私は,平成21年12月から勉強をはじめ,3度目の平成24年度に合格しました。
都内でタクシーの運転手をしており,通学は全く考えていませんでしたので,合格実績があることが前提ですが,通信教育で,リーズナブルな受講料という優先順位で,東京法経学院の音声ダウンロードの講座に決めました。
タクシーの運転手という仕事は,朝7時から,翌朝3時まで運転して,洗車や納金をして帰宅するのが一般的な勤務時間となります。
私の場合も,千葉の地方から稼げる都内まで,2時間近くの通勤時間をかけて通っていましたので,朝は始発の電車で,帰りは,翌朝の始発で帰宅する生活をしていました。わかりやすく言うと,約24時間拘束され,その後,約24時間休みという生活です。具体的には,月,水,金,日,火,木,土,の早朝に出社して,それぞれの翌朝に帰宅するというシフトです。勉強時間は,帰宅した日に仮眠後,深夜までしていましたが,慢性的に眠い状態が続いたので,いろいろと試行錯誤を繰り返した結果,出社する日の早朝0時に起床して,4時まで自宅で勉強して,始発電車内の1時間30分を足して,1日約5時間の勉強時間を確保し,帰宅した明けの日は,仮眠後約4時間を勉強して,夕方の6時までには,床に就くようにしました。
学生時代から大分経過していたので,講師の方が大変優秀でわかりやすく説明してくださっているにもかかわらず,なかなか理解ができず,音声ダウンロードの講義を2回から,3,4回ずつ聴き,やっとこ理解できる状態でした。
1回目は,講師の方が線を引くところを指示された通りに線を引いてついていくのが,やっとで,2回目以降は,理解できるまで何度も何度もバックして聞き返して,講師のおっしゃった具体例なども全てテキストに書き込んでいきました。
勉強開始後半年後の最初に受けた平成22年度の筆記試験は,すべての基礎講座を一通り聴き終えたばかりで,過去問は1回,目を通しただけで,当然不合格でした。書式の問題などは,本試験で初めて解くありさまでした。
2年目は,講座は受講しませんでした。公開模試を数回,日曜日の仕事明けの血走った目のままで,受けただけです。
択一対策は過去問の1回転目は,それぞれの肢の左に×,○,などを記載し,間違えている部分の下にアンダーラインを引いて正しい答を書き込みました。たくさん書き込みたいときも可能な限り,自分の言葉にして,簡潔に書き込み,後々,裏ページの解答を参照する手間を省けるようにして,高速で復習ができるようにしました。過去問の2回転目以降は,まず,テキストを読み込み,該当部分の過去問を読むということを(解くのではありません。)試験前日まで繰り返しただけです。
書式対策としては,市販されている早稲田セミナーのブリッジ理論編を1日おきに30分ずつ,不動産登記法,商業登記法を計1時間読み込み,翌日にブリッジ実践編の不動産登記法,商業登記法を1問ずつやりました。直前期は,書式の過去問を2回ずつ,間違った問題は,3回以上やりました。
公開模試の結果は合格圏ランク外で合格には程遠い状態でしたが,試験の前日まであきらめないで努力し続けました。
結局,択一,午前,午後,書式のすべての基準点をクリアーしたものの,総合点には及ばず,不合格となりましたが,この時のしつこさが翌年の合格につながったと思います。
2年目の不合格確定後,何が自分に足りないのか,わからず,悩みましたが,無意識ながら,自分は仕事をしながら,勉強をしているという甘えがあり,試験にいつか受かればいい程度に考えていることがわかりました。つまり,仕事も勉強も中途半端であり,家族にも,会社にも迷惑をかけているということが,よく実感でき,大変反省させられました。
私は,試験合格後,可能な限り,直ぐに独立するつもりで勉強をしていましたが,はたして,自分が,経営者となったときに,「勉強したいから,仕事に手を抜いているような人を雇いたいだろうか。」と考え,間違ってもそのような人は,雇いたくないと思いました。
はずかしながら,まさにその時の自分が,その雇いたくない人間であることに,気づきました。
そこで,私は,タクシーの売上げを社員数140名ほどの小規模な会社でしたが,会社で売り上げナンバー1の運転手になり,且つ,翌年の試験に必ず,合格してみせると決意しました。決意後,タクシーの休憩時間中,以前は過去問や,テキストを読んでいましたが,そのようなことは一切やめ,駅,幹線道路,抜け道など,売上げ向上のための勉強をして,仕事の拘束時間内は,全て仕事のことのみを考えるようにしました。
すると,自宅にいる時しか,試験勉強ができないという良い意味での緊張感から自宅での勉強も,以前より密度が濃いものとなりました。決意後,6か月間,連続で月間売上げナンバー1を達成し,管理者には,もう少し,休憩時間と休みを取るように注意されるほどでした。その後,平成24年の4月にバスの運転手が,居眠り運転で大事故を起こしたというニュースが世間を騒がせました。それにより,年々厳しくなっていたタクシー,ハイヤー,バスなどの旅客運送業務に対する監督官庁の監査の目が一段と厳しくなり,適切な休憩時間の確保,連続走行時間や,1日の走行距離など,事故を起こした場合の会社の管理監督責任が一層重いものとなりました。
わたしは,もし,事故を起こしたら,会社に迷惑がかかるし,それでも売上げ至上主義に徹することは私が望むことではないと判断し,5月のゴールデンウィーク明けごろから,休憩時間中は,仮眠を取ることとしました。
売上げは,少し落ちましたが,結果として,試験直前期の勉強のパフォーマンスがさらに向上し,7月の試験での合格レベルまで,なんとか間に合わせることができました。
話は前後しますが,3年目の勉強方法は,2年目をそのまま踏襲し,プラスアルファーとして,市販されている早稲田の択一問題集と,オートマティックの書式2冊を追加しました。
また,3年目の4月ごろからは,書式を解いた際にメモした答案構成用紙と申請書はファイルしておき,間違えたところに赤ペンで正しい答を記載し,青ペンでどうして間違えたのかもメモしておいて,毎回書式を解く前に必ずさっと目を通すようにしておきました。
3年目も2年目と同様に講座は受講せず,公開模試を日曜の仕事明けに2回受けただけでしたが,午前択一29問,午後択一30問,書式42点と,とても自慢できる点数ではありませんが,どうにか合格することができました。
「塞翁が馬」ではありませんが,2回目の試験に落ちたことによって,独立後に経営者としても必要な能力の一つが身についたと本当に感謝しています。
私は今後も勉強と開業後の営業活動を全力で続け,地元ナンバー1の司法書士法人を設立します。
「夜明け前が,一番暗く,暗いからこそ星は見える」といいます。
今,不合格,または初めての挑戦で辛い思いをされている方にエールを送りたいと思い,合格体験記を執筆しようと思いました。
この体験記を読んで下さっているあなたといつかともに活躍ができる日が来る日をまっています。
受験生の皆様と東京法経学院の誠実な対応をしてくださったスタッフの皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
(なお,この体験記を執筆するにあたり,講座の申込みをして結局手を付けられなかったものについては講座の受講はしていないものとして記載してあります。)