私は、土地家屋調査士事務所と行政書士事務所の補助者です。
土地家屋調査士試験の勉強には、まず補助者経験を積むことが圧倒的に有利です。私は補助者になって 3 年程度経過後に土地家屋調査士試験を志しました。私の主な担当は非区分建物登記全般。地目変更登記でしたが、土地分筆登記、合筆登記や筆界特定を担当するチャンスもありました。補助者経験を積むことで、土地家屋調査士試験勉強が、六法の文字の羅列との戦いではなく、実際の登記簿や申請書、現場をイメージする勉強に変わります。しかし、田舎なので区分建物にふれる機会はなく、区分建物を理解することには苦労を要しました。
私は、試験 2 回目の挑戦で合格しました。 1回目の試験は後 5 点程度足りなかったので非常に悔しい思いをしました。書式で足切りにかかりました。勉強を始めたのは 1 回目に挑戦する前年の夏頃でした。択一の勉強から始めました。東京法経学院の過去問マスターからスタートしましたが、わからない問題は全て所属する事務所の土地家屋調査士の先生に質問しました。テキストは主に東京法経学院の択一合格ノートと力石先生のDVDです。合格ノートに事務所の先生が解説をして下さいました。あと、登記の結果どうなるかが実際に記載されている東京法経学院の不動産登記記録例が役に立ちました。
私は兼業主婦でしたので、家事を行うときは必ずBGMに力石先生のDVDを聞いていました。書式に取りかかったのは年末か年明けくらいだったと思います。書式合格ノートを使用して事務所の先生に解説を受けながらスタートしました。関数電卓の複素数も教わりました。区分建物の申請書は特にわけがわからなかったので、東京法経学院の登記申請マニュアルをコピーし、自分でどこに何をかけば良いか解説を色で書いてファイリングしました。過去問レベルの書式問題を解けるようになったのは 5 月の頭くらいで、ゴールデンウィークから過去問マスターに取りかかりました。ゴールデンウィークには名古屋で東京法経学院の講座があり参加しました。前半と後半があり、後半は書式解説で内堀先生の講座があり、非常に分かりやすく、これは受けてよかったなと思いました。申請マニュアルの解説をしてくれました。朝、授業の前に質問を受け付けているのですが、解説も曖昧なものがなく、非常にお薦めです。
書式過去問マスターをひと通り解き終わったのは 6 月頭くらいでした。 5 月の模試は自分のレベルが追いついてなかったので受けませんでした。この年の答練も受けませんでした。でも過去の答練や模試を 5 年分くらいと過去問10年分くらいやりました。そこで、事務所の先生から間違った択一の問題について「何故その肢を正しい(あるいは正しくない)と思ったのか」をひとつひとつ検証したほうがいいとアドバイスをもらいました。そこから、択一の過去問の肢一つ一つについて、「正しい、何故ならこうだから」とノートにメモし、答え合わせのときに「自分の考え方のどこが違っていたのか」を明確にして、六法やテキストと照らし見直しを行いました。択一の正答率があがっていきました。 7 月の直前実戦模試では、優秀成績者に名前が載ったので、「これはいけるかも!」と思い、引き続き過去問と過去の答練を中心に勉強しました。
しかし、一回目の本試験では、択一に時間がかかり、50分程度要しました。その後、建物でも問題の読み込みに時間がかかり、土地を解く時間が20分程度しかありませんでした。一生懸命勉強したのにダメかもしれないと途中で足が震えました。とにかく答案用紙を埋めることに集中し、 2 時間半を終えました。このときの試験会場は南山大学で、机が小さいこと、図面を描く試験なのに会場の講義室の机が手前に向かって下がっていて斜めであることに衝撃を受けました。筆記具が転がり落ちて試験後に後ろの人に拾ってもらいました。2 時間半なんとか書き切ったと思い、択一の自己採点でも17問正解したので、もしかしたらいけるかもしれないと思っていました。
でも結果はダメでした。書式の点数が足りませんでした。合格発表の次の日から次の年の試験に向けて勉強を再スタートしました。試験の反省として、圧倒的に勉強不足というよりは経験不足であると感じました。過去問や過去の答練だけでは、近年の書式傾向である長文を読ませ考えさせる問題を多く練習することができない、また、会場に自分以外の人が多くいる場所では、緊張で焦り自分の実力が発揮できない、と感じ、来年は 5 月から東京法経学院の答練をやろうと決意しました。
5 月までに 2 時間半の試験本番と同じメニューをこなせるレベルになるように、勉強を始めました。
また東京法経学院の雑誌の合格体験記を読み、直前期に毎日試験会場に行って、 2 時間半試験本番同様のメニューを練習したという記事を読み、試験会場の下見は絶対だと痛感しました。択一は、これまで通り、一つ一つの肢について検証する作業を行い、書式は基礎からやり直しました。土地家屋調査士の先輩に書式で時間がかかったと言ったら、「電卓は両手でうつんだ」と言われ、練習し、スマートフォンを操作するのと同じくらいか、それより早くできるようになりました。
5 月のゴールデンウィークから毎日 2 時間半のメニュー「択一20問、土地、建物書式」を毎日 1 回ずつ、練習し始めました。5 月の実力診断模試では、去年初めて受けた模試と同じくらいの順位がとれたので、やっと去年の試験当時のレベルに戻ったと思いました。その後も 2 時間半のメニューを毎日続けました。答練が毎週送られてくるので、土日にやって、送り返しました。
会場の大学が決定したら、下見に行きました。机に実際に座ってみて、机の大きさを図りました。やっぱ机の大きさは小さめです。ですが、南山大学と違って机が平らだったので、安心しました。答練を続けて行って、最後には自宅模試でも成績優秀者に名前が載るようになり、直前実戦模試でも 9 位まで上がったので、自信がついてきました。答練の書式問題は最近の出題傾向に沿っていますので、かなり貴重でした。答練の書式問題は、択一、書式 2 問の 2 時間半のメニューの中でも間違えなく書けるように練習しました。択一は間違えた問題だけで、20問揃えて取り組むようにしました。
私は当日の緊張と不安を解消するため、もっと会場模試を受けたいと思い、東京法経学院以外にも 4 回受けました。
一週間前に土地家屋調査士法を見直しました。土地家屋調査士法は東京法経学院の合格データベースを使用して、一肢ずつ検証しました。力石先生の土地家屋調査士法のDVDを音声で録音して、携帯でいつでも聞けるようにしました。
前日は近くのホテルに前泊をし、会場を再下見しました。道のりを確認し、机を含め会場の写真を撮りました。当日のご飯を食べる場所を確認しました。苦手な合筆や区分建物の申請書を携帯電話で写真に撮り、電車の中で見直しました。当時の携帯電話の待ち受け画面も申請書や備え付け資料の保存期間のリストや間違えた問題に関係する条文を写真に撮ったものでした。前日もこれまでの答練や模試の問題を見直しました。会場の写真を見て、当日をイメージしながら寝ました。
当日は30分前くらいには会場の机に着いていました。昨年は 5 分前に着いたので気持ちの落ち着きが全然違います。
本番は40分で択一を終え、建物、土地と時間配分通りで、10分余って見直しもできました。建物の絵が複雑で、 1 回書いた後消しゴムで消して書き直しましたが、スピードを重視して練習してきたので、間に合ったのだと思います。2 時間半が終わったときには、もうこれ以上自分には無理だと思うほどやりきった感があり、合格しているかわからないのに涙が出てきました。
結果、択一が19問とれて、書式も足切りにかからず合格することができました。択一は答練の問題がばっちり出たものもあり、直前も詳細に見直して良かったと思いました。
自分が勉強したことももちろんですが、これまで教育してくれた事務所の師匠、仕事を18時か18時半で終わるように協力してくれた後輩たち、新婚なのに家庭の用事に行かなくても許してくれた両親、家事をさぼっても叱らずにいてくれた主人、等多くの周りの人の協力がなければ、勉強時間すら捻出できませんでした。本当に感謝の思いでいっぱいです。
土地家屋調査士試験は、勉強はもちろんですが、最後は 2 時間半をどう過ごすかの訓練及び練習に尽きると思います。私の経験がどなたかの参考になれば幸いです。