「ベテラン受験生に贈る応援歌」−合格体験記|司法書士試験|東京法経学院





司法書士 合格体験記

「ベテラン受験生に贈る応援歌」

体験記

 体験記

K.Kさん(岐阜県)

◆『はじめに』

 今回,合格体験記の執筆を依頼された時,正直いって乗り気ではなかった。私自身,ベテラン受験生の仲間入りをした頃には「勉強方法なんて人それぞれだし,合格してしまえばフィクションで何でも書ける」と,合格体験記をほとんど読み飛ばしていたからだ。
また,○○学院の○ヵ月コースを受講して見事合格した!なんてフレーズを見ると,単なる宣伝じゃねーかと,ひねくれた感想すらもっていた。
その経験から,ベテラン受験生に読み飛ばされないことを目的として,正直な合格体験記を書いたつもりである。読み飛ばすことなく,ぜひとも一通り目を通してもらいたい。

◆『3年目の罠を克服せよ』

 短期間で合格するつもりが,どうしてベテラン受験生になってしまったのか―――つまり,読者の現状を,私の経験を踏まえて,時系列的に分析してみよう。
受験指導校を利用した場合,まず本科の授業を受け,年末から模試・答練等を受ける。そして,夏には本試験に挑む。結果は,おそらく散々だろう。書式に関しては,ペンが止まっている時間の方が長かったに違いない(ただ,初回ということもあり,ショックは小さい)。
2回目の受験では,択一式は足切り前後の点数となり,書式も筋はあっている状態。1回目に比べ,2回目でこれだけ点数を上乗せできたのだから,合格が見えてきたと思うのだが,3回目もまた不合格(このときのショックはデカい)。
なぜだ?その答えを探し,私も短期合格者が執筆した体験記を熟読したが,いま思えば,これはまったくの無駄であった。
すでに3回の受験に失敗し,短期合格者となり得ない者が,短期合格者のマネをしても合格できるわけがない。だいたい短期合格者というのは,知能指数が高くて高学歴であり,私やこの体験記を我がことのように思っているアナタとは,レベルが違いすぎる。
では,どうして合格が見えてきたと勘違いするのか。それは,模試や答練等をこなしすぎて,カンで正解できるようになり,試験の本質を見失っているからだと思う。受験も3回を数えると,条文・判例・過去問をこなすという個々の学習スタイルが確立し,これを繰り返せば合格できると錯覚してしまうのである。言い換えれば,受験指導校のカリキュラムに乗っかった学習スタイルになってしまうのだ。
私が思う司法書士試験の恐ろしさは,「そこそこの点数」には到達するものの,合格点数との間には大きな壁があり,その壁を乗り越えることが最も大変であるということである。そして,その壁を乗り越えるには,いままでの勉強方法では通用しないということに気がつかなければ,「3年目の罠」から抜けだせないだろう。

◆『貯えた知識を整理せよ』

 私も3年目の罠にかかり,ずいぶん悩んだ。
実は,私は本科を受けておらず(経済的な理由で答練のみの受講),基本的な知識が一部抜け落ちていた。そこで,もう一度,基礎に戻って勉強し直そうと,新たにサブノートを作成した。それまでは,六法やテキストへの書き込みが中心だったが,自ら参考書を出版するつもりで,全科目についてゼロから作った。その際に心がけたことは,次の2点である。
まず,勘違いしやすい要点は,科目を超えて整理すること。
次に,制度の趣旨,つまり「なぜその条文が必要で,なぜ例外を認めるのか?」を考えること。制度の趣旨を追究すると,司法書士試験用の参考書では足らず,司法試験用の参考書まで購入した。
単に○か×を問うのではなく,なぜ○なのか,その理由を問うのが最近の司法書士試験の傾向であるから,ハイレベルな基本書を読み込むことも無駄ではなかったし,結果的に合格したのだから,この勉強方法が近道だと思う。
また,「そこそこの点数」を取る実力がありながら点数を伸ばせない理由は,知識の整理がイマイチなのである。
3年以上も試験に費やした人に,基本に返れというのは酷かもしれないが,「そこそこの点数」から「合格点数」へジャンプするには,知識整理用のサブノート作りを試してほしい。3年目から作り始めたサブノートだが,私は3冊のサブノートで合格できたのだ。

◆『絶対に合格せよ』

 合格までの時間に個人差はあるものの,司法書士試験は,特別の能力がなくても日々の努力で合格できる試験である(事実,大学受験さえしてない私でも合格した)。
胸に手を当てて考えてほしい。「どうして司法書士になろうと思ったのか」と。
模範回答は,おそらく「法的弱者を救済したいから」「社会正義のため」等々であろうが,ベテラン受験生は“そんな昔の話,とっくに忘れたよ”と真っ先に思ったに違いない。
私もベテラン受験生時代,「いままで勉強してきたことが無駄になるからやめられない」という気持ちがいっぱいで,法律家としてのマインドなど,合格してから身につけても遅くはないと思っていた。この考えは,いまも変わっていない。試験である以上,とにかく合格することが大事であり,それがすべてである。
合格する人と合格できない人との差は,「合格するまでやる!」という試験に対する強いマインドの有無だと思う。
ベテラン受験生の皆さん,そのマインドをもって,受験までの限られた時間を高いモチベーションをもって過ごしてほしい。

◆『おわりに』

 最後に,誤解のないよう補足しておきたい。
私は,東京法経学院の本科を受講しないで合格した。しかし,受験指導校の利用が不要だとは思っていないし,効率的な学習にはむしろ必要だと思う。 法令改正が頻繁,かつ短期に行われている昨今では,受験指導校の利用が欠かせないと思うからである。余裕があるなら,当然行くべきだと思う。