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準備期間:2008年11月〜2009年8月。
利用講座:DVD 最短合格講座+DVD 電卓講座+DVD Best Select 答練+通学実戦答練+DVD 実戦答練解説+DVD 直前ファイナル。
平均学習時間:一日10時間。
8月23日15:30,試験が終わった瞬間,脱力感に苛まれた。作戦ミス!ひたすら完答にこだわる作戦は,今回の場合,おそらく他の大多数の受験生にとっても同じことであったと思うが,失点につながった。知らないパターンの問題は早々に諦める思い切りの良さが必要だった。そして,得点できる問題の見直しにこそ貴重な時間を配分すべきだった。
最初の30分で建物の書式を仕上げた時点では,合格が垣間見えたように思った。仮に土地の書式が平成18年度のようにヴォリュームたっぷりであっても,余裕でクリアできると楽観した。
ところが,パターンが見えてこない。実戦答練第6回のパターンに似ているような気もしたが,相似の三角形が見えてこない。2次方程式を立ててみるものの計算に慣れていないので,まともな数値が出てこない。
この時点で完答を捨てるべきだった。にもかかわらず,私は深追いした。なにやら閃いてしまったのだ。スマートに解答を導き出し,これで合格できると思い込み,心が軽くなったのは束の間。全然,数値が合わない!暗澹たる思いで完答をあきらめ,適当に作図をまとめあげた時点で,残り時間は25分。読み飛ばしながら,なんとか択一を終えたのは,終了時間の数秒前だった。
こんなやり方で,ケアレスミスを犯さないわけがない。誤った作戦ゆえに得点できる問題に割くべき時間を失った。なけなしの実力を出し切ることができなかった。あまりに愚かしい失策ゆえ,一年後の捲土重来を期すには,脱力感が激しすぎた。真夏の太陽光線が鬱陶しい午後の日差しの中,家路に向かう足取りは重かった。
帰宅後,暗鬱とした気分の中,数時間かけて土地の書式問題の正解を模索。結局,実戦答練第6回のパターンと同じだった。このパターンをマスターしている人,あるいは,短い時間内で閃きに恵まれた人が,多くいるとは思えない。
択一と建物が勝負どころになる!まだ,可能性はある!気力を取り直して,択一の見直しを始めた。天邪鬼な私は,最後の問題から始める。
第20問は,調査士の欠格事由について。簡単な問題だ。絶対に落としてはならない。「…懲戒処分により公認会計士の登録を抹消されたDは,土地家屋調査士となる資格を有しない」。なに?公認会計士!この程度のノイズを聞き逃してしまった!
この時点で,私は,不合格を確信。見直しを続ける気力も萎え,以後,2ヶ月間,試験を振り返ることはなかった。
10月28日16:00,どうせ受かっているはずもない,と虚ろな気分で法務省のページをクリック。そして,はたと気づく。愚かしいことに,私は自分の受験番号を知らないのだ。すっかり意気消沈して過ごした2ヶ月の間に受験票を喪失していた。なんとなく,7000番台だったように思った。もともとは一桁の受験番号が,測量士補試験合格後に変更されていたのだから,だいたい最後のほうの番号だろうと思った。そして,福岡の合格者欄に記された数字の羅列の全てが5000番台であるのを見て,微かな期待も雲散霧消した。
翌日,速達で届いた葉書は,単なる成績通知だろうと思って漫然と受け取った。陰鬱な気分とともにはがしたシールの下から目に飛びこんできたのは,なんと,合格の二文字。筆記試験の合格通知を兼ね口述試験の受験票でもある,その葉書にまじまじと見入っているうち,その日は天高く澄みきった青空の広がる秋晴れであったことに,遅まきながら気づいた。
結局,択一は37.5(足切り32.5)。土地は14.0。建物は22.5。書式の合計は36.5(足切り35.0)。全体の合計は74.0だった(合格70.5以上)。失点は,不思議なほどに少なかった。幸運の女神が,なぜか,私に微笑んでくれた。
ただひとえにラッキーゆえに合格できた私の体験談など,限りなく無価値であろう。が,どのように準備したか,さらに,今だったら反省を踏まえてどのように準備するか,ということをいちおう記しておく。
内堀先生の熱血講義を聞き始めたのは,11月。しかし,年内は測量士補のほうに重点を置いていたので,ただ漫然と講義を聴いてノートをとる作業に終始した。
今なら,測量士補の準備は3月から始め,5月の試験までの3ヶ月で一気呵成に仕上げる。そして,2月いっぱいまでは調査士の準備に集中し,過去問l0年分を一度は当たっておく。
その際,口述試験の準備方法を最初から取り入れる。口頭で論述する練習は,頭を極めてクリアにしてくれるので,筆記試験の準備としても有効であることに,今さらながら気づいた。
書式に手をつけ始めたのは,1月。当初,今ならほんの15分くらいで仕上げてしまうような問題でも,1時間以上かけていた。電卓講座とともにFX-991ES を手に入れ,複素数を使うようになったのは3月。しかし,この時点では,交点計算を連立方程式で処理していた。5月になって,複素数を使った交点計算のやり方をネットで発見。そして,FX-993ES を購入。これを土地用(COMPLX モードかつFIX 小数点以下第2 位)とし,FX-991ES は建物用(COMP モードかつFD(小数点以下第9位)とすることで,求積方法をようやく確立。平成18年度の土地書式問題であっても小1時間あれば充分,というレヴェルになった。
択一に手をつけ始めたのは,3月。当初は,読んでいるうちに眠くなってくる無味乾燥な文章を,デンデンムシ並みに鈍い読解力で,20問に小1時間かけて解いていた。30分強で解けるようになったのは6月。悪戯でもするかのように作問者が挿入するノイズを聞き分け,そして,それに苦笑する余裕が出てきたのは,8月。
今なら,教科書を通読するステップは省略して,最初から択一データベースにアタックする。
そして,教科書は,参考書程度の利用に留める。
過去問に手をつけ始めたのは,4月。当初,年度によっては4時間以上かけていたが,4回目を解く8月には,大体2時間前後で解けるようになった。第1回目と第2回目の実戦答練の際,2時間もたたずに見直しを終えて出て行く人がいて,目を丸くしたものだったが,最終的には,私も同じレヴェルに達したようだ。
なお,建物→土地→択一という順番で解く作戦は,今なら,建物→択一→土地という順番に変える。もともと,実戦答練に参戦するにあたって,得点を度外視した上で,とりあえず時間内に全問に手をつけることが目標だったから,このような作戦を採用した。
建物の書式は,筆を止めることなく機械的に解答するものだから,できようができまいが,かかる時間は同じ。土地の書式は,できようができまいが,求積が時間を貪欲に濫費する。その点,択一問題は,二択の場合なら余計な選択肢を読み飛ばすことができ,いざとなったら鉛筆を転がして解答することもでき,かかる時間は伸縮自在。だから,最後に回した。そして,この答練用の作戦のまま,愚かにもそれを変更することなく本試験に突入してしまったのが,私の失点の原因だった。
今なら,土地の完全解答は努力目標に格下げにする。そして,択一の完全解答を優先する。だからと言って,いわゆる定石を踏む気にはならない。つまり,択一を最初にもってくる気にはならない。そんなことをしたら,試験場の大多数の気分に波長を合わせることになり,渦巻くストレスに巻き込まれてしまう。
以上,求積クリアは合格のための絶対条件,という受験生の聞に跋扈する強迫観念が有害にして無益である,という体験談。
最後に,歩く誠実,内堀先生の熱血講義に,感謝・感激・神あられ。