合格体験記「3年目に克服した4つの課題」|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

「3年目に克服した4つの課題」

体験記

 体験記

Y.O さん(群馬県)

 私が土地家屋調査士受験を志したきっかけは,司法書士である夫の仕事を傍でみていて,やり甲斐のある仕事には違いないなあ,と感じたからでした。夫婦で事務所をやっていくのであれば,土地家屋調査士がよいのでは,という軽い気持ちでした。
まずは測量士補から始めてみようと思い,9ヵ月勉強して,なんとか合格しました。そのときは本当に嬉しくて,いつかは本物の測量士補になりたいと心から思いました。
調査士の勉強は何一つしていなかったので,その年の受験は見送ろうかと考えていましたが,形ばかり勉強を開始しました。テキストは『調査士合格ノート』のみ,問題集は『調査士択一過去問マスター』『調査士書式過去問マスター』『調査士書式攻略ノート』(以上,東京法経学院刊)の3冊でした。『書式攻略ノート』をみてその難しさに驚き,この恐るべき攻略ノートを攻略した者だけが調査士試験を攻略できるのだなあ,底なし沼だなあ,と思いました。
調査士試験1回目(2002年)の前日,ちょっとした疑問(複数の土地にまたがる建物の所在を記載する場合に,2番目以降の地番の記載は地番の若い順か?)が気になり,近所の調査士のじいさんに電話をして聞くと,「あんた,試験の前日というのに,質問がそのレベルじゃ今年の試験には受かりゃせんよ,とにかく1年間はお天道様の下を歩くことはせんで,365日ひがな一日家にこもってひたすら勉強することじゃ。来年がんばれよ!」などというのです。
失礼な人だなあと思いましたが,今考えるとじいさんのいうのももっともです。
2002年の試験は択一式12問,書式は採点してもらえませんでした。次年度に向けての勉強を,翌日から開始しました。『合格ノート』を読むこと,『択一過去問マスター』の解説を読むこと,『書式過去問マスター』を一通りやり,書式を暗記するということをしました。仕事は夕方からの実家の店番の手伝いだけにして,夜勉強しました。
答練ではいつもB判定でしたが,「運がよければ何とかなるかも…」などと,甘い考えで2回目の受験をしました。しかし,2回目(2003年)の試験が終わってみれば択一式13問,書式はまたもや採点してもらえませんでした。
1年間努力したつもりが,たった3ヵ月の勉強で臨んだ1回目の結果とほとんど同じであったことが,ショックでした。初級コースでウロウロして上達したつもりになっていただけだった…。試験終了後解答速報をみて,その日から勉強を始めました。課題は幾つもありました。

◆課題1. 弱点の洗い出し

 学習が少し進んでくると,知っていることの方が多くなってくるので,「初めて知ること,わからないこと」がわかってきます。これを,B6版のカードに書き貯めていきます。カードは必ず1件につき1枚,表のみ。いつでもパラパラめくれるように,なるべく少ない言葉で書きます。沢山書くと読みたくなくなり,読み返さないと全然意味がないためです。
もういいや,と思えるカードは抜いていけばいいのですが,もったいなくてカードを抜けず,通し番号で936番まで増えてしまいました。重いし大事な宝ですから,外に持ち出さないようにしました。

◆課題2. ケアレスミス

 ある時,いつものようにケアレスミスをして,その箇所に「バカ」と朱書きしました。後日またケアレスミスをしたので,「何度もまちがうなバカ」「いい加減にしろバカ」などと朱書きしました。「バカ」の朱書きを目にするたびに,かつてミスしたことのある箇所なんだと一瞬頭をよぎりますし,それが答練会場でフラッシュバックすることもあります。
また,一日の大半を過ごす自宅で,例えばトイレの壁(職場の机とかでもよいと思います)に暗記したい各種図面の記載事項(細則42条,準則27・34条),地目認定,建物の種類,登記簿の保存期間,調査士法罰則など六法の拡大コピーのほか,6400号・5320号通達を貼って眺めたことなども,少しはよかったのかなと思います。

◆課題3. 作図と電卓操作

 昨年(2003年)までは,作図と電卓操作は自己流でした。土地の作図ではまず1点を定め,そこから距離と方向角をプロットしていくという方法でした。練習して,自分なりに早く描けるようになったつもりでいましたが,周囲の受験生と比べて,なぜこんなに作図が遅いのかと不思議でした。
作図と電卓のビデオ講座をみて,目から鱗が落ちる思いでした。自分は,各階平面図など一番左上の点から始まって時計回りに描いていたので,始点と終点が閉じないこともあったのです。電卓も適当に,方向角と距離を出すのに使っていただけでした。交点計算やメモリ機能を利用する方法も知りませんでした。せめて「いろいろな方法がある」ということを知るべきでした。交点計算等でも何通りかやり方を試し,一連の計算で何回キーを叩くか数えてみて,一番自分の頭と手になじみそうなパターンを1つ見つけ,繰り返し練習するのがよいと思います。本試験の緊張状態のなかで理性を保つのは難しいので,「指が覚えていた」ことで救われる場面もあると思います。
求積も,はじめはわけがわからず苦しみました。私は問題集等の求積部分だけを抜き書きして,広告の裏などに書きため,勉強に飽きたとき,眠れないとき,電車に乗っているときに電卓を叩いて気分転換しました。

◆課題4. 民法対策

 民法はまったく初学者でした。『民法300問』(日本司法学院刊)を3回まわしましたが,未だもってまったく消化しきれていない感じです。今年の民法3間中2問正解したのはまぐれだと思いますが,もし何かが役立ったのだとすれば,甲馬と乙馬がどうした,ビール1ダースがどうの,A男とB女が…さっぱりわけがわからないなりに一通り見てみた,ということだけのような気がします。
今年は択一式18問。書式は8割位だったと思います。この1年いつも暗く,顔は笑っていても気持ちは全然楽しくありませんでした。皆さんも休息を適度にとり,心と体のバランスを壊さないように頑張って下さい。