合格体験記|定年後の開業目指して住宅購入と引き換えに調査士に再挑戦|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

定年後の開業目指して住宅購入と引き換えに調査士に再挑戦

体験記

岡野 正徳さん


 体験記

 私は,地方公務員として長年勤務してきましたが,定年を7年後に控えた平成22年3月末に,住み慣れた家の建て替えを決断すると同時にこの土地家屋調査士への再挑戦を決意し,学習を再開しました。それは住宅ローンを80歳まで設定するために定年後の仕事を確保することを目的としたためです。今年度(平成27年度)ようやく筆記試験合格となり,口述試験も済みましたので,これまでの経緯を「合格体験記」として報告させていただきたいと思います。

 実は,私は,42歳になったころ仕事の関係から,まず「1級土木施行管理技士」の資格取得を目指して,車で約1時間かけてN社の地元校に通い,受験準備のための学習を始めました。同じクラスの人が約15人程度いましたが,予習をしないと当日のテスト結果が全員の前で発表されるため,学生時代にはなかなか出来なかった予習を自然とするようになり,だんだんと知識が身につくことが実感される毎日でした。そしてこの試験は1年でクリアし,平成11年3月に合格証書を得ることができました。

 次に,学習することの心地よさを実感するとともに,この資格を取得できた自信から,次の資格は自宅学習でもできるのではないかと考え,仕事に関係する測量士補の資格に挑戦することとしました。そして,市販の基本書と問題集を購入し,2回目の挑戦で平成12年にこの測量士補の資格を取ることができましたが,この資格が土地家屋調査士の午前の部の試験が免除になることを知り,将来この土地家屋調査士を目指そうかとおぼろげに思っておりました。

 しかし,その当時は仕事の関係から宅地建物取引主任者が次の目標と考え,その後4回の挑戦で平成14年にこの宅建主任者の資格を取得しましたが,実はその前年の平成13年に,夏の宅建の試験終了後,土地家屋調査士のW社のビデオ基礎通信講座を始めていましたが,宅建主任者が不合格でしたので,再度宅建主任者の4回目を受け,調査士のほうは中断してしまいました。

 そして,いよいよ調査士の本格的勉強をしようと考えておりました時に,仕事が忙しく夜遅くまで残業が続くようになり,それまで続いていた自宅で学習する習慣がいつの間にかなくなり,再度調査士に挑戦しようという意思を自分の中でいろいろな理由をつけて忘れようとしていました。

 そして,宅建主任者の資格を取ってから8年を経過した平成22年3月ごろ,それまで住んでいた家が古くなり,建て替えるということにしましたが,定年を7年後に控えた時点で大きな住宅ローンを借りることが必要となり,そのリスクを少しでも回避するため,また,定年後の仕事を確保したいため,この調査士に再挑戦することにしました。

 調査士は学習を再開するにあたり,当然9年前に購入したビデオ基礎講座の学習材料はそのまま揃っていましたので,このカリキュラムに沿ってビデオを見て,基本書を読み,本来通信添削で行う問題を自分で採点し,約5か月の学習を経て初めて本試験を受けました。本試験1週間後には新築になった新しい家に引っ越し,立派な書斎を手に入れることができました。

 しかし受験内容は散々で,特に書式では解答する申請書様式が横書きになっていること,また,択一では「電子申請」などという見たことがない言葉があることがわかり,少し調べてみると,平成17年に不動産登記法自体が大きく変わっていることが判明しました。11月の試験結果の通知は,択一17.5点で当然足切りでした。

 したがって,次の平成23年度の本試験はW社の基本書,過去問題集及び書式の基本パターンの問題集を手に入れ,約7か月の学習期間で2回目の挑戦をしましたが,やはり択一22.5点の足切りで全く歯が立ちませんでした。そこで,2回目の本試験が終了した時点から,通年で準備すること,W社の答練を受けることを決め,学習時間の確保としては,朝方に切り替え,夜8時には就寝し,朝2時に起きて6時までの4時間を学習時間に充てることとしました。

 そして,書式の土地ではそれまでやっていた方向角と距離から三角関数を使って求めるX・Y座標値をそれぞれ求めていた方法から複素数計算により一気に求める方法があることを知り,H社の「測量計算と面積計算」等を参考に繰り返し練習しました。そして,24年1月から20回の答練と3回の全国模試を受けましたが,全国答練の得点は総合平均点を下回るものがほとんどでした。また,書式のうち土地を最後に解答していましたが,時間切れで書ききれないものがほとんどでした。3回目の本試験の結果は,初めて択一が40.0点で基準点を超えましたが,書式は21.5点で基準点に達せず,特に最後に回答した土地の時間が足りず,5点しかありませんでした。

 次の平成25年度も,前年と同じくW社の12回の答練と全国模試を受けるとともに,書式強化のための講座を受けることとしました。その結果,答練及び全国模試はほとんどの回が平均点を上回り,今年はいけるのではないかと考えて本試験に臨み,択一・書式とも基準点を超えましたが,合計得点は66.5点で合格点まで5点不足していました。

 そして,次の平成26年度の本試験合格を目指すには何が不足しているかを考えました。その結果,この試験はいかに早く択一を終えて,書式に取り組み,そして書式では問題のポイントをいかに早くつかみ,書式全体を書き上げるかにかかっていると考えました。そのためには,前年までのW社の答練の問題全体の文章が短く,本試験に比べても文字量が相当少ないのではないかと考え,平成26年から東京法経学院の答練に変更しました。実際に取り組んでみると,問題文の長さも本試験と同等で,解答もより詳しく解説がされていました。また,解答用紙も択一・書式ともほぼ本試験と同様の形式になっており,さらに各答練や公開模試の参加者がW社よりもたいへん多いことがわかり,安心して取り組むことができました。また,全国公開模試は,将来開業を目指す場所である福岡校で受けることとしました。

 答練12回と公開模試2回の成績は,合格圏Aが3回,準合格圏Bが5回,要努力Cが6回となり,参加者が多く,実力者が多く参加している印象でした。そして,平成26年度本試験に臨みましたが,結果は択一42.5点,書式31点の合計73.5点でしたが,合格点に1点不足していました。

 この年の本試験の反省点として,早くやろうとして択一の相続に関する問題での勘違いが1問,書式土地問題の解答項目の申請人を添付書類と読み違え,また,建物の主である各階平面図を省略可能と判断したミスがあり,このどれかを間違えなければ合格であったと悔やみましたが,気を取り直し,平成27年度の準備に取り掛かりました。そして,改善点として,択一については,民法3問は,深入りしないこと,組み合わせ問題は,問題をできるだけ全肢を読まなくて済むように解答項目の肢の組み合わせを最大限活用し,最大3肢,最小2肢読んで解答し,確認のために残りの肢を読まないようにしました。

 答練ではこの択一が35分以内で済むようにストップウォッチで何回も練習しました。また,書式では,内堀先生が全国模試の解説DVDで指導しておられましたが,問題文のうち土地では申請人,地目,登記原因及びその日付の記載欄に関係する箇所にアンダーラインを必要なところだけ入れることを何回も練習しました。最近の傾向として建物の問題の難化傾向に合わせて,先に土地に取り組むことも答練でやってみましたが,すでに5年も書式の問題に取り組み,その記載の順番や計算の順番が次のように頭で考えるのではなく手に染み付いていましたので,変更はしませんでした。

 それは,土地は,まず問題文を読みながら必要なアンダーラインを引き,解答の申請書及び地積測量図の書けるところは全部先に書いた後に座標計算をすることを基本とし,建物は,問題文を読んだ後にまず計算の必要な床面積を先に計算し,建物図面と各階平面図の作図のための左上基準点からの各変化点までの距離を計算した後に申請書から書いていました。

 平成27年度の答練は,2月からのベストセレクト答練にも参加しましたが,この答練は択一が10問しかない代わりに書式が3問あるため,試験時間が3時間となり,書式のパターン確認に大変参考になりました。また,4月からの答練12回と福岡校での公開模試の成績はAが6回,Bが6回及びCが2回と前年よりもかなり良くなっていました。そして本試験では,択一を31分で終了し,座標計算の誤りと最後の土地の面積計算の時間が足りずできませんでしたが,全体として仕上げることができましたし,択一の自己採点結果は17問の42.5点ありましたので,安心しておりましたが,建物が東京法経学院とL社の解答例では,2階と3階で大きく違っており,また私は,敷地権原因及び日付欄に敷地権が無ければ「記載不要」と書くように指示されていることをどうしても疑問に感じて,無理やり分離処分可能規約ではなく,規約面積により敷地割合を0とする解答としたために不合格ではないかと,大きな不安に苛まれる合格発表までの2か月でした。

 しかし結果は,択一45.0点,土地19.0点,建物14.5点の合計78.5点で,合格基準点を5点上回っていました。

 合格して感じることは,この試験は書式の解答技量を高めることも大切ですが,ポイントは択一の点数をいかに上げるかが決め手ではないかと思います。また,先日口述試験も受けましたが,無難に終了したと思っております。

 最後に,東京法経学院様の答練の解説,添削には大変お世話になりました。また,最後の口述試験の資料は非常に参考になりました。ありがとうございました。