土地家屋調査士は独占業務があり、将来的にも長く活躍できる可能性が高い仕事です。しかし、「土地家屋調査士はやめとけ」と言われた経験がある人もいるかもしれません。もちろん仕事ですので良いことばかりではないはずです。
今回はあえて「土地家屋調査士はやめておけ」と言われる理由を探っていきます。土地家屋調査士の仕事内容や将来性などについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
「土地家屋調査士はやめとけ」と言われる理由
「土地家屋調査士はやめとけ」と言う人がいるのは、土地家屋調査士は責任のある仕事で忙しく働いているイメージがあるからかもしれません。
柔軟な勤務時間が求められる
土地家屋調査士は柔軟な勤務時間が求められる仕事です。時間外勤務や休日出勤が発生することもありますが、それによってさまざまなメリットが得られます。
例えば、個人からの依頼では、平日の夜や土日の立ち会いを希望されるケースが多いです。これによって、クライアントのニーズに応えることができ、顧客満足度を高めることができます。
また、不動産会社は土日も営業しているため、連絡が入れば迅速に対応することができます。これにより、お客様とのコミュニケーションが円滑に行われ、信頼関係を築くことができます。
柔軟な勤務時間は、自己管理や調整能力を養う機会でもあります。自分の都合に合わせて働くことができるため、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなります。
屋外の作業が主体
土地家屋調査士の仕事は屋外で対応する場面も多く、暑さや寒さに耐えたり、生い茂った草木をかき分けたりしながら作業することもあります。
屋外での作業についてマイナスのイメージを持つ方が多くいるかもしれませんが、良い点もたくさんあります。土地家屋調査士の仕事は、新しい場所や土地に足を運ぶ機会が多いです。出張や遠距離の移動が発生することもありますが、それによって地域の多様性を体験することができます。異なる地域や地域の特性に触れることで、自身の知識や視野を広げることができます。また、地域の方々との交流や文化の理解を深めることもできます。
市場の変動に対応する柔軟性が求められる
土地家屋調査士の仕事は景気の変動に左右されますが、その中で柔軟に対応することが求められます。
好景気では需要が増え、公共事業や住宅建設などの案件が増加します。一方で景気が低迷すると仕事量が減少する可能性も。
どの仕事でもそうですが、景気の変動に対応する能力を持つことで、多様な経験やスキルを積むことができます。景気低迷期には再評価や再利用のニーズが生まれることも。
また、市場の変動は新たなビジネスチャンスを生み出す可能性もあります。柔軟性と創造力を発揮して、景気変動に対応する土地家屋調査士としてのキャリアを築いていくことが必要となるでしょう。
繁忙期が忙しい
土地家屋調査士は繁忙期において仕事が集中し、忙しさが増すことがあります。大口案件が集まる時期や需要が高まるタイミングで、仕事量の差が顕著です。
ただし、繁忙期は一時的なものであり、人員を増やさずに乗り切ることが求められます。この忙しい期間は、土地家屋調査士にとってやりがいのある充実した時間となることもあります。多くの案件に携わり、高い効率で仕事をこなすことで、自身の能力やスキルを試し、成長する機会となるでしょう。
土地家屋調査士の仕事内容
ここまで説明した理由により「土地家屋調査士はやめとけ」という意見もありますが、土地家屋調査士の仕事は具体的にどのような内容なのでしょうか。ここでは、土地家屋調査士の仕事内容を紹介します。
不動産の調査・測量
土地家屋調査士は、不動産の調査や測量を行います。不動産の登記をするには、正確な情報を得る必要があるためです。
過去に作られた地図を参考にしながら土地の形状や位置を確認する場合もありますが、実際に現地に出向いて調査するケースも多くあります。すでに触れたとおり、担当する不動産によっては遠方まで出張したり、現地で生い茂った草木をかき分けながら調査したりする可能性もあります。たとえ土地が広大でもミリ単位の正確な測量が必要です。
登記の申請手続の代理
土地家屋調査士は、登記の申請手続の代理にも対応できます。本来、登記は不動産を所有している本人が行う必要がありますが、一般の人は不動産に関する法律の知識を持ち合わせていない場合がほとんどです。そのため、土地家屋調査士は、専門知識を活かして登記の申請手続を代理できます。
登記の申請手続の代理ができる資格は土地家屋調査士のみであり、他の資格にはない大きな強みです。不動産の登記には表題登記、変更登記、減失登記などさまざま種類があり、土地家屋調査士はいずれの登記の申請手続も代理できます。
登記に関する審査請求の手続の代理
登記の申請手続をしても、実際に登記がされなかったり、不当な処分がされたりするケースも稀にあります。その場合、登記に関する審査請求により不服申立てができます。ただし、登記に関する審査請求にもさまざまな手続きがあるため、一般の人が自力で対応するのは困難です。土地家屋調査士は、登記に関する審査請求の手続も代理できます。
登記に関する審査請求により不服申立てが認められると、正しく登記されたり、不当な処分が撤回されて適切に処理されたりします。
筆界特定・ADR
土地の境界は「筆界」と呼ばれています。筆界について隣接する土地の所有者同士が揉めるケースはよくあり、この紛争を解決する手段として筆界特定というものがあります。筆界特定をするには、筆界調査委員への依頼が必要になりますが、土地家屋調査士は筆界調査委員への依頼も代理できます。
また、紛争の解決を目指すためのADR(裁判外紛争解決手続)という制度もあります。ADRは法務大臣から認定された土地家屋調査士が弁護士と協力し、裁判以外の方法で紛争の解決を目指す制度です。
土地家屋調査士の将来性
「土地家屋調査士はやめとけ」と言われ、土地家屋調査士の将来性が気になっている人もいるでしょう。ここでは、土地家屋調査士の将来性を解説します。
「表示に関する登記の代理」は独占業務
すでに触れたとおり、表示に関する登記の代理は土地家屋調査士にしかできない独占業務です。表示に関する登記は法律で義務付けられているため、必要が生じれば必ず行わなければなりません。表示に関する登記を一般の人が自力で対応するのは難しいため、土地家屋調査士への依頼が今後なくなる可能性は低いといえます。
時期や景気によって仕事量の増減が生じる可能性はあるものの、土地家屋調査士の資格があれば今後も長く仕事を続けられるでしょう。
世代交代の時期に差し掛かっている
現在活躍している土地家屋調査士の年齢を見ると、約7割は50代ともいわれています。定年を意識し、すでに引退を見据えて活動している人も少なくありません。
もちろん独立開業すれば基本的に定年はなく、何歳まででも働けます。しかし、土地家屋調査士は体力勝負の仕事であるため、ある程度の年齢になると引退を考える人がほとんどです。
そのため、今後は土地家屋調査士の世代交代が進むと考えられます。若い土地家屋調査士に仕事が少しずつ引き継がれていくでしょう。
相続される不動産が増えると考えられる
今後は相続される不動産が多くなると考えられており、土地家屋調査士の仕事も増える可能性があります。
第二次世界大戦の終戦直後の1947〜1949年に生まれた団塊の世代は、もうすぐ80代になります。団塊の世代は、わずか3年間で800万人以上が誕生したことで注目を集めました。日本人の平均寿命は男女ともに80代であるため、団塊の世代で鬼籍に入る人は徐々に増えていきます。
それにより、多くの不動産が相続されると予想されます。不動産が相続されると分筆や売却も増えるため、土地家屋調査士の仕事量も増加するでしょう。
土地家屋調査士の仕事がAIに奪われることはないのか?
近年はAIが台頭しており、土地家屋調査士の仕事がAIに奪われるのではないかと心配している人もいるかもしれません。ここでは、AIに奪われる業務とAIができない業務について解説します。
AIに奪われる業務
土地家屋調査士の仕事の一つである測量は、すでに機械化が進んでいます。そしてAIの活用により、今後は測量を完全に機械化できると予想されています。例えば測量後の書類は決まった形式でまとめるため、ソフトやAIに作成を任せられるようになっていくでしょう。
このように、測量や書類作成の業務はAIが活用されていく可能性がありますが、測量や書類作成は土地家屋調査士の業務の一部にすぎず、すべての業務が奪われるわけではありません。
AIができない業務
AIは、臨機応変な対応や定型化できない業務の遂行が苦手です。例えば交渉や相談など、状況に応じて丁寧なコミュニケーションが必要な業務には対応できません。また不動産は同じものは一つとしてないため、経験や勘に基づく判断が必要な場面は多くあります。
今後は定型化できる業務をAIに任せて効率化を図り、人間しか対応できない業務により力を入れて対応する土地家屋調査士が増えるでしょう。
土地家屋調査士として身につけたいスキル
土地家屋調査士として活躍するには、資格取得のために必須の知識以外にも身につけたいスキルがあります。ここでは、AI時代にも活躍できる土地家屋調査士になるために必要なスキルを紹介します。
新技術を使えるようになっておく
土地家屋調査士として今後も活躍し続けるには、新技術を使えるようにする必要があります。例えば、ドローンによる測量や3Dスキャナーを用いた製図などに対応できると強みになります。ドローンによる測量ができれば、環境が厳しい土地や広大な土地もスムーズな測量を実現可能です。また3Dスキャナーを使うと、ワンクリックで距離を計算して図面を描き起こせます。
コミュニケーション能力を磨く
すでに触れたとおり、AIには臨機応変な対応を任せられません。個別の判断が必要な業務や人と関わる業務は、土地家屋調査士本人が対応する必要があります。土地家屋調査士としての専門知識を身につけつつ、判断力や柔軟性など人間だからこそのスキルを磨きましょう。コミュニケーション能力のようにAIが苦手な能力を身につければ、自分ならではの価値を提供できるようになります。
まとめ
「やめとけ」と言われる場合もある土地家屋調査士は、たしかに大変な仕事です。しかし、不動産において「表示に関する登記」は必ず必要なものであり、「表示に関する登記の代理」は土地家屋調査士の独占業務となっています。土地家屋調査士に対する需要を考慮すると、今後も活躍できる可能性が高いといえるでしょう。
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株式会社東京法経学院は10年以上にわたり、土地家屋調査士・測量士補・司法書士・行政書士など、法律系国家資格取得の受験指導を行ってきました。
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