合格体験記|記述式の過去問を繰り返すうちにおのずから見えてきたことがあるんです!|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

記述式の過去問を繰り返すうちにおのずから見えてきたことがあるんです!

体験記

R,Yさん


 体験記

 私は記述式の答練の復習は各1回ずつ行ったが、過去問は何回も繰り返して行いました。前年度から平成元年までの記述式の本試験問題を繰り返して解き続けました。受験が8回目ともなると過去問の解法や論点を覚えてしまっているので練習に向かないのではないかと思われがちであります。しかし8回の受験のあいだ過去問を25回位は回したと思うなかで実はどの過去問にも共通して見えてきたことがあるんです。それは何かというと、土地でも建物でも、あの長ったらしい文章の中に権利や事実が変動するキラッと光っている瞬間があったのです。その特に権利が変動する、もしくは変動させたい瞬間にその変動の前提として必要に迫られるのが表示に関する登記の目的になっていたのです。そうすると変動の前提として誰が登記上の主人公なんだろうと考えてゆくと、申請人がおのずと見えてきたりもしました。

 

 今般このコツをつかんだおかげで、あの長い長文問題でもその「瞬間」を探しながら冷静に読むことができるようになりました。とくに間違えると致命傷になる登記の目的や申請人を迷わなくなってきました。あとは自分の訓練だろうと思い、朝の通勤電車の中で過去の答練や模試を読んで登記の目的と申請人だけを把握する練習を繰り返しました。今述べたキラッと光る瞬間だけを探しながら読む練習を何回も繰り返しました。特に条件の悪い電車の中で登記の目的と申請人が短時間で読み取れた時は一人でニタッとしてうれしかったです。

 殊にここ数年私は本試験での問題文を読む際に何度読んでも論点を抑えきれずにいて、登記の目的をきちんと把握できずに回答してきて記述式足切りの憂き目を見てきただけに、この発見は自信に繋がりました。今年の本試験は土地分合筆登記、建物表題部変更登記でしたが登記の目的と土地の申請人を冷静に正解にたどり着けることができました。

 特に今年の土地は他校の模範解答では分筆登記との意見がでましたが、私は「…合筆してこれを担保にいちご栽培農園拡張のための融資を受ける」とか「登録免許税が最も少なくなる方法によって」とか問題文に書かれていたので、ここに権利が動くキラッと光る瞬間を感じることができて、自然とこれはもう申請人は同じ栽培農園であるぶどう・いちごを分合筆によって一旦すっきりとりまとめて銀行に融資を申し込みたいんだなあ、甲野太郎はそんな風にして「いちご栽培農園を拡張」したいんだろうなあ、銀行は抵当権という権利を設定するための前提としての土地分合筆登を甲野太郎に求めてくるんだろうなあ、一方、甲野太郎は登記費用を安くあげたいんだろうなあと、なんとなく腑に落ちました。

 結果私は択一17問で42.5点、土地20.5点、建物17.0点、記述式37.5点、合計80.0点でした。

 答練では記述式問題文の本旨を絶対逃すまいと、時間確保のためにと、択一を30分で終える練習をしました。特に実戦答練後半は知識不十分なままあえて30分でやろうとしたために択一9問(第2回目全国模試では6問)正解なんていう結果がザラで、択一C・D判定にくすぶっていましたが、その分、記述式を終わらせよう、書き切ろうと思って取り組みましたので記述式では大体A判定(第2回目全国模試でも記述式A判定)をもらえました。そして択一は直前の集中力だと思っていたので、答練では各回1回復習をやったっきりで、あとは過去問ばかりをやりました。理由は、実戦答練後半のような難しい問題は過去問には出てこないし、出てもみんな解けないし…なんて思っていましたので。特に択一過去問には癖があるようで、どっちとも取れる正解があるときにより濃く、近い正解はどっちかなんていう正解へのアプローチの仕方があるように思えます。なので直前に択一過去問の癖を知っておいてこれをやっておいた方がよいと思います。

 

 話を記述式に戻しますが最近の本試験はあえて受験生に考えさせる出題傾向があるなあと感じます。今年は分合筆か分筆か、去年は2階建てか3階建てかという論点です。この論点を冷静に読み解くには解答時間にゆとりがある必要があると思います。私は記述式に2時間弱充てることができたので分合筆と判断できましたが、去年は択一が45分かかり記述式に充てられる時間不足で焦り、更には2階建てか3階建てかを迷い、いたずらに時間だけが過ぎてしまいました。結果焦ったが故、ケアレスミスで簡単だった土地座標値を計算ミスしました。

 出題者はあえて問題文や設問文で明確に表記して示さずに、受験生に考えさせその場で判断させるように仕向けているような気がします。前述のように私には記述式を落ち着いて考える時間を確保するために択一を30分くらいで切りあげる勇気が必要でしたし、答練をそこに焦点をあてて取り組んできたつもりです。あくまでも記述式2時間で図面を書ききるためには、択一30分目標14問以上の訓練を行いました。また択一対策として「六法」を精読しました。内堀先生の仰せのとおり「六法」はいつもいつも読んでおくべきです。だって法務省の国家試験なのですから。

 六法を中心とした学習は択一・記述式共通の助けになることは絶対的です。出題者に揺さぶりをかけられてもぶれない信念が沸き起こる感じです。「「六法」を読んでいると記述式問題文の読み方が分かってくる」、土地家屋調査士受験勉強法の本質をとらえた、さすがは内堀先生のいつもおっしゃられるところです。

 また合格には多少の運も助けになると思いました。今般択一→建物→土地の順に解答しました。問題文を見たとき土地を後回しにして今回はよかったです。答練ではいつも土地を先にやっていましたので…。周りの受験生にも静かな人が多く落ち着いて出来ましたし、注意を受けている受験生もいませんでしたし。私は答練でも見せなかったような、初めて少し斜めに構えて解答していました。カンニングしていたわけではございません(笑)。

 特に土地の記述式では前述のキラリと光る瞬間を見出そうと、なかば読みながら貧乏ゆすりをしていました。野球選手がガムを噛んで打席に入っているように集中兼リラックスを何故か自然とできていたようです。ただし絶対に図面を書き切るんだということに関しては必死でした。やっと図面を書いてから論述問題に取り組みましたが、まだ残り時間が10分ありましたのでニタッとし、ほっと助かりましたーって感じでした。特に土地の論述問題では私の知らない知識でしたので、こんなん知らんわとあっさり降参し、建物の論述に時間を割くことができました。論述で何点もらえたかわかりませんが、結局初めて本試験で書き切ることができましたのでワクワクドキドキしながら結果発表を待てました。経験上やはり白紙で出されては試験官だって採点のしようがないと思います。この受験生は解っているのかいないのかは、汚くても絶対に書き切ることによって合格への執念を示せるのではないでしょうか。勇気と気合と集中と運の試験であったと思いました。殊に勇気面では民法に時間をかけない、かけたら択一30分が間に合わなくなるという気持ちのなかで思い切って解答用紙にマークするに至る私なりの勇気のことです。運よく民法2問取れました。勘が当たりラッキーでした。

 あともう一つは心の恩師である内堀先生のいうことを素直に聞いて過去問と自分を信じて繰り返し続けることかなあと思いました。平日は仕事なので早朝の時間を唯一記述式計算、作図の練習時間とし、通勤電車の中で択一をやり六法を持ち歩きました。また周りの学院生にも感謝です。自習室でわからないところを聞き、教えてもらいモチベーションの維持にもつながりました。

 

 最後に、冒頭に申しました通り、私の今回の勝因は記述式過去問と記述式答練を通じて自然と自分なりの出題者のパターン的ともいえるような問題作成要領とそれを読み解く読み方のコツおよび権利の登記の前提として表示の登記の目的を作問してくる具合に、法務省が何を土地家屋調査士に考えさせるべきかという問題文の物語の展開を実戦答練後半の時期になってようやく読み取れるようになって、これが初めて腑に落ちてきた結果なのかなあ…と感じた次第です。