土地家屋調査士とよく比較させる職業として、「不動産鑑定士」があります。この2つはどちらも国家資格という共通点こそありますが、別の職業です。そもそも土地家屋調査士と不動産鑑定士はどのような仕事で、どんな違いがあるのでしょうか?
ここでは土地家屋調査士と不動産鑑定士の違いについて解説します。
土地家屋調査士とはどんな仕事?
土地家屋調査士は、登記を目的として土地や建物の調査、測量をするのが主な仕事です。また登記に関する審査請求手続きや、申請・提出を代行するのも土地家屋調査士の仕事です。土地や家屋を調査・測量したうえで面積や高低、境界の位置を確定し、表示登記を行います。
【土地家屋調査士の仕事】
・測量により土地の境界を定める
・定めた境界の位置や面積、高低などの情報を登記事項証明書へ記載する
・表示登記の申請手続きを代理で行う
なお、土地家屋調査士は不動産の価値については調査しません。「その土地・家屋の現況について把握し、登記を行うまで」が仕事というわけです。
不動産鑑定士とはどんな仕事?
不動産鑑定士は、「不動産の価値(価格)」を評価する仕事です。鑑定の際には土地家屋調査士が作成した資料、登記事項や市場経済等の要因をベースに査定を行います。この「鑑定評価」は不動産鑑定士だけができる行為(独占業務)です。
【不動産鑑定士の仕事】
・不動産の価値を、資料や登記事項、地理的状況、経済、税金などの観点から鑑定する
・鑑定した結果を「不動産鑑定評価書」として作成
・不動産の調査や分析、コンサルティングなど
つまり不動産の「経済価値」をはかるという役割を持ち、経済的な観点から評価するのが不動産鑑定士なのです。
また、人によっては不動産の調査や分析、不動産関連のコンサルティング業務に携わることもあります。
土地家屋調査士と不動産鑑定士は「調査するもの」が違う!
土地家屋調査士は端的に言うと「土地や建物を測量し、表示登記ができる職業」です。一方不動産鑑定士は、「不動産の鑑定評価をし、適正な価格を決める職業」です。
これら2つの職業には、調査の対象が「面積や高低、境界位置」「不動産の価格」という違いがあります。
ただし、時には土地家屋調査士が測量した資料をもとに、不動産鑑定士が鑑定評価をする……というケースもあります。それぞれが完全に独立しているわけではなく、協力しながら業務を進めるケースも多いのです。
まずは土地家屋調査士を先に取得するのがおすすめ
土地家屋調査士は「測量・表示登記のエキスパート」であり、不動産鑑定士は「不動産の価格を鑑定する」という役割を担っています。どちらも不動産に関わる重要な職業で、建築や不動産売買には欠かせない存在です。
もし先に片方だけチャレンジするなら、測量や登記の知識が身につく「土地家屋調査士」がおすすめです。土地や建物の測量の知識は、不動産鑑定士の仕事にも役立つからです。土地家屋調査士の資格を取得したあと不動産鑑定士の資格も取れば、ダブルライセンスを活かせます。仕事の幅が広げたい方は、2つとも取得を目指してみてみるとよいでしょう。
コラムの運営会社
株式会社東京法経学院は10年以上にわたり、土地家屋調査士・測量士補・司法書士・行政書士など、法律系国家資格取得の受験指導を行ってきました。
通学・通信講座の提供だけではなく、受験対策用書籍の企画や販売、企業・団体の社員研修もサービス提供しています。
詳細は、各サービスページをご確認ください。
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