仙台会場(仙台法務局:集合場所3F,面接会場5F「5b」)11月8日(月)午前の部8時40分集合受験者は男性のみ11名。係員男性2名から試験の説明の後,封筒に入ったくじを受験番号順に引く。私は11番目の最後に残ったくじだったが3番目で程良い待ち時間であった。9時10分試験開始。9時40分私の順番になる。案内係りの人に受験票の確認を受け番号札を渡し5Fへ案内される。案内係りの人にドアを開けてもらい入室する。試験官は2名。どちらも50歳代。それぞれ傍らに六法を置き質問のレジメを手にしている。入り口近くの机に荷物を置くように指示され腰をかけるように言われて座る。座ってから受験番号と氏名を聞かれ,「緊張されると思いますが,リラックスして下さい」と穏やかに言われ口述試験が始まる。
試験官1:では私から不動産登記法について,いくつか質問します。分筆登記には申請義務がありますか。
私:分筆登記は,登記の種類としては創設的登記とされ,登記の実行行為によって初めてその効力が発生しますので申請義務はありません。
試験官1:では分筆登記で登記官が職権でできる場合がありますか。
私:はい。地図を作成する場合で表題部所有者または所有権の登記名義人の異議のない時に限りできます。また一部地目変更分筆登記もできます。
試験官1:では建物表題登記についてお聞きします。建物表題登記には申請義務はありますか。
私:はい。あります。
試験官1:建物表題登記を申請する時に添付する所有権証明情報とは具体的にどんな書類ですか。
私:はい。建築基準法第6条の確認済証および第7条の検査済証,建築工事の請負業者が発行する工事完了引渡証明書,固定資産税の納付証明書などです。
試験官1:では次に筆界特定制度とはどんな制度か説明して下さい。
私:はい。筆界特定制度とは,少なくても一方に表題登記がある2筆以上の土地について,土地の所有権登記名義人等の申請に基づき,筆界特定登記官が筆界調査員の意見を踏まえ一定の手続きを経て,現地における筆界の位置または範囲について判断する制度です。
試験官1:所有権界と筆界が一致しない場合,一致させるにはどのような手続きをとるといいですか。
私:はい。一致しない部分の分筆登記を申請したうえで,当該部分の所有権移転登記を申請します。
試験官1:それでは,もし筆界特定登記官の判断した筆界特定の内容に瑕疵があった場合,どうしたらよろしいですか。
私:はい。え〜〜 (悩む…)(問題は聞こえていたが考える時間が欲しくて)すみません。もう一度質問をお願いできますか。
登記官1:(上記と同じ質問をゆっくりと繰り返してくれた)
私:一度筆界特定がされた土地について再度の筆界特定の申請は原則としてできないこととされていますが,公示上の混乱,取引上の安全が損なわれる恐れがあり訂正する必要がありますので,再度の申請はできると思います。(すぐに思いつかず苦し紛れにこのように答える)
試験官1:よろしいです。私からの質問は以上です。
試験官2:では私からは土地家屋調査士法を中心にいくつか質問します。まず土地家屋調査士法第1条の土地家屋調査士制度の目的を言って下さい。
私:はい。土地家屋調査士の業務の適正を図ることにより,不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し,もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とします。
試験官2:次に土地家屋調査士法第2条の土地家屋調査士の職責を言って下さい。
私:はい。常に品位を保持し,業務に関する法令および実務に精通して,公正かつ誠実にその業務を行わなければなりません。
試験官2:ではなぜそのような職責が規定されているのですか。
私:はい。土地家屋調査士の業務は,極めて専門的な知識と技能を有していなければならないものですし,公共的な業務だからです。
試験官2:次に開業しようとする場合の手続きをおっしゃって下さい。
私:はい。事務所を設けようとする地を管轄する法務局または地方法務局の管轄区域内にある調査士会を経由して,調査士会連合会に登録申請書を提出します。またそれと同時に調査士会に入会の手続きをとります。
試験官2:ではその登録しなければならない理由は何ですか。
私:はい。土地家屋調査士を国家資格として業務の独占を認めたことにより、土地家屋調査士の資格を有していることを公に・・・公証するためです。
試験官2:土地家屋調査士がやってはいけないことを3つ挙げて下さい。
私:はい。二つ以上の事務所を設けてはいけないこと。虚偽の調査・測量をしてはいけないこと。業務上知り得た秘密を他に漏洩してはいけないことです。
試験官2:土地家屋調査士に守秘義務はなぜ必要ですか。
私:はい。え〜 (ちょっと悩む)。先ほど申し上げました調査士制度の目的および調査士の職責に照らし合わせ,個人情報を遵守しなければ品位を保持できず業務の適正を図ることができないからです。
試験官2:はい。結構です。それでは以上で口述試験を終わります。お疲れ様でした。
私:(起立して)ありがとうございました。(退室するときも)ありがとうございました。失礼します。(待っている係員はいない)(そのまま帰る)(3Fの待機室には戻れない)
それぞれの試験官の一方が質問しているときは,他の一方の試験官が何かレ点を書いてチェックをしているようでした。割りと淡々とした感じで進んでいきました。質問してくれた試験官を見て答えるように気をつけていましたが,これでいいのか不安になりながら答えているとうなずいてくれて安心して答えることができました。また,あらかじめ質問に答えられず困ったときを想定して「わかりません。」ではなく「緊張して忘れてしまいました。」と答えるように決めておくとか,いくつかのキーワード「公示上の混乱が生ずるから」とか「取引上の安全を損なうから」とか「土地家屋調査士制度の目的に反するから」などを用意しておくとその場で考えて答えられるかと思います。土地家屋調査士法第1条と第2条は直前まで復唱して暗記しておいて良かったです。あと試験の順番には恵まれて良かったです。最後の順番ですと2時間以上3Fの待機室で待たされることになったことでしょう。