土地家屋調査士 合格体験記
受験12回目にしての合格
体験記
1.1回目の挑戦
サラリーマンも後半戦を迎えた52歳,都市再生街区基本調査の業務に従事することとなりました。本業務は特殊な業務であったため,各部門から参集したメンバーで構成されました。この仕事の中で,土地家屋調査士の仕事を知ることとなりました。本業務は全国の公図を集め,公図に対応する街区点を設定して,公図と街区点との評定を行い,公図の誤差を求めて,誤差の程度に応じて,地図,地図に準ずる図面等に分類する作業を行うものでした。この業務を行う上で,一部の業務に土地家屋調査士さんにも協力を戴くことになりました。そこで「土地家屋調査士」が土地の境界に関わるプロであることを知ることとなりました。そして,私も定年後,土地家屋調査士になり,自立して行ければと思うようになったことが,受験の動機です。確か,東京法経学院さんの短期合格講座を受講したと思います。しかし,始めて見ると,初めての分野であるため,理解が深まらないまま本試験を迎えました。結果は,まったく歯が立たない惨憺たるものでした。
2.2回目からの挑戦
2回目からは「実戦答練」を受講することとしました。これは,試験問題になじむための選択でした。この答練の受講から本試験に望む方法を続けた結果,少しづつですが,得点が上昇していきましたが,書式の点数が伸び悩む状況が続きました。そんな中で,平成23年の試験は特別な衝撃を受けました。それは,登記所に備え付けの地積測量図の理解が深くなければ解答することが困難な問題であったと思いました。また,地目も境内地と宅地以外の問題が出題されたことも衝撃を受けました。このことから,土地家屋調査士の受験に当たっては基本的な知識は確実に熟知していなければ解答することが困難であることを痛感しました。
3.出題方法の大幅変更
平成24年度の試験は,これまでと大幅に異なるものでした。それは,試験の問題文が10ページに及ぶ長文になったことと,単なる申請書を作成する問題から,「覚書」の内容から申請内容を問う問題と,これまでにない出題方法となりました。多くの方も衝撃を受けたと思いますが,私もその一人です。負け惜しみかもしれませんが,やはり,基本的な知識の理解が深く,冷静さが備わっていれば十分に解答できた問題であったと思います。
したがって,先に述べた通り,土地家屋調査士の受験に当たっては,基本的な知識は確実に熟知していなければならないことを痛感いたしました。
さらに,25年度の試験では建物の所在を正しく認識できているかが合否の分かれ目になったと思います。26年度の試験では合筆登記における地積を正しく計算できたかが合否の分かれ目になりました。したがって,何度も述べますが,基本的な知識は確実に熟知していなければ合格することが困難であることを痛感いたしました。
4.今年度試験の総括
この4年間の試験では僅少の点数で合格できなかったことを反省して,これまでも何度も述べた「基本的な知識の確実な熟知」を目標にこれまでの弱点を克服する勉強方法に徹することとしました。具体的には過去の答案練習で間違えた個所の反復習得に重点を置きました。結果,何とか合格することができましたが,以下に反省点を挙げます。
建物図面・各階平面図の作成時間が大幅に超過し,後の土地問題の解答時間を圧迫することになり,結果,土地の問題文の十分な理解が出来ないまま解答したことで減点が多く生じました。具体的には,登記目的を誤ってしまいました。しかしながら,座標値の計算と地積測量図は誤りがなかったようで,何とか6割程度の得点を取ることが出来ました。このことは,書式問題の得点が悪かったものの,足切りラインぎりぎりに留めることができたものと思います。あまり良い例ではありませんが,座標値計算と地積測量図の作成といった基本的な事項について良好な結果が得られたことが足切りぎりぎりに踏み留まったものと思います。反省点は,建物図面・各階平面図の作成時間の短縮です。
一方,択一問題については,9割の正解を得ることが出来ましたが,このことが書式の減点をカバーしたものと言えます。
5.試験の取り組み方法について
これまでの試験結果から,書式問題の得点が不十分だったことから,試験時間の配分を択一40分,建物50分,土地60分で解答するような時間配分で行うように計画し,書式に多くの時間を割り振るようにしました。また,解答の順番も上記の項目の順序で行うようにしました。しかし,先ほども述べましたように,建物図面・各階平面図の作成時間が大幅に超過し,時間配分に狂いが生じました。結果,土地問題の把握が十分に行えない状態で解答する事態に陥りましたが,極力冷静さを保つように心掛けました。結果は,座標値と地積測量図の得点は何とかクリアでき足切りラインに踏み留まることが出来たと思います。
一方,択一問題についてですが,以前に問題文にマークしたものの,マークシートへの記入を忘れた事がありましたので,一問ごとにマークシートへの記入をすることとし,まとめての記入を行わないようにしました。このようなことで落第しては悔やんでも悔やみきれないこととなります。
6.後続の皆様へ
52歳で始めた土地家屋調査士試験も12回を費やし,現在,定年も過ぎ63歳になりました。この間,悔しい思いをたくさんしましたが,あきらめる気にはなりませんでした。今後は,土地家屋調査士の業務を一日も早く始めたいと思っております。
来年以降受験する皆様が,これほどの回数を費やすとは思いませんが,3,4回受験している方も決してあきらめることなく,基本的な事項の理解を徹底して,晴れて合格を勝ち取られることを願っております。