Q.試験を目指した理由・契機
私は、社会問題となっている森林の所有者不明・境界不明問題の解決に取り組んでいきたいと考えています。というのも、地元にて親の代が森林を所有しているのですが、実際のところどこからどこまでが親が所有している土地なのかは不明であり、将来的に自身が相続することを考えると、まさに当該問題は社会問題であるだけでなく、自分ごとの問題であると考えるに至ったためです。
色々と調べる中で、土地の筆界を明らかにする業務の専門家であり不動産の権利の明確化に寄与するという使命を掲げる土地家屋調査士となれば、知識及び技能を生かすことで問題解決に近づけると考えて試験を受けることを決意しました。
また、もともと数的処理などはどちらかというと得意であり、デスクワークだけでなく測量等により現場に行く土地家屋調査士の仕事柄も自分に向いているということもあり、その面で土地家屋調査士はぴったりでした。
Q.東京法経学院講座を受講しようと思ったきっかけ
私が、東京法経学院の講座を受講しようと思った要因は二点あります。
一点目は、独学はせず効果的な学習をしたいと考えていたことです。受講前に参考書を数冊購入して独学で勉強しようと考えた時期もありましたが、法律に関して大学等で勉強したことはなく、その上複雑な書式の練習もしなければいけないとなると独学では難しい上に時間がかかると考えていました。可能なら一年で合格したいと考えていたので、結果的にこの選択は正しかったと思います。
二点目は、 合格者全額返金お祝い制度があったことです。独学とは異なりそれなりに費用はかかるため、妻を説得するためにも自分を鼓舞するためにも「絶対一年で受かるから!受かったら費用も返ってくるから!」とできたことは非常に助かりました。
Q.学習するうえで工夫したこと
工夫した点としては大きく二点あります。
一点目は、土地家屋調査士試験に必要な法令の目次を紙に書き出して壁に貼り付け、手帳にも書き出し、いつでも即座に見れるようにした点です。基礎学習は講座に含まれる配信動画にて行っていたのですが、その動画にて「合格する人は、頭の中に法令知識の地図が出来上がっている」「常に、目次を参照できるようにしている」といった趣旨のことを言われており、確かにそうだなと思ったためです。結果的に「これは政令の20条あたりにあったな、この内容は準則の50条あたりだったな」とすぐに考えられるようになり、とても効果的だったと思います。
二点目は、講師陣の話す癖を好きになることです。基礎学習の配信動画や、答案練習会の解説講義を合わせると100時間以上講師陣の講義を受けることになります。講義の中で特に話しかけられるわけではありませんが、楽しく続けるためには重要かと思います。
Q.受講講座を受けての感想、良かった点はどんな点ですか?
講座を受講して良かった点としては大きく二点あります。
一点目は、学習する上で小手先ではなく法体系を常に意識した法令の講義を受けられた点です。体系的に学習したことがなかったため、法律よりは憲法が上位であるということや、法律は国会で定めるということなど中学校で学ぶレベルのことは理解していましたが、憲法、法律、政令、省令、通達、回答などがどのような関係になっているか、どの機関が定めているのか、どのように運用されているのかが明確に意識できました。今後も法令は制定、改廃が不断に行われますが、土地家屋調査士の責務に則って法令に精通して、公正かつ誠実に業務をこなしていくための確かな基礎ができたと確信しています。
二点目は、本番と同様の形式で行う答案練習会にて、集中力と時間感覚と諦めない心を養えた点です。10月に行われる筆記試験は2時間半で行われますが、答案練習会はこの2時間半を集中し続ける訓練になりました。また、同時にこの2時間半がいかに短いかが身にしみてわかりました。初回の答案練習会では、マーク式の問題はなんとかこなせたものの記述に関しては何を書けばいいかすらほとんどわからないような有様であり、4,5回目のなんとか何を書けばいいかわかった頃でも、圧倒的に時間が足りないことに愕然としたのを覚えています。答案練習会を重ねて万全を期して迎えた試験本番では、これだけ練習してきたにもかかわらず、長く複雑な状況説明の文章に集中力は削がれて一時呆然と上を見上げ、焦りから強く握りすぎてしまったボールペンは壊れ、本当に諦めかけてしまいました。
しかし、内堀先生の「結局一番最後に重要なのは、諦めない心だ」という言葉を思い返し、絶対今年で受かるぞと立て直すことができました。26回にわたる答案練習会を越えたからこそ本番を乗り越えることができたと感じます。
Q.学習時間はどのように作っていましたか?
平均して平日には1-2時間ほど、休日には6-8時間ほど学習しており、通勤時間や休み時間や移動時間を使って時間を作っていました。仕事を続けながら勉強しており、通勤時間で発生する往復2時間ほどの電車や昼休みでは、できるだけノートを見返したり法令の目次を見直すなどの時間に当てていました。
また、休日に買い物等で遠くに車で出かける必要があった時には、ラジオや音楽の代わりに配信動画を流すことで、移動時間も有効活用しながら不動産登記や民法に関して何度も復習することができました。ただ、車を運転しながらでは運転に集中が必要で、あまり動画の細かな部分は理解しづらいため、概要や総則に当たるような内容を主に聞いて全体像の理解を確かなものにするのを意識していました。
Q.わからない箇所があるときはどうしましたか?
わからない箇所については大きく2通りの方法で対処していました。
一点目は、答案練習会の際に講師に質問する方法です。答案練習会の後の解説講義は3時間半ほどあり、合間の休み時間や終わった後に講師に質問ができます。その時間に、解説講義の内容でわからなかった内容や、自習している際に気になった内容を質問して疑問を解消していました。
二点目は、学院が発行している不動産表示登記申請マニュアルや法務省の通達の登記記録例(平成28年6月8日386号)を参照する方法です。自分が取り組んだ試験の過去問や答案練習会で出題された問題はあくまで特定の場合のものであり、もちろん重要なものは基本的に網羅されていますが全ての場合を網羅しているわけではありません。そのため、申請マニュアルや登記記録例を読むことで、少し条件が変わると記載方法はこのように変わるのか、登記記録にはこのように記録されるのかということがわかり、より理解を深めることができました。
Q.モチベーションはどのように保っていましたか?
長い期間試験勉強をし続けるというモチベーションを保つために、合格を勝ち取って開業をし、当初の目的に向かって仕事をしている自分を想像していました。答案練習会の初めの方は記述に関して土地建物を合わせて50点満点中10点にも満たないことはざらにあり、判定もDばかりでした。本当に合格できるんだろうかと考えることもありましたが、将来の自分を想像し、目先の点数に一喜一憂せず淡々と間違えた点を次回は間違えないように専念し、モチベーションを維持することができました。
Q.次の目標はありますか?
まずは次の目標として20代のうちに開業することを目標として事業計画や必要なものの整理を進めています。合格までは、何はともあれ合格しないことには次がないため、合格することだけに専念していました。ただ合格すると途端に道が開けてしまったため正直半ば困惑しているところです。ゆくゆくは、依頼主の期待に応えられるように事務所や道具を揃えて実績を着実に積み上げ、当初の目的である森林の所有者不明問題や境界不明問題に取り組めるよう森林にまつわる法律や制度について調査や経験を積んでいければと思います。