私は、 5 年間土地家屋調査士試験を受け続けて、28歳で無事合格しました。その経験から感じたことを書きたいと思います。
初めて土地家屋調査士試験を受けたのは、23歳で測量の専門学校を卒業して就職し社会人 1年目のことでした。就職先は土地家屋調査士の事務所で補助者をしていました。専門学校を卒業すると同時に測量士補の資格を取得することができ、午前の部試験を免除することができました。専門学校に通いながら東京法経学院の本科(基礎講座)に通学し基礎から学ばせていただきました。ただ、学生時代はスポーツに打ち込んできたこともあり、勉強をほとんどしてきておらず、受験も経験したことがなかった私は、試験勉強になれていませんでした。また一回目の試験はどのような雰囲気を味わうのか体験してみようかと、あまい気持ちで試験に挑み、散々な結果でした。
今思うと、あの一回目の試験に臨む姿勢があまかったことにより、合格するまで 5 年もの歳月がかかった要因だと思っています。時間的に余裕があり専門学校の学生だった際に、しっかりと勉強しておけばと、反省しております。この土地家屋調査士試験は、一年に一度しかなくモチベーションの維持がとても大変になってくると思います。
二回目三回目の試験では就職したこともあり、勉強する時間に制限がかかったことに加え、社会人 1 ・ 2 年目ということで仕事の上でも覚えることが多く疲弊し、帰宅後に勉強するのがとてもつらく、はかどらなかった覚えがあります。就職してからは、東京法経学院には通わず、以前の本や資料を読み直して勉強していました。
このままでは、合格することができないと思い、社会人 3 年目から週末に東京法経学院の合格直結答練に通学しました。色々なパターンの記述式問題があり、問われ方は少し違うかもしれないが、本試験でも類似する問題がでることは間違いないと思います。繰り返し練習しましょう。合格直結答練は少しレベルの高い問題も出題されるので、わからない時は基礎に戻って学習することも大切だと思います。中上級者向けのコースで、基礎講座で学んでから 2 年ものブランクがある私には、少し難しく合格ラインまで届きませんでした。このことからも、土地家屋調査士を本気で、めざしている人、これから勉強を始めようとしている人は、1 年で合格するぞという強い気持ちで挑まなければ、何年もかかることになり、土地家屋調査士試験直前にはもっている知識が、半年もすれば薄れていくので、また一から勉強をするのと同じような労力を費やすことになり、モチベーションの維持がすごく難しいと思います。
また実務の経験を積めば、試験にも有利になるかといえばそんなことはほとんどなく、あくまで試験勉強と考え、実務と切り離して考えるのが私はいいかと思います。
土地家屋調査士の試験は 2 時間半という決められた時間で解かなければなりません。ある程度勉強が進み知識があっても、問題文を読むスピードや土地の座標計算のひらめくスピードが求められ、もう少し解答時間があれば解けたという人は、相当数いると思います。会社員であり時間的に余裕がなく、毎日記述式の作図まで練習することができない人は、問題文を速読し、内容を理解する練習や実際に電卓をたたかずに頭の中だけで計算の公式を考えるだけでスピードは上がっていくと思います。
私は、補助者の仕事で現場作業が多く、車の移動が多かったため、その時間を利用してマイノートにまとめた計算の公式や絶対に暗記しておかなければならいない箇所を復習していました。夜や休日の時間がとれるときに作図の練習をするように自分なりに工夫していました。学生や社会人、家族やこどもがいる人など、人それぞれ、置かれている環境は違うと思いますが、必ず隙間時間はあると思うので、有効に活用しましょう。
作図に関しては、人それぞれ微妙に書き方は違うと思いますが、最初は資格専門学校の基礎にならって書いたほうがいいと思います。ある程度慣れてきたら、自分なりのやり方や工夫があれば変更してもいいかと思います。図面は、必ず建物と土地で二回書かされます。私は、ここが他の受験生と差をつけるチャンスだと思います。図面を書く際の手の動きは、基本的に同じ動作なので、毎日少しの時間でもいいので、定規とシャープペンを持つように心がけ、機械的に手が動くように何度も練習し、正確に早く書けるよう取り組みました。当たり前のことですが、シャープペンは本試験で使用しようとしているもので練習しましょう。シャープペンの下書きは消すので、消しやすい芯と大きめの消しゴムを準備しました。ボールペンは、消しゴムで消す際に、滲まないものがおすすめです。また、何度も書いていくと記載ミスの箇所は大体同じことに気づくので、書き終わった後はチェックポイントを決め、その部分を重点的に見直しました。図面に関しては、数をこなせば誰でも上達します。本試験の際は、図面を書く際に緊張で手が震える場合もあるので、そのことを頭にいれておきましょう。
択一の勉強に関しては、問題集などを繰り返し練習する際に 5 肢の中に一つでもわからない選択肢があるなら、正解したとしても、その肢をしっかり復習したほうがいいです。民法は出題範囲が広いが 3 問しか出ないと思うではなく、3 問も出るという気持ちで勉強する。
自宅勉強の際は、20問30分で解けていても、本試験では緊張などで二度読み返すこともあるので、プラスで 5 分・10分かかると思って余裕をもって解けるようにしておきましょう。私は、合格した年は通学しておらず、周りの人が集中している緊張感の中で勉強することができるように、図書館などを利用していました。また、本試験の会場は初めての場所になるため、緊張感が増すと思い、違う場所の図書館を利用するど工夫しました。
これはあくまで私の解き方ですが、本試験の択一を解く際に、1.2.3問目が民法の問題ですが、民法は問題文も長く最後までしっかり読まないと解けないため時間がかかってしまいます。試験開始と同時に解いてしまうと、焦って緊張感が増すと思い、最初に 4問目の不動産登記法から20問目の土地家屋調査土法を解き終わったあとに、落ち着いて民法の1.2.3問を解くようにしました。択一と記述式のどちらにも言えることですが、やはりスピードは大事であるということです。日頃から常に 2 時間30分を意識して勉強に取り組みましょう。
講師の内堀先生の言葉で、印象に残っているのが、「合格する人に共通しているのが、自分の合格を信じて応援してくれている人が周りにいる人」とのことです。その言葉に勇気をもらい、つらい受験勉強を乗り越えることができたと思っております。みなさんもぜひ、合格して、周りの方と喜び合いましょう。