土地家屋調査士試験はやればできる試験です|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

土地家屋調査士試験はやればできる試験です

体験記
H.I



 体験記

 私は土地家屋調査士事務所で働いております。補助者として測量、立会い、登記等それなりに働くことができたのでわざわざ資格を取らなくても問題ないだろうと思い10年近く過ごしてきました。 2 回ほどダメもとで記念受験的に試験を受けましたが合格するわけがなく、忙しいのをいいことに勉強もしませんでした。
 しかしある時、土地境界立会いの際、隣接のお知り合いの方で土地家屋調査土のY先生が代理で立会いに来られました。その先生は「本当は土地家屋調査士が立会いに来なきゃダメだよ」とおっしゃいました。その言葉にハッとしてこのままではいけないと思い土地家屋調査士を志しました。いつか痛い目を見るだろうという思いと、お客様にも迷惑をかけるかもという思いが急にわいてきました。本気で目指すなら今この気持ちを持てた今しかない。今やらないとまた忙しさを言い訳にして、なにもしなくなって、そのうち気持ちもうすれる。そう思い土地家屋調査士合格を目指しました。私のことは覚えていないでしょうが、Y先生その節はありがとうございました。今年合格できたのは先生のおかげです。これが平成31年の 1 月の終わりごろでした。

 

 思い立ったらすぐ行動しました。東京法経学院の答練に申し込みました。通学と通信で悩みましたが、土日は不定期で仕事が入ることが確実でしたので、通信を選びました。東京法経学院の過去問マスター 4 冊セットも買いました。基本的には、答練と過去問を繰り返し解くことを重点に勉強しました。記述式は土地・建物併せて300枚書くことを目標にしました。

 答練の問題が毎週送られてきて、それを解いて送り返す。その生活リズムになれるまで最初はつらかったです。これからほぼ毎週答練の問題が送られてくる生活が10月まで続くと思うと少し憂鬱でした。自分で決めたことなのでやり切ろうと思うのですが、最初は本当に途中でやめようか迷いました。

 最終的にはやり切って合格までいきましたが、このあたりのメンタルの整え方は趣味の登山が役に立ったと思います。登山も道中、なぜこんなことしているのだろうと辛くなることもありますが、最後には素晴らしい達成感があることを知っているので登りきれます。登り始めたばかりだと思い込ませ、だましだまし続けていました。
 そうすると不思議なもので試験勉強がいつしか習慣になってきました。択一式の過去問を解かなかったり、図面を書かなかったりしてそわそわしたらもう大丈夫だと思います。自分の場合は夏休み明けにこの状態になりました。ですので、これから勉強を始める方へのアドバイスとしては、最初は何もわからないし、民法なんて知らないし、図面も書けないし、できないだらけでつまらないとは思いますが、とにかくやり続けることが大切だと思います。必ずどこかで習慣化します。そうしたらこっちのものです。もう合格です。たぶん。

 

 毎週その週の答練問題と解説が送られてきます。添削済みの記述式答案も送られてきます。私の場合、土日にその週の答練問題を解いて、解説を理解するまで読みました。択一式だけはもう一度その日のうちに解きました。その後、その回の記述式の添削が送られてきたら再度、その回の答練問題を、択一式を含めもう一度解きました。さらにGW、夏休み、シルバーウィーク、試験 1 週間前の計 4 回の長期休みに手元にある答練問題をもう一度全部解きました。合計で 3 回答練をやりました。合間にある全国公開模試も同様に 3 回解きました。大変でしたが今思えばこれがかなり良かったと思います。解説を読んでも理解できないときは、幸運なことに会社に頼りになる方(元登記官)がいたのでその都度聞きました。その都度丁寧に教えていただきました。ありがとうございました。

 

 答練の解説にも書いてありますが、答練の成績に一喜一憂しないことが大切だと思います。そんな暇があったら間違えた問題を再度検討して、満点だとしてもそれは本番ではないのだから勉強しましょう。自分の場合は最初の方の答練は全くできませんでした。成績上位者になったことは数少ないです。しかも後半です。最初は不安になります。本当に合格できるか心配になりましたが、やっていくうちに手ごたえを感じられるようになります。

 土日は答練問題を解いて解説を読んで答案を送って、前回の答練をもう一度やって、余裕があれば記述式過去問を 1 問前後やって大体 6 時間前後勉強しました。上記の長期休みの間は答練を 3 、 4 回分と記述式の過去問で時間前後勉強しました。趣味の登山は日帰り登山 1 回しか行きませんでした。本当は 1 回もいかなかったと言いたいところですが我慢できませんでした。息抜きも大事です。


 平日は 2 時間前後勉強していたと思います。平日は忙しくて全くなにもできない日もありましたが、そのような日は割り切って、明日、倍の勉強時間を確保するために明日の分の仕事を今日していると考えました。測量の仕事は現場に行ったり、役所に行ったり等で移動時間が多いので、うまく使って択一式の過去問を解くことを中心に勉強していました。測量の相方にずっと運転してもらって助手席で過去問を解いていました。とてもありがたかったです。役所や立会いへ向かう電車の中もいい勉強時間でした。
 勉強時間の確保で一番気を付けていたことは仕事でトラブルをおこさないことと日々の業務を効率よく集中して素早く終わらせることです。仕事を早く切り上げて勉強時間を確保しないと貴重な勉強時間がなくなります。
 また、さっさと帰る分、仕事では結果をださなければ皆に示しがつきませんので、売り上げが落ちないよう業務に取り組む姿勢から見直しました。この件に関しては会社の皆さんにご迷惑をかけたかもしれません。特にチーム組んでいた皆さん本当にありがとうございました。

 択一式の過去問は繰り返し解きました。 1 周目と 2 周目は完璧に分かったら〇、正解はしたがどこか少しでも理解してなかったら△、間違えたら×を解いた問題につけていきました。 3周目は 2 回〇がない問題を再度解きました。試験 1 週間前は 3 周目の〇がついてない問題のみ解きました。記述式の過去問は 1 周だけしか解きませんでした。記述式の過去問に本格的に手を付けたのは 9 月に入ってからだったので時間がありませんでした。答練の記述式を繰り返しやるだけで手いっぱいだったからです。


 9 月に何回か模試があるので、本番のつもりで 8 割以上とることを目指しました。試験場慣れもしなければいけないので、この時ばかりは会場で受けました。緊張感はもちろんですが、試験会場にはかならずクセのある方がいたり、普段と違う机や解答用紙であったりなど自分ではどうしようもない細かいことに慣れておく必要があると思います。

 模試の結果は平均すると択一式 9 割、記述式7.5割ぐらいでした。なんとかいけそうだと自信がつきました。あせりは絶対禁物で、普段ならやらないようなミスをしてしまうことも実感できました。逆に言えば落ち着いてやればできるという感覚でした。わからない問題はありませんでした。解答の時間配分も大体このあたりになると決まってきました。択一は30分? 35分、土地は50分? 55分、建物50分、見直し10分ぐらいです。解答の順番は択一式、土地、建物の順番で解きました。自分の場合は土地の方が得意でした。実務で取り扱うことが多いですし、座標計算に自信を持っていたからです。択一式で多少遅れても土地で十分巻き返せるという自信はありました。建物は「原因及びその日付」欄の記載がなかなか覚えられず苦労しました。実は今でも曖昧です。よく試験に出るパターンを重点的に覚えました。手で申請書を書くのはもちろんですが、満員電車の通勤時間に、頭の中で申請書を書いてスマホで確認ということをよくやっていました。

 

 残り一か月で最後、追い込みをしました。このあたりになってくるとなんだか勉強自体が楽しくなってきたので無敵状態です。やればやるほど吸収していく状態です。欲を言えばこの状態が 1 か月前には来てほしかったです。このあたりでは平均すると平日 4 時間、休日9 時間ぐらい勉強をしていました。具体的にはたまった答練を解答時間 2 時間15分に制限して負荷をかけて、とにかく解いていました。また、最後は追い込みつつ、細部にこだわろうと思いました。あせりをなくすために細かいところまで気をつかったのだから絶対大丈夫だと思い込みたかったからです。ボールペンと消しゴム、鉛筆は新品を用意しました。製図用のシャーペンをもう 1本予備で買いました。関数電卓の電池を新品に交換しました。試験中に持ち込む飲み物はオレンジジュースに決めました。筆記用具と関数電卓を自分の右においても左においても気にならないように練習しました。などなどです。


 ラスト 1weekにH21 ? H26の過去問と「最強の模試」を本番さながらにやりました。開始時刻を本番と合わせてみたり、家にあるいろんな机でやってみたり、あえて窓を全開にして騒音をききながらやってみたり本番を想定しました。おおむね 8 割以上とれたので実力を発揮すれば問題ないはずだと試験に臨みました。また、このラスト 1 weekは食事や睡眠に気をつかい体調を整えることに専念しました。

 

 試験会場は青山学院大学で幸いにも土地勘があるため幾分余裕が持てました。早めについてキャンパス内で散歩をしていました。綺麗なイチョウが印象的なキャンパスで、青学はおしゃれだなぁなどと思ってみたりと、いい体調とメンタルで当日を迎えることができました。
 会場にはいれるようになったら早めに入って席に座りました。今日座るその自分の席がアウェイではなくホームの感覚にしたかったからです。机の左右どちらの端なのか、座面の高さやかたさ、机までの距離などをチェックしました。最後に机の上をウェットティッシュで拭きました。万一残っている机の汚れを拭く意味もありますが、ここが自分のいつも使っている机だと思い込むための自分のルーティーンです。

 試験中は、名前の書き忘れやマークミスなどの変なミスさえしなければ合格できると思っていたのであせることなく落ち着いてできました。試験の合間に深呼吸してオレンジジュースを飲んで周りを見渡す余裕がありました。無事筆記試験が終わりました。

 手ごたえはありました。自己採点はしませんでした。絶対に合格したと強い気持ちを持つことにより、万が一合格ギリギリだとしても気持ちで合格を引き寄せるためです。このへんになるともはや神頼みです。

 

 そうして筆記試験の合格発表が出ました。択一式45点、土地20点、建物21.5点、合計86.5点でした。合格していたので、次は口述試験です。口述試験の勉強は筆記試験後にまったくしていません。筆記試験合格発表後に東京法経学院から貰える口述試験の対策本に 2 、 3 回目を通しただけです。結果だけ言うとそれだけで十分でした。聞いていた通り、落とすための試験ではないので受け答えがまともなら問題ありません。

 口述試験も合格しました。無事に有資格者となりました。

 目標としていた記述式300枚は途中から数えるのをやめたのでわかりませんが、大体それぐらいは書いたと思います。何枚書いたから合格というわけではないですが、これから勉強する方は一つの目安にして下さい。たまに初期の記述式を見返すと成長を実感できるので、手元に残しておくといいと思います。

 合格後にたまった記述式をいっぺんに捨てました。「もう二度と手書きで図面なんか書かない!」と思いながら思いっきりゴミ捨て場に捨てました。とても気持ちがよかったです。

 

 これから学習する方へのアドバイスですが、土地家屋調査士試験は特別な才能も知識も資格も必要のない、やればできる試験だと思います。高校一年生までの数学が怪しい人は最初少し苦労するかもしれません。しかし、使う公式などは限られているので少しやれば思い出します。冷たいことを言うようですが合格しない人はやってないだけです。やりましょう。やればできます。