◆動機
2017年の宅地建物取引士に合格した時に建設業を営む父から土地家屋調査士を勧められました。当時は土地家屋調査士の存在すら知らず受験するか迷いましたが、法令の知識を問う択一式と計算力、作図力、読解力等さまざまな能力が要求される記述式があり他の資格には無い独特な試験内容や専門性の高い業務内容に惹かれて受験を決めました。
◆準備
宅地建物取引士を独学で取得したので土地家屋調査士も独学で取得する事を考えておりましたが、独特な試験内容、難易度の高さから独学では厳しいと思い予備校を利用する事にしました。
予備校選びは迷いましたが合格者を数多く輩出して実績がある東京法経学院を利用する事に決めました。地方に住んでおり通学が困難なので通信講座を受講しました。
◆受験勉強(前半)
2017年12月から受験勉強を開始しました。午前試験免除資格を持っていなかったので測量士補も並行して勉強しました。12月〜 1 月は講義動画視聴を中心に、 2 月からは択一の過去問の学習も始めました。土地家屋調査士 8 、測量士補 2 の割合で勉強を進めていきましたが 2 月からの測量士補の答練で毎回合格ラインギリギリだったので 3 月半ばからは土地家屋調査士 5 、測量士補 5 くらいの割合で勉強しました。ある程度土地家屋調査士の過去問を勉強してから答練に挑みたかったのですが、測量士補の勉強の割合を上げた事もあり、ろくに記述式の練習も出来ず 4 月からの土地家屋調査士の答練は散々でした。 1 回目の答練は土地の簡単な計算方法も分からず、本来 2 時間半で解答しなければいけないところを 5 時間以上掛かり、結果はC判定でした。
測量士補は勉強量を増やしたので余裕をもって合格する事ができました。
◆受験勉強(後半)
測量士補の試験が終わり土地家屋調査士の勉強に注力できる環境になったので気合を入れ直し後半の答練に挑みましたが後半の答練はレベルが高く、解答するのに 4 時間以上かかり結果もC判定ばかりでした。
7 月の12回目(最後)の筈練は規定の 2 時間半で終わらせましたが結果はE判定でした。答練12回と公開模誌 2 回でC判定 7 回、D判定 5回、E判定 2 回と合格圏からは程遠いレベルです。この辺でかなり心が折れましたが答練の解説講義で内堀先生に励まされ、苦しかったですが合格するまで勉強を継続しようと再度決意しました。
答練も終わり、 8 月からは答練の復習と過去問をひたすら復習しました。平日は帰宅後30分〜 1 時間しか勉強時間を確保出来なかったので平日は択一式を中心に取り組み、休日は勉強時間を 5 時間確保し記述式を3 問以上解きました。会社の昼休憩や歯科クリニックの待ち時間等はスマホで講義動画を視聴したり電子書籍で民法、不動産登記法を勉強しました。
試験会場の机は小さいと聞いていたので机の上に小さめの板を敷き限られたスペースで記述式の練習を繰り返しました。
9 月に入ってようやく過去問択一で 7 割くらい正答出来るようになってきました。記述式も作図のスピードが上がり、建物に関しては 8 割くらい正答出来るようになりましたが添付書類を書き忘れる等のケアレスミスが目立ちました。土地は計算方法が閃かなかったり電卓の打ち間違えや転記ミスが多く力不足を痛感しました。ケアレスミスはその都度ノートに記録して自分の弱点を分析しました。
9 月下旬に今年合格するのは無理だと半分諦めかけましたが、とりあえずやれる事はやろうと思い10月21日の筆記試験までがむしゃらに過去問、答練の復習をしました。筆記試験までに書き上げた申請書は200枚を超え、束ねていたファイルが一杯になりました。
◆筆記試験
試験開始の 3 時間前に試験会場に着き試験が始まるまで答練の択一をひたすら繰り返しました。試験会場に入りペンや定規、電卓をセットしましたが机の小ささに驚きました。試験に支障をきたす位小さいです。記述式練習用に自宅で用意した板より小さく 5 回ほど計算用紙や定規を落としました。試験中は緊張のあまり手が震えました。択一30分、建物50分で終わり順調に進んでいたのですが、問題文をよく読まなかった為土地の簡単な交点計算を見落とし計算方法が閃かず必死で考えている時にふと時計を見ると残り30分まで時間が迫っており頭が真っ白になりました。図面と申請書の書けるところだけ書いて座標値の計算方法を探りました。
かなり焦っていたので一旦深呼吸し、落ち着いて問題文を読み返したら交点計算の事に気付けたので何とか座標計算、分筆地の作図が出来ました。全て書き終わって 1 分後に終了の合図が出ました。10分前に終わらせて見直しをする予定でしたが全然余裕がありませんでした。
◆試験終了後
帰りのバスで試験問題を見て建物の床面積と土地の交点のY座標が間違っている事に気付き落胆しました。どちらも一つ間違えると申請書の面積欄や図面の辺長等で減点される致命的なミスです。記述式の基準点超えが絶望的な状況になりました。択一20問中19間正解していただけにショックが大きかったです。あまりのショックの大きさに何もやる気が起きず、このまま後ろ向きな気持ちではいけないと思い合格発表後から勉強を再開する事を決め、それまではリフレッシュ期間として趣味に没頭しました。
◆合格発表
不合格が濃厚だったので特に緊張もせず2019年 1 月 9 日の合格発表を迎えたのですが、自分の受験番号があり驚きました。何度も何度も見返し受験票と照らし合わせたのを覚えています。ミスが多かったので合格した実感が無かったのですが 2 日後に口述試験の案内が届きそこで初めて実感が湧きました。
択一47.5、土地21.5、建物15.5、合計84.5(合格点81)でした。建物は床面積を間違えた分かなり減点されていましたが、土地の座標値間違いはそれ程大きな減点にはなってませんでした。計算方法が閃かなかった時に諦めずに出来るところから記入していったのが功を奏しました。
◆反省(後悔)
@記述式の学習をもっと早い段階で取り掛かればよかったなと思ってます。記述式の学習を始めてから理解が深まっていったように思います。
A答練前にある程度過去問を出来るようにするべきでした。過去問を出来るようになってから答練で力試しをするのが答練の本来の目的なので…
B公開模試は会場で受けて本試験の雰囲気を経験するべきでした。筆記試験では想像以上に緊張し、場慣れが必要だと痛感しました。振り返れば行き当たりばったりで何の計画もなく勉強していた様に思います。試験直前になってやっと力がついたと実感できるくらいになりましたが、しっかり学習計画を立てて上記の 3 つを実行していれば、もっと早い段階で合格レベルに達していたと思います。
◆最後に
私は高卒で印刷工場に就職したので勉強とは無縁の人生を送っていました。自分の人生で毎日継続してここまで勉強したのは初めてで本当に苦しかったです。特に成長の実感が無かった期間は心が折れ、諦めかけましたが継続すれば合格出来ると信じて頑張りました。
合格は偶然の賜物かもしれませんが、 1 年間継続して勉強してきた事は今後の人生において大きな自信となり糧となると思います。
この資格と出会えて本当に良かったです。ありがとうございました。