる問題のような気がしました。これから先も受験勉強を続けるかどうか悩みました。
<平成13年>法的思考力を高めよう
平成12年度の本試験終了後,とにかく学説問題を克服しなければ合格はありえないと考え,学説問題を詳しく扱った書籍で学習しました。
そして,学説の根拠と判例を何度も何度も頭の中で繰り返し,関連判例の部分も何度となく読みました。それまで簡単に勉強していた学説でしたが,じっくり腰をすえて勉強し始めるとその面白さがだんだんとわかるようになりました。しかし,本試験の結果は択一1次27問,択一2次24問でした。非常に悔しい思いもありましたが,冷静に反省することをしました。本試験を受けての反省点は,
<平成14年>ミスをなくし法的思考力を高めよう
過去4回の反省点を克服するために,次の点に重点をおいて勉強した結果,答練の成績も良くなり,成績優秀者に名前が載るようになりました。この年の受験のための目標は,
本試験では択一1次29問,択一2次27問の正解でした。書式はぎりぎりの点数でした。
10月2日に筆記試験の結果発表を法務省のホームページで見て自分の番号を発見したときには,うれしさとホッとした気持ちでした。平成14年度の合格点は206点以上とのことですので,ギリギリで合格したものと思っています。
5回の受験をした私ですが,合格した今,途中で諦めないでよかったと実感しています。
幸か不幸か,私は約5年間受験に専念することができましたが,そのような境遇の方ばかりではないと思います。しかしながら,継続することも合格するためには必要です。これから受験されるみなさんも,どうか諦めることなく学習を続けてください。良い結果が出ることを祈念しています。