「あきらめる?あきらめない?決めるの自分…」という私の大好きな歌がありますが、今回の試験は、本当にそれを実感しました。
私が今まで歩んできた業種は技術屋で、電子回路を作成したり、プログラミングを行ったりと、法律とはまったく無縁の仕事をしておりました。そのため、憲法 9 条程度の事は知っていても、事情判決や「明白かつ現在の危険の法理」や「二重の基準論」などの言葉は全く知らず、最初のうちは外国語を勉強しているような気分になっていました。
それでも、「全く分からなくても教科書を 2度見たら、少しは覚える。 3 度見たら、さらにもう少し覚える」と、 4 年程かかりましたが合格できました。
数年すると一緒に勉強していた仲間も一人消え、二人消え…と、あきらめていく人を見つつも、「私はあきらめない。合格に近づけるか、不合格に近づけるか、決めるのはまさに自分だ」と粘り勝ちしてやると自分言い聞かせてました。
生活費もきりつめて、各予備校の模試をとにかく数多く受けて、 3 時間持続できる集中力を鍛えましたが、合格した直前に受けた模試は 6校、模試の数は10を軽く超えました。特に東京法経学院の模試は、一昨年までは 3回だったのですが 5 回にボリュームアップしたので、勉強できたなぁ…と、受け応えを感じました。
その結果、自分でも未だ信じられない所はありますが、こうやって合格体験記を書かせて戴いて、合格した実感を噛みしめています。
そんな私ですが、今後受験される方にアドバイスするとするならば、
・とにかく模試は受けられるだけ受けて集中力を鍛えて下さい。
スポーツでも試合に勝つためには、基礎トレーニングで筋力を鍛える必要があります。テニスでも野球でも、格闘技でも体力づくりなしに、センスだけで勝てる選手はまずいません。スポーツなら学生時代に経験がある方が多いので、納得していただけると思いますが、試験勉強でも同じだと感じました。
予備校の模試の最初に感じた事は、「途中で意識がぼーっとしてしまって、時間が足りなくなる」ということでした。原因を考えれば、集中力の持続力が鍛えられてない上に、私の脳も一気に糖分を使い果たし、血糖値も下がって集中できる度合いも下がっていたようです。実際、数年続けてきて、最初のうちは模試を受けた後は、疲れもひどく、若干低血糖でふらふらになっていた覚えがあります。そのため、模試も本試験の時も、開始直前に甘い飴をいくつも口に詰め込んでから、始めてました。これを続けた結果、途中で集中力が途切れることが減りました。
・問題集は解いたら、 5 回以上繰り返し最初から解き直して下さい。
先程の話と共通しますが、問題集を繰り返し解くことで、同じ問題に解答できる反応速度を上げる事ができます。頭を「慣れさせる」事で、集中力が多少下がっても、自然に反応できます。
あちこちの予備校の先生方も仰っておられますが、「いろんな新しい問題に当たるより、基礎的な問題を繰り返し解いて基礎力を鍛える事が大事です」というのは、私もその通りだと感じました。私は医学的な知識も全くありませんが、基礎的問題を繰返し解く → 慣れてくる事で脳の負担が軽くなる → 血糖値の消耗が減る →集中力が持続できる という原理ではないかと思われます。
あと、受験されてる方には失礼かもしれませんが、毎年教科書と問題集は買換えて下さい。「もったいない」と思われるかもしれませんが、頻繁に行われる法律の変更に対応した教科書と問題集を使用しなければ「不合格」に直結します。
・司法試験と違い、不合格になっても予備試験からやり直す事はありません。
合格するかどうかは、あなたの毎日の積み重ねが答えを出してくれます。私は仕事柄パソコン教室の講師もしておりますが、生徒さんから聞く声に「もう年だからできない」「画面が老眼で見えないからできない」「いじって壊してしまうからできない」など、「できない」事の理由を並べる方も結構おられます。
そこで、画面が老眼で見えないと言った生徒さんには100円ショップで老眼鏡を買ってきました。また、いじって壊してしまうかもしれないからできないといった生徒さんには、私の職業が「パソコンの街医者」なので、壊れたら即座に直せる事を伝えました。もう年だからできないといった生徒さんにも、「本当にできないのですか?それともやりたくないのですか?」と話した所、「やりたい、でもできない」と答えられたので、「明日までに出来るようになるのは難しくても、10年同じ事を続けたとしても、全くできないままですか?」と話すと、「それなら…」と納得されます。
そういう事もあり、私自身が「やりたい」と始めたのですから、「畑違いだからできない」「素人だからできない」といった言い訳はできません。期限が決められている訳ではないのですから、生徒さんの手前できなければ、できるようになるまで続けて合格しないと自分が言った事が嘘になってしまいます。そのため、ひたすら問題集を繰返し解き続けました。
・ 「問題集を一日 5 ページ以上」等の毎日の目標を作ってみて下さい。
私は自宅にいるとどうしても他の仕事や用事が気になって勉強できないので、マクドナルドやスターバックスなどのカフェ、公共の施設の自習室などを利用して週の 3 ・ 4 日は 2 時間位の時間で勉強していました。時間がなくて、その日勉強時間がとれなければ、翌日以降に目標の倍の量に挑戦しました。そうなってくると、量が増えて気が滅入る時もありましたが、「それなら止めるか?」と自問自答の結果、「どんなに歩みが遅くても続ける」と、亀の歩みを止めなかった事が合格に繋がったと思っています。
・自分の心の中の天秤で、合格より軽いものはとりあえず無視して下さい。
私も趣味のバイクツーリングなど、色々やりたい事がありましたが、日々の生活の糧を得る仕事以外で後回しにできるものは片端から後回しにしました。部屋の掃除すらも、かなり後回しにする事が多く、今部屋の大掃除の真っ最中です。(さすがに部屋の掃除まで後回しにするのはお勧めできませんが…。)
他の知り合いからの遊びの誘いも、「ちょっと用事が増えてて…来年までには落ち着くようにするから」とその場は断って、とにかく試験に合格することの優先順位をできるだけ上に置くようにしました。
・苦手分野は苦手でも避けないよう心がけて下さい。
私も苦手分野というか、なかなか覚えられない分野はありました。ただ、苦手だなぁ…と感じるのではなく、なかなか覚えられないなぁというだけで、苦手=嫌だなぁというような感情は持たないように心がけてました。嫌だと思うと、自己催眠でなおさら苦手と感じてしまう気がしましたし、苦手もなにも、合格してないのなら、全科目苦手なのと同じだと考えましたので…・・。そのため、問題集もまんべんなく、最初から均一に得意不得意関係なく解きました。
以上のように、私の場合は地道に黙々と、ひたすら問題集を繰返し解くことによる「粘り勝ち」だと思っております。また、他の人が合格していくか、受験勉強を止めていくのを横目で見つつも、自分のペースであきらめないで、ひたすら続ける「亀の歩み」作戦で得られたものです。画期的なものや、斬新なアイデア等はありませんが、「継続は力なり」ということがいえると思いますので、これから受験する方は、あきらめずいつか来るその日を信じて粘ってみて下さい。