土地家屋調査士と建築士は、両者とも土地や建物といった大切な財産に関係した資格ではありますが、実際の仕事内容は大きく異なります。
土地家屋調査士のおもな仕事は、「土地・家屋の調査や測量」、そして「不動産登記に関する手続きや代理申請」といった仕事ですまた、土地の隣地同士の境界トラブルが起きた際に、トラブル解決へと導く業務も担っています。
それに対して、建築士の主な仕事は「建築物の設計」と「工事の監理」となっています。
建築士の免許には、「一級建築士」、「二級建築士」、「木造建築士」といった3つの種類があり、それぞれ扱うことのできる建物の規模、用途、構造が異なっています。具体的には以下のような違いがあります。
・一級建築士
商業施設や高層ビルなどを含め、規模の大小に関わらず、すべての用途、構造の建築物の設計・工事監理が可能。
・二級建築士
一般的な個人住宅を中心とした比較的小規模な、木造、鉄筋コンクリート、鉄骨造の建築物の設計・工事監理が可能。
・木造建築士
延べ床面積300平方メートル以下で2階建までのごく小規模な、木造建築物の設計・工事監理が可能。
土地家屋調査と建築士とで扱う法律や財産は異なる?
土地家屋調査士と建築士の両資格ともに、それぞれ法律に基づいて定められており、土地家屋調査士は「土地家屋調査士法」、建築士は「建築士法」となっています。
また、取り扱う財産についても土地家屋調査士と建築士とでは異なります。
財産には、家財や金品など動かすことができる「動産」と、土地や建物など動かすことができない「不動産」とに分類されますが、建築士は建築物という「不動産」を扱うのに対して、土地家屋調査士は対象土地にある「動産」と「不動産」を守る役割を担っています。
特に、土地家屋調査士の登記業務では、対象土地にある動産や不動産の権利を守るという財産に関する重要な業務となっています。
土地家屋調査士と建築士はダブルライセンスに向いている?
土地家屋調査士の資格と建築士の資格のダブルライセンスは、一部の試験が免除されるといったメリットがあります。
具体的には、土地家屋調査士の試験を受験する際に、「1級建築士」または「2級建築士」の資格を有している人は、土地家屋調査士の測量の試験が免除されます。
土地家屋調査士の受験には特に受験資格はありませんが、1~2級の建築士の資格を持っていれば土地家屋調査士とのダブルライセンスが狙いやすいと言えるでしょう。
土地家屋調査士と建築士の仕事の違いや扱う法律、対象となる財産の違いについて紹介いたしました。
土地家屋調査士と建築士は、扱う法律や財産についても違いがあるものの、ダブルライセンスに向いていることがわかりました。
1~2級の建築士の資格を持っている方は、土地家屋調査士とのダブルライセンスに挑戦してみてはいかがでしょうか。
コラムの運営会社
株式会社東京法経学院は10年以上にわたり、土地家屋調査士・測量士補・司法書士・行政書士など、法律系国家資格取得の受験指導を行ってきました。
通学・通信講座の提供だけではなく、受験対策用書籍の企画や販売、企業・団体の社員研修もサービス提供しています。