Q.試験を目指した理由・契機
2018年に大学を卒業し、新卒で某企業(調査士業界とは無関係)に就職し働いていく中で、自分自身で物事を進めていくことにやりがいを感じ、独立という働き方に興味を持つようになりました。独立というと資格を取って開業というイメージはありましたが、具体的に何をしたいかということまでは当初は考えられていませんでした。
そこで、大学では法律を専攻していたこともあり、まずは行政書士や宅建等の資格を取得し、勉強をしながら自分が何で生計を立てていきたいのか考えるようになりました。
その後、土地家屋調査士を知り、業務内容を調べていったところ、正確な法律”知識”と、専門的”技術”の両輪を駆使して業務を進めていく土地家屋調査士が、私のイメージする将来像と一致したため、2020年の6月頃に受験を決意しました。
なお、私は文系卒で、測量に関する知識はゼロからのスタートになります。
Q.東京法経学院講座を受講しようと思ったきっかけ
令和3年度に初受験し、今回は2度目の挑戦でした。令和3年度は他校のインプット講座と学院の実戦答練を併用する形で勉強していました。
令和3年度は、新型コロナウイルスの影響で測量士補のスケジュールが後ろ倒しになり、測量士補合格→調査士午前試験免除のルートを1年で達成することが不可能となりました。そのため、午前試験から受験せざるを得ない状況となりました。結果としては、午後試験は手ごたえを感じていたのですが、午前試験で足切りとなってしまい、非常に悔しい思いをしたことを今でも覚えています。
敗因を分析してみると、午前試験の勉強はしていたつもりでしたが、過去問を繰り返すだけで、「なぜそうなっているのか」という理解が不足していました。つまり、過去問の解法手順を覚えただけになっていたのです。令和3年度の午前試験は、例年よりもひねった問題が多かったため、私の付け焼き刃の知識では全く通用しませんでした。
午前試験が中心となってしまいましたが、その反省を踏まえ、また、将来本職として業務を進めていく上でも、今一度基本(測量学や数学も含む)に立ち返って勉強し直す必要があると感じ、学院の新最短合格講座総合コース(BS答練、実戦答練、総整理・速解答練付き)を受講することとしました。
東京法経学院は、調査士受験界の老舗というイメージを持っており、私が1年目に受講した予備校とは指導方針が異なる点もあったのですが、実戦答練で内堀先生の講義を受講した際に、制度趣旨を深堀した説明に感銘を受け、内堀式でインプットからやり直してみようと思った次第です。
Q.学習するうえで工夫したこと
〜弱音を吐く前に問題を解きまくる〜
学習初期は理解できないことが多かったですが、とにかく択一式の数をこなすことを意識しました。記述式も択一知識がベースとなっているため、択一の完成度を高めることが合格への近道だと感じたからです。
まずは全てのインプット講義視聴後に択一過去問を1周解いてみましたが、この段階では正答率が低く、講義の内容も半分以上頭から抜けているような状態でしたので、再度インプット講義を視聴しました。
記述式については、択一で鍛えたベースがあったにもかかわらず、いざ解いてみると分からないことだらけで非常にストレスが溜まりました。そのため、2周目くらいまでは解説の見よう見まねで、ペンを動かしたり、電卓を叩いたりしていました。
まずは記述式の解法を頭に叩き込み一連の流れを理解することに努めました。ある程度数をこなしてくると、問題文を読んだ際に「ここが解答のカギとなるポイントだな」と勘付くようになってきます。あとは択一で蓄えた知識をフル活用し、正しい判断を導いていけばそれなりの答案を作成できるようになります。
解いていく中で理解できるようになることもあるので、自分にとって本当に苦手なポイントは、数をこなさないと見えてこないものです。「向いていない」「文系には難しい」等と嘆く前に数をこなす、このことを頭に入れておくと良いと思います。
〜答練や模試の復習は根拠条文、通達、判例まで遡る〜
出題される問題には必ず根拠があります。私は答練等を受講した後、択一問題は肢ごとに根拠条文等を学院の「土地家屋調査士六法」で確認し、条文や通達を必ず読むようにしていました。
本試験はこれら条文や通達等を基に作問されます。そのため、条文等を読めば読むほど、肢の正否を判断する力が付きます。特に、択一式では条文には全く書かれていないことを、あたかも規定されているように見せかけて作問されるケースがあります。
こういった問題は条文を読み込んでいるかどうかで正解率が分かれてくると思います。「こんなことは書かれていない」と判断することができるからです。一方で、条文の読み込みが甘い場合は、それっぽい肢に騙されて不正解となってしまいます。
このことから、根拠条文の確認は試験を突破するために大切な作業と言えます。学院の「土地家屋調査士六法」は条文だけでなく、通達や判例等も収録されているため、これ一冊があればほぼ全ての肢の根拠を確認できるかと思います。
Q.受講講座を受けての感想、良かった点はどんな点ですか?
講義は、内堀先生の講義を事前録画した動画をダウンロードする形で受講しました。
一度ダウンロードしてしまえばいつでも・どこでも講義を視聴できる点は配信にはないメリットだと思います。(万一、落ちた場合でもダウンロードしておけば翌年も視聴可能)
学院のテキストである「合格ノート」は、文字が多くて初学者の方にはとっつきにくいかもしれませんが、非常に体系的に、かつ網羅性を高めてまとめられています。そのため、学習を進めた段階で再度読み直すと、知識の整理・体系化に役立ちます。
実際、答練で点が伸び悩んだ時期があったのですが、その時はひたすら問題を解くことに時間を割き、合格ノートに立ち返ることもなく、記憶が断片的になっていると感じていました。そのため、通勤中等の空き時間を利用して合格ノートを読み直すようにしたところ、頭の中で散らかっていた知識が整理され、以降の答練では安定した高得点を取ることができました。
「記述式攻略ノート」については、私は2年目の受験でしたので、基礎の再確認という目的で一通り解いて以降は使用しませんでした。難易度的には過去問よりも一段下のレベルで設定されているため、インプット講義と過去問演習の橋渡しのような役割を果たしてくれる内容になっています。初学者の方は、「記述式攻略ノート」を何度か解いてから過去問に入ると、本試験の難易度に躓くことなく継続した学習を進めることができるのではないかと思います。 私は2年目の受験ということで、過去問は解き飽きてしまっていました。そのため、学院の答練の周回をメインに勉強をしていました。
近年の本試験記述式問題は、問題文が長く複雑な傾向にあり、事案の概要や必要な登記手続を読み取ることに苦労する内容が多くなってきています。
一方、学院の実戦答練はシンプルな作りで、無駄な情報は基本的には入っていません。(これは内堀先生も明言されていました。)そうすると、近年の傾向に追いついていないのでは?と思われる方もいるかもしれません。ですが、裏を返すと、限られた少ない情報だけで記述式は完答できるということです。
私は答練を何度も解いた経験から、上記のことを理解していたので、本試験の土地の問題を前にしたときでも、「必要な情報は限られている!」と自分に言い聞かせて、冷静に情報を取捨選択し、必要となる登記手続きを判断することができました。
また、答練のメリットとしては内堀先生の解説講義をその場で受講できることです。解説講義では、配布された解説冊子を読み上げるだけでなく、冊子には書かれていない法律の制度趣旨や関連知識も深堀して解説していただけます。そのため、一度の受講で答練の内容+αの知識を吸収することができます。解説講義が終わるころにはヘトヘトになっていますが、非常に充実感のある内容でした。
Q.学習時間はどのように作っていましたか?
まず、平日3時間、休日6時間をベースとし、月108時間以上勉強することを目標に設定しました。これを1年間継続すると、ざっくりですが1300時間弱(4週間×12)の勉強量になります。一般論ですが、調査士試験に合格するために必要な勉強量は確保できると思います。
調査士試験は兼業で臨まれる方が多いと思います。私も正社員として勤務しながらの受験でしたので、朝の時間や隙間時間を大切にしていました。平日は毎朝早起きして1時間半勉強してから仕事を始める習慣を付けていました。
また、普段は電車通勤でしたので、その間はテキストを読んだり、択一問題を解いたりするなどして、時間を無駄にしないことを意識していました。そうすれば、帰宅後は少しの勉強量で平日3時間のノルマはクリアできます。
休日については、時間を分割(朝2時間・昼2時間・晩2時間など)して、集中力を切らさないことを意識していました。もちろん、プライベートの用事もありますので、自分のスケジュールを把握して、勉強できなさそうな日があるときは、代わりに別日の勉強時間を増やすなど、先を見越したスケジュール管理が必要です。(一日単位で目標を設定すると、未達だった時に気持ちが下がってしまうため、1ヶ月単位で設定しました。)
その他には、出張がある仕事をしていたので、機内にテキストや択一過去問を持ち込み勉強していました。(どうしても疲れたときは寝てしまいましたが・・・。)
Q.わからない箇所があるときはどうしましたか?
自分で調べて習得した知識は脳に記憶されやすいので、まずは自分で調べることを原則とします。
それでもどうしても分からないときは、週に一回実施される答練の場で内堀先生に直接質問していました。その他、SNSを活用し、本職の方や同じ調査士受験生に教えを乞うことも有用な手段かと思います。
Q.モチベーションはどのように保っていましたか?
どうして土地家屋調査士になりたいのか、将来自分自身がどうなっていたいかを常日頃から考えておくことが大事だと思います。目的意識がなく漠然と勉強しているだけではやる気が続かないのではないかと思います。
私は、調査士試験の合格をゴールとせず、その先の未来を意識するようにしていました。
(令和3年度に午前試験の足切りを食らい、記述式の採点すらされなかった悔しさが原動力になっていた側面もあります。。。)
Q.次の目標はありますか?
10月の筆記試験が終わった後すぐに転職活動を開始し、最終合格発表を前に土地家屋調査士事務所での勤務が決まっています。
将来的には一国一城の主として独立開業する予定ですが、まずは転職先での日々の業務に邁進していきます。
理想とする調査士像としては、業務に関する法令や実務に精通していることは大前提とし、そのうえで、依頼者や隣接地所有者、取引先等のステークホルダーとの信頼関係構築を大切にした調査士になりたいと考えています。