土地家屋調査士 合格体験記
大切なのは,基礎固めと日々の積み重ね。
合格体験記
令和4年1月、自分では出来た方だと確信して迎えた合格発表は、合格点には到達していたものの記述式の到達点に0.5点足らず不合格となったとき、愕然とすると共に、これではいつまでたっても合格できないと確信して基礎講座からやり直そうと決意し、勉強のやり直しに注力することにしました。
それまでの私は、土地家屋調査士事務所の補助者をしていることもあり、普段当たり前のように不動産と関わり、登記手続にも携わっていたので当たり前のことを当たり前に書けば合格するだろうと考えていました。それでも試験合格には所謂試験のテクニックなるものがあると思い答案練習会には参加していましたが実務と試験内容との乖離に驚きつつも自身の知識に疑いはありませんでした。
しかし本番でそれが発揮できない。いざという時に迷う。結果、中途半端な解答になる。基礎講座の受講により、それまで乱暴に片付けられていた自身の知識が体系化されてきれいにまとまった書棚のようになっていくのを感じて学習を面白いと感じることがありました。
その後は個別条文について体系表を作ったりそれぞれの条文の繋がりについてまとめるノートの作成をしていくようにしました。朝5 時に起床し6時半には出社、8時半までの2時間は必ず勉強にあて、その後に仕事の準備に取り掛かる毎日でした。週末は平日通りに出社してから午前中は勉強時間にあてました。その後の答案練習会では試験は時間との勝負でもあることを意識して挑んでいきました。
記述式問題に余裕をもって挑むためにはできるだけ早く択一式問題を終わらせたい、慎重に解答すれば正答率は上がるが設定時間に間に合わない。急いで回答すれば読み飛ばし等のミスが頻発する。この課題をクリアするためにより多くの択一式問題を解いてゆくよう1 日の勉強時間を当てていくようにしました。
記述式問題の本筋は設問を読み解き解決策を考察して必要な計算を済ませ登記申請書を完成させることにありますが、それがなかなかできない。
焦って問題を読み飛ばす、頭に入ったところから解決していく、結果、後回しにしたものが中途半端になるので正答にたどり着かない。分かっていても焦ってしまう。
これはどうしようもなかったので先ずは自分が存分に納得のいく解答が作れるにはどのくらいの時間が必要なのか計ってみることにしました。同じ問題を何回もやると覚えてしまうので過去問をランダムに選択して取り組みました。
初めは全体の時間を計り、次は読み解き時間に何分、計算に何分、製図申請書記入に何分というように細かく刻み、しっかり読み解いても何分くらいなんだという自分の計画通りに進めるよう対策しました。
そして迎えた令和4 年10月の本試験、自分ではやれるだけやったつもりの試験勉強でしたが、建物の面積計算で大きな勘違いをしてしまい失点し残念な結果を迎えました。
失意ではありましたが、このままでは終われない、まだやれることがあるはずだとの思いから、あと1 回だけ挑戦しようと令和4 年から基礎講座受講以降続けてきた自主勉強のペースを崩さずに1 年続けました。
令和5年の本試験も自分としては思ったほど振るわず、直後も、あの問題はこう解答すべきだった、あの問題は違う解答が適切かもと悔いの残るもので、もうこれ以上の努力はできないかもしれないと落胆していたところに思いがけない合格通知。どうやら自分が想定していた合格ラインよりだいぶ低かったようで、うれしい知らせが届きました。
試験に挑む期間を経て満足したという感想はありませんが、最低点でも合格は合格。日々の努力の結晶と考えることにしています。
後進の方々にお伝えすることがあるとすれば、基礎はやはりしっかりと固めてください。その上でいろいろな設問に対応できる葉脈のようなものを育ててください。要点が掴めれば必ずできます。そしてみんなができないことができるようになるよりも、みんなが出来る、知っていることを必ずできるようになってください。
最高点でも、最低点でも合格は合格。日々の積み重ねがきっと希望する未来を叶えるものと信じています。