私はもともと不動産業界におり,土地家屋調査士の業務に大変興味を持っておりました。もっと確かな知識とスキルを身につけ,それを仕事に活かしたいと思い,受験を決意しました。
不動産関連の仕事をしているといっても,試験とはまた別物。ほとんどゼロからのスタートです。日中は仕事がありますので,1日の学習時間はほんのわずかしかありません。限られた時間のなかで,いかに効率よく学習を進めるかが,合格のためのポイントとなりました。
春までは基礎学力の徹底をめざし,受験指導校の通信教育で学習を進めることにしました。苦手な箇所を単語カードに書き出して持ち歩き,時間のあるときに覚えるようにしました。
春からは本試験に備え,本番と同形式の問題を繰り返し解くことにしました。これも,受験指導校の答練と過去問を利用しました。
学習の効率をあげるため,解いた書式問題の内容をノートに書き出し,一覧表にしました。登記の目的,論点,座標計算の仕方などを解答時間とともに書きとめておくのです。一見手間がかかるように思えますが,苦手箇所の洗い出しや,弱点克服の程度などが一目瞭然で,成長の過程が目に見え,結果的に大きな自信になりました。
こうして私は,ロスなく学習が進められたおかげで,春からの答練では常にA,Bランクを維持することができました。
しかし,いくら学習しても,本番までは不安がつきものです。ましてや,答練上位者でもかなりの人が合格できない厳しい試験ですので,大変不安に思っていました。
「いざというときに緊張して頭が真っ白になってしまうのでは」とか,「焦って問題が手につかなくなったらどうしよう」などと,際限なく不安に陥ってしまった時期もありました。
それでも,緊張や不安の原因を突き詰めていくと,解答時間の不足を一番恐れていることに気がつきました。
それならば,解答速度をあげればよいという結論に達し,時間短縮を目標に学習に取り組むようにしました。
それからは初めて取り組む答練問題でも,2時間を常にリミットにして,解くように心がけました。それ以外の学習でも,択一式20問で30分,書式は非区分で35分,区分建物で40分,土地で45分と制限を設けました。
このように,時間を意識するようになってからというもの,格段に解答速度をあげることができるようになりました。
ある程度学習をされている人や,答練で上位に入っている人は,おそらく,実力的には十分合格圏内に入っているのだと思います。その実力を本試験で発揮するための方法として,速度を意識した学習を取り入れてみるのも,一つの方法なのではないかと思います。
しかし,速度があがった一方で,私は簡単な計算ミスが増えてしまい,点数に響くようになってしまいました。
そこで,短縮した時間を苦手な土地の座標計算と区分建物の敷地権割合計算にあて,じっくり取り組むようにしました。
そのうち,検算が何度もできるほど余裕がでてきて,ミスも減りました。本試験直前の7月頃には,択一式に30〜35分,建物に35〜45分,残り時間を土地にという,時間配分スタイルに落ち着き,答練での解答時間は,平均で2時間15分前後となりました。
検算など,ミスのチェックを十分にしても残り15分あること,講師の先生がスピードに関して太鼓判を押してくださったことなどが後押しとなり,絶対に時間内にできるという自信になりました。
試験当日を落ち着いた気持ちで迎え,周りの受験生に目をやる余裕もありました。また試験そのものも,緊張や焦りもなく,じっくりと取り組むことができました。
択一式は,足切り点をクリアできればよいだろうと思っていたので,民法3問にはあまり神経質にはならず,サラッと解答して20問を35分で終えました。
書式に関しては,区分建物は問題なく終わりましたが,土地は新しいタイプの問題であったため,補正に若干面食らってしまいました。残りの30分で補正と見直しをして試験を終えましたが,結果的にケアレスミスをしてしまいました。
残り時間が10分ほどありましたので,そこで念には念を入れて見直しをしていれば,つまらないミスを防ぐことができたのにと,正直いって悔やまれます。
自己採点結果は,受験指導校発表の合格予想ラインより上ではあったのですが,発表までの2ヵ月間,生きた心地がしませんでした。
これから受験する人には,当たり前のことですが,受験の際には最後の1分まで気を抜かず,解答を見直すことを強くお勧めします。
結局,私の学習内容は過去問と受験指導校の講座と答練だけで,民法等の独学は一切しませんでした。本当はしたかったのですが,時間がありませんでした。
しかし,あれこれ手を出して知識を散漫にしてしまうよりも,短時間でも的を絞って効率よく学習内容を定着させたことが,よい結果に繋がったように思います。
それと合わせて,学習結果の記録とフィードバック,時間制限を設けた本番形式の問題演習を繰り返し行ったことが,今回の私の勝因となりました。
そして何よりも,やるだけのことはやったのだという確信に満ちた気持ちが,実力を支える大きな力になったものと思います。
これから挑戦をされる皆さんも,絶対に合格するんだという強い信念を持って,合格を勝ち取ってください。