◆答練は東京法経学院
私は大学を卒業後、25年間、土地家屋調査 士・測量関係とは全く関係のない仕事をしていました。
義父が、測量会社を経営し、別に土地家屋調 査士事務所も開業していたのですが、高齢、体調不良となっていたこと、他の親族に事業承継をする者がいなかったことから、会社の後を継 いでほしいと言われたのです。
当初は、会社を 継ぐつもりは全くなかったのですが、義父や家族、会社等のために、47歳で25年間務めた職場を自主退職し、測量会社の後を継ぎました。 土地家屋調査士事務所については、難関試験 に合格しなければならず、義父からも試験は難しいから、土地家屋調査士の試験は無理して頑張らなくても良いと言われました。 測量業務等の実務経験もなく、関係法令も学んだこともない自分が、47歳という年齢から勉強を始めて試験に受かるのは難しいことだろうと思いつつも、後を継いだのだから自分も頑張らなければならないという気持ちになり、勉強を始めることにしたのです。
勉強を始めた1 年目は、他社の通信講座を利 用しつつ、東京法経学院の択一過去問マスター(T)(U)、記述式過去問マスター(T)(U)を使い、勉強しました。択一過去問マスター(T)(U)、記述式過去問マスター(T)(U)は、4 周勉強しました。 約1年で、4 周目には、択一過去問マスターも8割〜9割の出来で、記述式過去問マスターも8割以上の出来で、この調子でいけば1年で 土地家屋調査士試験に合格できる可能性はあると思い、令和3年度の土地家屋調査士試験に臨みました。
令和3年度の土地家屋調査士試験において、 択一式の20問を解いたとき、既に40分が経過していました。過去問を解いて自信をつけていたにもかかわらず、思ったよりも時間をかけてしまい、過去問より難しいと感じたのです。 次に、土地の記述式問題に取り掛かったのですが、問題文が長く、内容を整理するのに時間が掛かったにもかかわらず、その内容を理解で きず、本問の申請が、遺産分割の所有権移転請求権による代位申請だということが理解できず、申請人欄が書けず、大きな減点となってしまいました。
また、求める筆界点、分筆点も多く、計算も大変で、腕時計を見ながら焦ってしまい、地積 測量図は雑になり、杭の種類を書き間違え、相当出来が悪かったのを覚えています。 土地の記述式問題を何とか終えて建物の記述 式問題に取り掛かったころ、既に試験終了まで40分弱で、「これだけの時間しかない。間に合わない。」と焦って冷静さを失った記憶があります。 時間がなかった焦りか、普段では間違えない 箇所でも間違えてしまい、建物も満足のいく出来ではありませんでした。
翌年1 月、筆記試験の合否が発表され、法務省のホームページを開き、合格者受験番号を確認するも、自分の受験番号は記載されておらず、予想通りではあるものの、落ち込みました。 筆記試験合否発表の翌日、試験の成績表が自宅に送られ、成績表を見ると、択一式、記述式 ともに基準点は超えており、あと数点での合格であることがわかりました。 筆記試験の合否発表後、不合格だった原因について、択一式の試験問題は、過去問から出ていた論点にもかかわらず間違っていたものもあり、自分では理解したつもりでいたが、真の理解をしていなかった。2 時間30分という時間制限の中で模試などを全く経験せずに受験したので本番で時間配分等がうまくいかず焦ってしまった。と考えたのです。
それを克服するには、さらなる過去問の繰り返しのほか、予てからホームページや実績、評判で知った東京法経学院に通学し、実戦答練、 模試等を受け、理解を深め、試験での本番力を身につける方法が良いと思ったのです。
東京法経学院で実戦答練12回、模擬試験2回、 ハイレベルロードプレミアム答練6回、総整理・速解答練3回、スーパー模試パーフェクトウィン3 回のパックで受講を申し込みました。答練は、通学タイプと自宅等で受講できる通 信タイプがあり、自宅から学校は比較的遠距離 だったのですが、交通費や通学時間がかかって も通学タイプを選びました。学校で2時間30分 の時間制限で、ライバルの受講生のいる中で、本番さながらの気持ちで集中して受けたほうが、 試験での解答力、実力が身に付き、本試験で実力を発揮できると思ったからです。
4 月から東京法経学院に通学し、午前中に答練を解き、午後に内堀先生をはじめとする講師の方の答練の解説講義を受講しました。 答練の択一式問題の解説には、何故その選択 肢が正しいのか、誤っているのかが記載されており、関係法令の条文が記載されていました。 東京法経学院では、土地家屋調査士六法でその条文を調べ、それに付随する条文も読み、理解を深めて学習する方法を推奨しており、私もそれに従い受講し、自宅でもその方法で学習しました。
また、条文の中には読んでも理解できない内容のものもあり、午後の解説講義では、講師の方が、この条文はどういう意味なのか、どうしてそうなのかを解説してくれたので、過去問題 集や参考書で何となくわかっていたことについ て深く理解することによって記憶に残り、忘れない覚え方ができたのだと実感しています。 休憩時間には、講師の方が、疑問に思ったことや理解できなかったことに対する質疑応答を 行ってくれており、親切に回答してくれたので さらに理解を深めることができました。 答練の問題は、過去問をアレンジしての出題 があり、間違えたことにより、過去問が理解で きていたようで、しっかりと理解出来ていな かったことに気づき、役に立ちました。
答練や模試は、記述式が添削されて返送されるので、独学だけでは気づくことができない、申請書や図面の書き方等の誤りや癖がわかることができました。 また過去問で出題されていない問題もあり、本試験のように、こういった問題への対応力を身につけることもできたと思います。 自宅での学習においても、2 時間30分の時間内に答練を解き、解説を読み、六法で調べて確認を繰り返しました。択一過去問マスター(T) (U)、書式過去問マスター(T)(U)も解き、 解説を読み、六法で調べての確認を繰り返しま した。 そのほか、東京法経学院出版の不動産法律セミナーを購読しました。デジタル購読をすれば、 過去発行の不動産法律セミナーを購読することができ、それを活用し、択一式問題や記述式問 題演習で学習しました。
試験1カ月前の直前期になり、1カ月前は過去問を重点的に行いつつ、実戦答練や模試に出題された、記述式の条文等の穴埋め問題を重点的に学習しました。穴埋め問題は時間が経つと 忘れてしまうので、直前にやったほうが効果的だし、同じ問題が出題されればラッキーだと 思ったのです。
令和4年10月16日の試験本番、繰り返し答練を受けたことで、昨年よりは自信を持ち、落ち着いた気持ちで試験に臨むことができました。
まず、択一式問題は、落ち着いて30分で終えることができました。択一式については例年よ りも易しい問題であるとされましたが、ほぼす べての択一式の選択肢で正誤を判断することが でき、20問全問正解することができました。本年度の択一式は、過去問の焼き直し問題が多く、 過去問、答練を繰り返し学習したことで、自分自身、理解が深まっていたのだと思いました。 また、過去問にない選択肢、例えば第6 問のウ 河川管理施設である防水のために築造された堤防の天端の部分が一般交通の用にする道路として利用されている場合には、当該堤防の占める土地の地目は堤と する。 について、実戦答練の講義で、堤防は、天端が他の用途に使用されていても、堤防自身の主な用途は、防水なのだから、地目は堤である。 と講義があったのを思い出し、この選択枝を正解とすることができました。過去問、答練を繰り返したことで、本番試験の緊張感の中、冷静かつ短時間に20問全問正解することがきたのだと思います。
記述式問題については、土地と建物の問題を見て、土地は問題文が9ページもあり、図面複雑で、難問と思えたので、比較的易しそうに見えた建物の問題から手をつけました。建物の問題は、主である建物と付属建物を合 体する建物表題部変更登記で、答練等でも解いたことがある問題で、さほど難しくはなかったのですが、問題文をよく読んでいなかったため、主である建物の2階の各階平面図、求積、床面積等を書き忘れるという大きな減点となると思われる重大なミスをしてしまったことを試験後に気づいたのです。土地の記述式問題については、問題文が長すぎて情報量が多く、問題の主旨を理解すること自体に多くの時間を費やしてしまいました。申請すべき登記の内容は理解できたのですが、時間がないあまり、計算した座標値の一部誤り、地積測量図が雑になるなどの誤りがありました。
土地、建物で合計4題の条文等の穴埋め問題が出題されたが、これは民法242条の穴埋め問題以外は、全て解くことができました。 4問出題された穴埋め問題のうち3問は、スーパー模試パーフェクトウィン・総整理・速解答練で出題された問題と同じ問題だったので、 直前に復習しておいて良かったと思いました。
試験直後、択一式は完璧だったものの、記述式問題の致命的なミスや出来の悪さがあり、記述問題で足切りになると思い、暗い気落ちで試験会場を後にしました。帰宅し、家族にも今年も合格は難しいと話したのです。
今年1月11日の筆記試験の合格者発表日、法務局のホームページを開いて、自分の受験番号がないか一応確認したところ、自分の受験番号があったのです。ほぼ不合格間違いないと思っていたので驚きました。試験結果は、択一式が20問で50点、記述式の 土地が18点、建物が19.5点の合計87.5点でした。合格点が79.5点以上で、記述の基準点が34点でした。よく言われる択一式逃げ切りで合格することができたのです。
本試験を受験して感じたことは、最近の傾向である、解答に必要のない要素まで記載された長文により、受験者に短時間に出題の意図を理解させるような問題は私自身とても苦手に感じていて、この読解力は勉強しても一朝一夕には 内容を整理する力を向上させることは難しいと感じました。だからこそ、過去問や答練を繰り 返し解き、解説や六法等を読んで理解すること を繰り返し、基本や記述問題についても落としてはならない論点を確実にすることが大切だと感じました。
筆記試験合格発表後、東京法経学院に筆記試験の合格を報告し、口述試験の受験対策資料を送っていただきました。 筆記試験が受かればもう大丈夫と思っていたのですが、口述試験の受験対策資料には、令和2年度は、3名、口述試験で不合格となっており、謙虚な姿勢で口述試験を受けるようにと書かれていました。改めて気合を入れ直し、過去の口述試験の質問内容を繰り返し読み、口述試 験に対応できるよう努力しました。1 月26日の口述試験では、受験対策資料に書 かれていたとおりの質問がされ、ほぼ迷うことなく試験管の質問に答えることができました。東京法経学院は、どこの予備校・通信教育のものよりも土地家屋調査士試験に関するデータ が豊富で、答練も本試験に直結した内容で重要 な論点が記載されていることは間違いなく、一 番信用できると感じました。
約半年間、毎週土曜日に頑張って東京法経学 院に通い、答練と解説の授業を受けた苦労が報 われ、良い思い出になりました。 49歳と比較的高齢で、法律初学者で決して勉 強が得意とは言えない自分が2年で合格できたのは、自分にとって最適な勉強方法、教材を選択し、毎日、過去問、実践答練等を繰り返し続けたこと、そして家族の協力のおかげだと思います。