私は,不動産関係の会社に勤めていますが,この業界はご存知のとおり,バブル崩壊以降,非常に厳しい状況が続いています。
何の取り柄もコネもない私は,今後生き残っていくためにも,何か心の支えになるものが欲しいと考えていました。そのようなとき,仕事でお付き合いをさせていただいていた土地家屋調査士の先生の話を伺い,自分の仕事にとって大変有意義な資格であると思ったのが,調査士をめざすきっかけとなりました。
まずは,調査士の午後の部の試験が免除になる,測量士補資格の取得をめざしました。
独学で学習を進め,2年目に約4ヵ月の学習期間で合格することができました。
その合格を受けて,すぐに東京法経学院(大阪校本科・日曜コース)に申し込みました。
東京法経学院大阪校の講師の解説は,非常にわかりやすく,総論・土地・建物の理論までは,特に問題なく理解できたと思います。
しかし,一番難しい分野である区分建物と,それに続く書式の作図では苦労しました。
そうこうしているうちに,本科講義が終わる1月頃には,応用力を養う答練(答案練習)が
始まりました。
第1回答練では,本試験よりも緊張したことを覚えています。緊張のあまり,問題の意味も理解できず,登記の目的を間違えました。また,作図も手が震えて,うまく書けませんでした。
その後の答練でも,択一式については,割と早く合格レベルにまで力がついたと思いますが,書式はいまいちでした。時間内に解けず,土地か建物のどちらかの図面が白紙という状況が,最後まで続きました。
結局,本試験は散々の結果となりました。
2年目は,まず,どこがいけなかったのか反省し,これまでの学習で欠けていた点を集中的に取り組みました。私の場合,電卓と定規の使い方に,難点がありました。
1年目は,基本事項を覚えることと答練の復習を優先させたため,これらの練習は,結局やらずじまいだったのです。
2年目は,答練が始まる頃までに集中して練習した結果,書式を解くスピードがアップし,ギリギリではあっても,たいてい時間内に答案を仕上げることができるようになりました。
土地書式の交点計算は,頻出項目です。
電卓の機能を覚えることは大変ですが,使いこなすことができれば,交点計算を行ううえで,相当な時間短縮につながります。電卓と定規の使い方は,できるだけ早い時期に習得しておくべきです。
また,電卓や定規の練習のほか,過去問を分析したことも,合格につながったと思います。
実は,土地書式の誤差補正が,前年に引き続き平成17年度試験でも出題されることは,十分に予想できていました。過去問を分析した結果,これまでも2年続けて,同じような問題が出題されている傾向があったからです。
私の経験に基づく予想ですが,平成17年度の試験では,建物書式の見取図が単純な図面で出題されました。そこで,平成18年度の試験では,複雑な建築図面で出題されることも考えられるので,図面の読み取りの練習をしておくことがよいかもしれません。
この2点を踏まえて臨んだ平成17年度の試験結果は,土地の求積を残して時間切れとはなったものの,合格でした。
私の場合,近年の本試験問題に関しては,どうしても時間内に仕上げることができませんでした。このため,事前にどの部分を捨てるかということを考えた結果,択一式は足切りさえクリアすればよい,という結論に至りました。
また,土地書式は,求積までできなくても合格できる,という確信もありました。
このような本試験での時間配分は,重要だと思います。最後の20分が勝負です。最後までスピードを保ち,貪欲かつ冷静に得点を重ねられるかが,合否の分かれ目だと思います。
2年目の学習を始めた頃,子どもが生まれました。私も妻も,近くに身よりが住んでいなかったため,学習するには不向きな環境でした。1年目の失敗のあと,受験を諦めるかどうか非常に悩みましたが,妻の理解と協力により,学習を続けることができました。
そこで,学習時間捻出のため,工夫した点について述べたいと思います。
まず,家で学習するのは書式のみとし,早朝,家族が寝ている2時間に,2枚書きました。
次に,仕事の昼休みに,職場で択一式を解きました。
そして帰宅前に,喫茶店などで,早朝と昼休みに解いた書式と択一式の解説を読みました。
直前期にはこれに加え,家に帰ってからも書式を1枚書きました。
あとは,とにかく空き時間(車の中や病院の待合い室,答練会場と自宅との往復の電車内)を利用しました。
この方法で,調子がよいときには,1日3〜4時間程度の学習時間を捻出できました。
私の場合,時間的に余裕がなかったことと,受験指導校への通学などにより金銭的にも余裕がなかったため,使用した教材は,本科で配付された基本書,問題集と答練2年分,過去問集(10年分)だけでした。このため,少ない学習時間のなかで,否応なしに同じ問題を繰り返し解く学習法になったのですが,それが結果的にはよかったと思います。
最後になりましたが,妻にこの場を借りて感謝したいと思います。
そして今回,私自身が多くの合格体験記を読み,参考にさせていただいたこともあり,今後受験される方に少しでも参考になればと思って筆を執りました