●はじめに
専業受験生でしたが、従前はFP学習関連の仕事をしていました。仕事柄金融や税・社会保険の知識や資格をもっていましたが、肝心な一般法である民法や会社法についてじっくりと学習したことがなかったので、常に不安を感じていました。また当時は近々民法の大改正があるということだったのでこれを機会にこれらの法律をくわしく学ぼうと決意し、司法書士の学習をはじめました。
●学習法
( 1 ) 1 年目
基礎講座は他校で学習していましたが、とにかくオリジナルノートをつくることに専念しました。以下のその理由です。
1 )ノート作りの過程で暗記でき、内容の整理ができ、同時にわからないところがはっきりしてくる。
2 )何か大事な事情で学習を中断した時に再度学習に入りやすくなる。
3 )たとえ受験に失敗しても来年の受験のための重要な武器にできる。
4 )合格後の自己の成果の記念品となる。
しかし今回は過去のノートづくりと勝手が異なり民法・会社法を含む11科目です。そこでワードでノートを作成しました。
( 2 ) 2 年目
前述のノートをプリントアウトしたものをひたすら確認・暗記する作業が中心です。毎回の答練を本試験にみたてて、それまでの終える科目を決定し、その答練までに仕上げるというメリハリをつけた学習をしていました。そして答練で初見であった内容をさらにノートに加筆していきました。
( 3 ) 3 年目
東京法経学院を含め複数の予備校の答練を受講していました。この段階にくると新たに暗記するというよりはできなかったことをノートにもどって確認する作業が中心となりました。答練のあいだに少しインターバルがあるときは11科目全1200ページほどあるノートを10日ほどでまわしていました。また模試を通じてどの手順で本試験を解くかをいろいろためしました。(後述)
●苦手分野の攻略法
私の場合は「不動産登記法の記述式」が苦手でした。解答パターンだけではなく、出題方法も多種多様であることから、問題文を読んでその場で解法を考えなければならなかったからです。そこで問題の解法を自分なりに固定してそこに問題内容をあてはめる方法をとりました。具体的には以下のようです。
1 )あらかじめ決めた順番で問題文を見る
2 ) 1 と並行して収集した情報を答案構成用紙のしかるべき位置に記載する
3 )必要な登記を順序良く答案構成用紙に書きだしてみる
問題文の読む順序は各人の好みによりますが一度決めたら決して変更しないこと。またメモはできるだけ手間をかけてそれだけで事件の展開がわかるようにします。また書きだした必要な登記には順位番号(付記の枝番)も記載します。このようにプロセスをこちらで固定してしまえば、後は機械的な作業をするだけで済みます。この方法で苦手意識は残ったままでしたが、大きな失点はしないようになりました。
●テストを効果的に受験する方法
この試験では成績上位者の大きな塊があります。これらの受験生のうち一部が合格できるとすれば学力的には差がないので後は試験のやり方の問題となります。つまりどのようにすれば最大限の自分の力を発揮できるかということです。私には次の 2 つの問題点がありました。いずれも午後試験についてです。
1 )午後のスピードを伴う択一式では集中力が最後までもたない。
2 )不動産登記法の記述式が苦手である。
そこで「択一式問 1 〜 25」「不動産登記法の記述式」「択一式問26 〜 35」「商業登記法の記述式」の順で解くようにしました。この方法だと、択一式を集中力がきれる25問できりあげ、他の受験生が手をつける前におちついて苦手な不動産登記法の記述式にとりくむことができ、苦手な不登法記述式を終えた解放感で新たな集中力をもって択一式10問を解き、残りで得意な商業登記法の記述式に突入できるというわけです。テストの集中力をきらすこともなく時間を有効に使える方法でした。またこの方法をとったことで、不登法の記述式で壁にぶちあたったときでも、一旦記述式を切り上げ択一式・商登法記述式をこなした後、時間に余裕をもって再度不登法の記述式にもどることができます。あくまでこれは一の戦略ですが、とにかく各自でどのようにすれば効率的に問題を解けるかという戦略は、 1 点でしのぎを削るような試験では必要だと思います。
●筆記試験
「テストは模試よりも奇なり」です。一番得意な午後択一式や一番時間を割いた記述式については上乗せが稼げず、たいして期待をしていなかった午前択一式の上乗せ点で合格点をクリアできました。つまり得意科目をつくるのは勝手ですが、得点できない科目だけはつくってはいけないということです。得点できない科目を得意科目でカバーしようとすると、もしその得意科目が難問ばかりであったらその時点でおしまいです。
●東京法経学院のよかった点
1 )単なる過去問ではなく演習はオリジナル問題が多かったこと。中には極端に細部にこだわる出題もありましたが、多くの問題は一般に受験生がグレーとしている知識でした。まさに受験生のウィークポイントをついてくるので、逆にその項目について整理するきっかけを与えてくれました。また他校の授業で紹介された新しい判例が次のここでの総合答練に出題されることもたまにあり、東京法経の出題には他校にはない深みと斬新さがありました。
2 )模試の採点時に記載されたアドバイスはとても親身なものでありがたかったです。
3 )質問にはわざわざ講師の方が間を置くことなく返答してくれたことに非常に感謝しています。後で考えれば基本的なことであった内容についてもわざわざ資料までつけて返答していただいたときにはとても感激しました。
●最後に
私は 3 年目の答練でお世話になりましたが、他校も含めてすべて通信受講でした。質問の返信の際にたしか梁瀬講師から「君は合格するね」というようなことをどこかのメモで拝見しました。今回は合格できるかもと感じたのはまさにこの一言からでした。ずっと通信で学習していた自分にとって、まさにこれが起爆剤になったと感謝しています。
1 年間でしたけど学習上また精神上とても密度の濃い受講生活を送ることができました。本当にありがとうございました