私は,平成16年度司法書士試験に合格することができました。一般に,このような合格体験記では,学習方法などを記載する人が多いと思いますが,私はあえて学習方法以外の生活態度等全般を中心に,述べさせていただきたいと思います。
受験回数8回目になる平成15年度の本試験も不合格でした。合格点に,1.5点及びませんでした。
毎年,基準点(足切り)はクリアできていましたが,総合得点のうえで「合格」という結果が出ない数年が続いており,精神的にもたいへん辛い日々が続いていました。平成15年10月の筆記試験合格発表後,1ヵ月程度は「放心状態」でまったく勉強が手につかず,平成16年度の本試験を受験しようかどうかも迷っていました。
そんな日々を送るなかで,なぜ結果が出ないのかをよく考えた末に,ある1つのアイデアが生まれました。「学習方法ではなく,何か生活習慣を改めてみよう。何らかの意識改革ができるかもしれない。」といったものでした。
そこで,お金と時間を浪費する「たばこ」を吸う習慣を断ってみることを考えつきました。ヘビースモーカーだった私には苦渋の決断でしたが,平成15年11月1日付けで,たばこはきっぱり止めることができました。(その方法はまたいつか機会があれば述べます。)
受験生で,喫煙者の皆さん,受験勉強をしている期間だけでも禁煙してみてはいかがでしょうか。たばこを吸っている時間は,通算すると非常に長いものになると思います。その時間を,少しでも学習にあてることができたら,一層の学習効果があると思います。
また,何よりも,朝起きたときに「体が,特に足がだるい。吐き気がする。」ことがなくなり,毎日,肺と頭がすっきりした生活を送ることができました。まさに,“生活をリフレッシュ”することができました。
勉強をビシッとしたいのであれば,せめて受験期間中だけでも「たばこはやめましょう」。
平成15年末に,私の職場環境は一変しました。
私に対する異動の打診からはじまり,会社の職員のたくさんの人々が異動や退職のため,周りから去っていきました。このため,仕事の負担が増大し,仕事を持ちながら受験勉強を続けるのは年内で終わりにせざるを得ないことも考えていました。しかし,退職のうえ専業受験生として学習することの精神的・経済的な辛さを考えた結果,退職しないことを決断しました。
そんな職場環境のなかでも,本当に幸いなことに部署に残った職員の方や,パートの方が私に協力してくださる方ばかりでした。この点も,今回の合格につながったと思います。特に,休日出勤について優先的な取扱いをしていただいたのはもちろん,試験直前である6月には,職場が忙しいにも関わらず,ほとんど毎週土日にお休みをいただきました。さらに,平成16年度の本試験直前では,例年であれば3日も休みをもらえればよいところを,1週間もお休みをいただくことができました。そのうえ,皆さんから「是非,今年は決めてください。」「自分は絶対大丈夫と思っていれば,絶対大丈夫ですよ。」などなど,たくさんの言葉をいただきました。職場の皆さんに,たくさん,たくさん気を遣っていただきました。
職場の皆さんの,目に見えない力に後押しされました。
年明けの平成16年3月,あるきっかけから,平成15年度司法書士試験合格者のSさんという方と知り合うことになりました。学習のことなどを話し合ううちに,たくさんの励ましや有益なアドバイスをいただきました。
特に,昨年度1.5点足りずに不合格となったことなどを話すと,「本試験では,問題文をしっかり読まなくてはならないという意識が強くなることから,問題文を端から端まで読むことをしてしまいがちですが,択一は特に消去法を意識して問題の解答をしてみてください。」という趣旨のアドバイスを,答案練習のたびにしていただきました。
また,遠回しに「がんばれ」と,励ましてくれている手紙を適宜いただきました。
この直近の合格者から「試験に対するテクニック」等を,親身に,そして何度も何度も,直接指導を受けることができたことが,たいへん大きな勝因につながったと思います。私が合格するのに必要なときに,このSさんという本物の合格者が身近に現れたのです。
綿々と私事を述べてしまいましたが,もう,私の言いたいことはわかっていただけたと思います。
まず第1に,結果が出ない人は「意識」を変えてみてはどうでしょうか。「同じ意識で生活をしているから,同じ結果しか出ない。結果を変えたければ,意識を変えてみる。」ことに気づくべきです。
そして,第2に,「合格は1人の力でできるものではない。」ことを認識すべきだと思います。私が学習を続け,合格できたのは,家族,職場の人たち,その他,協力してくれた人がいたからです。もし,「おれはこんなに難しい試験に1人で挑戦しているんだ。ほかの人にはわからないだろうな。」などという意識で試験勉強をしているのであれば,老若男女,遅かれ早かれ意識を変えない限り,良い人が目の前にも現れず,ひいては良い結果も出ないのではないでしょうか。
私の家族,教育事業部をはじめとする職員の皆さん,パート,アルバイトの皆さん,Sさんをはじめとする方々に,この場をもって再度感謝の気持ちを伝えたいと思います。