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私は多数回受験者、いわゆるベテラン受験生で今年10度目で合格することができました。今年合格できた要因は、やはり択一・記述式共に過去問を徹底して理解することに努めたからです。
つまり、これまでは過去問を“やった気になっていて”、答練ばかりに力を入れており、結局は(難問が多く)消化しきれずに本試験を迎え、(過去問の傾向を把握していなかったことから)点数を取ることができずに不合格、の繰り返しでした。毎年、頭では過去問の大切さは分かっていたのですが、ついつい新しい答練問題に目が移ってしまい記述式本試験問題に太刀打ちできないことの繰り返し。もちろん答練全てを否定する訳ではありません。傾向を意識した良問もたくさんあります。ただ、過去問を土台に、問題による思い切った取捨選択が必要だと思います。
択一・記述式に分けて書きます。
択一は予備校でインプット学習が終わったら、アウトプットとしてすぐに過去問に取り掛かります。教材は東京法経学院「合格データベース」「択一過去問マスターT・U」です。私は、今年は思い切って答練受講後、問題の復習はやらず、上記教材のみやりました。
学習法ですが、合格データベースで肢毎の問われ方をざっと掴み、メインは過去問マスターで消去法を使わず全ての肢を読み、誤った、またあやふやな肢に付箋を貼ります。付箋は紙製ではなく(すぐ取れてしまう為)、粘着力のあるビニル製のものを使用しました。時間がなければ平成時代のみでもいいと思います。
1回目を解き終えると、2回目はできなかった肢の付箋箇所のみ解説を熟読し、テキスト(合格ノートなど)で確認・理解をします。自分で調べたことは解説の空きスペースに書き込みます。3回目以降はこの繰り返しで、本試験までに付箋を無くすことに努めました。私は最終的にすべての付箋が取れ、完璧に理解した状態でした。
また、問題を解いていくと、5つの肢の言い回しが、年度によって時に微妙に変わっていることに気付きます。わざと紛らわしい言い回しをしており、受験生を惑わせようとの出題者の意図が分かります。民法は出題範囲が総則・物権・相続からであり、これも過去問だけで3問中2問は正解できると思います。本試験当日の解き方としては、民法3問は後回しにし、不動産登記法から取り掛かりました。
上述したあやふやな肢もあるので、短い文章の肢から読み始め、時に消去法をふんだんに使い1問に時間を掛けすぎないように解きました。私は35分で解き終わったため、余裕をもって記述式に移ることができました。
記述式も、過去問の大切さを痛感しました。
教材は東京法経学院「書式過去問マスターT・U」をやり、問題演習として答練をフル活用しました。なお、長文化の傾向が続くことから、やるのは平成10年度以降でいいと思います。平成27年度建物は階数判定で、平成10年度の論点の踏襲でしたし、平成28年度建物は、ひな壇形状に建つ建物の変更登記で階数の判定は平成12年度のそれでした。過去問論点は繰り返し問われるのです。
そこで私がやった過去問の分析法は、出題年度ごとに出題趣旨、求点の個数(土地)、論述テーマ、登記目的、ひっかけ論点、見取り図の不正確さ、などを表に纏め、過去問を自分なりにバラしたことです。こうすることで年度ごとの論点が分かり、意識して解けました。記述式は100%完全理解が必要です。特にここ2、3年は土地では計算が減り、どちらも長文化して、解くのに登記目的や図面作成を取り違えてしまうような注意の必要な問われ方をしています。主題者の意図が伺えます。
そして、過去問の完全理解ができたら、答練問題を毎日2問(土地建物)解きます。記述式は2問解くことで、分量的な慣れとなり、時間配分を身体で覚えるようになります。これを本試験まで続ければ、当日は時間切れにならず身体と手が勝手に動いてくれます。私の場合もそうで、空欄はなく全て回答できました。
得点を取るためには、私のように答練を時に思い切って取捨選択したり、うまい具合に“利用”して自分に合った学習法を信じて過去問主体に進めていくことをお勧めします。過去問の理解は、出題者の意図、趣旨を掴むためにも不可欠だと思います。
よって今年の本試験では、土地・建物共に過去問論点の踏襲だ、と直感し、結果、土地;21.0点・建物;18.5点、とこれまでで一番の高得点を上げることができました。